隣の晩御飯 ― 禁断のレースと風呂上がりの神 ―
放課後、部室。
冬の冷たい風。
杏仁豆腐がこたつ代わりの机に突っ伏していた。
ユウ「先生ってさ、家帰ったら何してんだろ。」
ダイキ「そりゃ昆布煮てんだろ。」
カズ「恋愛論と出汁、日替わりで煮詰めてそう。」
タクミ「家の匂い、絶対“哲学と磯”だな。」
ユウ「……行ってみる?」
全員「行くな!!!」
しかし5分後、靴を履いていた。
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◆ 先生宅前。
アメ車が玄関先に停まっている。
ドアの隙間から、ワインと出汁の香り。
ピンポーン。
安藤「……青春のストーカーか。上がりなさい、バカども。」
全員「おじゃまします!!!」
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◆ リビング。
壁には恋愛心理学の本棚、
テーブルの上にはワイングラスと昆布皿。
ダイキ「わ、なんか想像よりラグジュアリー!」
カズ「この空間、IQ高そう。」
タクミ「でも昆布ある時点で親近感あるな。」
ユウ「先生、晩御飯なんすか?」
安藤「愛とミネラル。」
全員「出た名言!!!」
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◆ そして事件。
マリリン(犬)登場。
トコトコと歩いて、リビング中央に……何かをぽとん。
ユウ「……え、これ。」
タクミ「……布。」
カズ「黒い……レース?」
ダイキ「パンツぅぅぅぅ!!!」
全員フリーズ。
安藤先生、表情ひとつ変えず。
安藤「……青春ね。羞恥も、煮詰めれば味が出るの。」
ユウ「出汁の汎用性高すぎる!!!」
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◆ その時。
浴室のドアが**ガラッ!**と開いた。
湯気。
タオル。
そして——ナムサン。
ナムサン「ちょっとォ〜!!マリリン!それアタシの勝負レースじゃなぁい!!」
全員「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
タクミ「風呂上がり降臨!?」
カズ「湿度上昇注意報!!!」
ダイキ「もう情報過多!!!」
ユウ「……目のやり場が!!!」
ナムサン、濡れた髪をかき上げながら、
「青春のバカは湯気でも消えないのねぇ〜♡」
安藤「……あなた、服を着てから哲学を語りなさい。」
ナムサン「愛も人生も、干すより洗う方が大事よォ♡」
全員「出たぁぁ!!二重名言フィニッシュ!!」
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◆ 結末。
先生、笑って台所へ。
「せっかく来たんだし、鍋でも食べてきなさい。
青春は……煮込みが深いほうが美味しいの。」
湯気。笑い声。出汁の香り。
夜は静かに、そして熱く煮えていった。




