恋のレッスンV ― 冬服デート、距離2.5センチの法則 ―
放課後。
外は粉雪。教室の窓が白く曇っている。
マナティは制服の上からカーディガンを羽織り、
髪を下ろしたまま、机の上の雑誌をめくっていた。
女子A「ねぇマナちゃん、冬デートって服どうしたらいいの?
かわいいコートって重いし、マフラーで顔見えないし……」
女子B「しかも寒いと動けない!」
マナ「ふふ、それがいいんだよ。
寒いってことは、**“距離が言い訳になる季節”**なんだよ。」
女子A「距離が言い訳……?」
マナ「そう。手が冷たい、風が強い──そう言えば、近づける。
冬の恋は、気温の差で始まるの。」
(女子たち、息をのむ。)
⸻
◆ 実践タイム
マナ「じゃ、実験しよっか。杏仁豆腐、こっち来て。」
ユウ「また始まった……!」
タクミ「逃げても雪で足取られるぞ。」
ダイキ「犠牲者、確定。」
カズ「合掌。」
女子A「じゃあ、私が彼女役でいい?」
マナ「うん。テーマは“帰り道のマフラー”。」
女子A「……マフラー貸して、って言うの?」
マナ「違う。借りないで、“シェア”するの♡」
全員「!?!?」
マナ「じゃ、やってみよ?」
(女子Aがユウのマフラーを半分肩にかける)
ユウ「え、これ……近くない?」
女子A「ちょ、近すぎる……」
マナ「今! それが“恋の温度差”♡」
カズ「理屈は分かるけど、見てるこっちが寒い!」
ダイキ「いや、熱い!」
タクミ「心拍、冬なのに上昇中。」
⸻
◆ 三柱、通過
レイナ「なにこの暖房いらずの空気!」
アイカ「観測結果:羞恥が上昇要因。」
ミナミ「……冬って、空気が澄んでる分、熱がよく見えるのよ。」
マナ「そうでしょ? 温度差が、恋の可視化装置だよ♡」
ミナミ「……でも、凍るのも早いわよ。」
マナ「ふふ、それも恋の仕様書。」
⸻
◆ エピローグ
夕方。雪が止み、外が薄オレンジに染まる。
杏仁豆腐はマフラーを巻き直しながらぐったり。
ユウ「……マナティ、冬に強すぎない?」
カズ「恋を理論化する才能、怖いな。」
ダイキ「物理より精密。」
タクミ「お前、次の授業“恋愛応用Ⅱ”だぞ。」
マナ「ね、寒い方が人は素直になるんだよ。
だって、手も心も、温めたくなるから。」
風が教室を抜けた。
白い息と笑い声が混ざる。
——恋のレッスン、冬季実習完了。




