雪上演舞:ギャラクティカ・スカイライン
──昼休み。
雪、降ってきた。
校庭が静かに白くなる。
誰もいないグラウンドに、最初に足跡をつけたのはユウだった。
ユウ:「……飛べるな。」
タクミ:「いや飛ぶな。歩け。」
カズ:「お前の“飛べる”って単語、信用ゼロだからな。」
ダイキ:「でもなんかテンション上がるなぁ!青春って感じ!」
ユウ:「だろ? 雪ってのは、地面が空になる唯一の素材だ。」
タクミ:「お前詩人なのか事故予告なのかどっちかにしろ。」
──そして十五分後。
校庭の端に、見事なジャンプ台が完成していた。
名付けて“スノーギャラクティカ台”。
ダイキ:「安全第一、芸術第二!」
カズ:「逆!順番逆!!」
ユウ:「飛ぶ時は芸術点だ。落ちても形を残せ。」
タクミ:「名言みたいに言うな。」
⸻
◆滑走開始。
最初に飛んだのはダイキ。
「見てろよー!!」
ドンッ!
……スライド。回転。顔面雪没。
タクミ:「はい、0点。」
カズ:「でも勢いは満点だろ。」
ユウ:「爆発的青春点、98。」
次、タクミ。
助走完璧。フォーム完璧。
飛んだ瞬間──風。
足、すっぽ抜け。
空中で無言の土下座ポーズ。
カズ:「……芸術点、高ぇな。」
ダイキ:「懺悔の角度だな。」
ユウ:「タイトル『謝罪する天使』で。」
⸻
風。
ドアが開く音。
光の中に、四人の影。
三柱。
ミナミ、アイカ、レイナ。
そして、マナティ。
レイナ:「ちょ、なにこれ!?遊園地できてんじゃん!」
アイカ:「……また学問とは無縁の研究をしてるのね。」
マナ:「ふふ、飛ぶの? かわいい〜。」
ミナミ:「……まぁ、青春って、地面に跡を残す儀式だものね。」
ユウ:「先輩たちも、ぜひ。」
タクミ:「やめとけ、神域を巻き込むな。」
レイナ:「やるしかないでしょ!」
アイカ:「……止めても無駄ね。」
マナ:「芸術点、勝ったらなにかくれる?」
ユウ:「尊敬。」
マナ:「いらな〜い。」
⸻
◆神々の演舞、開幕。
レイナ:助走ゼロ、叫び100%。
「ギャル神、飛翔っっ!!」
ドンッ!
空中で両手広げて笑う。
着地、爆散。雪煙。
アイカ:構え完璧、角度精密。
飛翔線、美しすぎて沈黙。
完璧な着地にタクミがつぶやく。
「理性の化身……」
マナ:ふわっと助走、軽くジャンプ。
転ぶ。
雪に小さなハート型の跡。
全員:「……優勝。」
ミナミ:静かに一歩前に出る。
雪を払って、
ただ息を吐いた。
白い。
それだけで、空気が止まる。
レイナ:「……ずるい。」
ユウ:「……勝てねぇ。」
ミナミ:「……落ちる方が、美しい時もあるのよ。」
⸻
◆放課後。
夕陽。
ジャンプ台が溶けかけている。
足跡だけが残った。
ユウ:「……今日も飛んだな。」
カズ:「また明日も飛ぶんだろ。」
タクミ:「そのうち誰か本気で折れるぞ。」
ダイキ:「青春、折れてなんぼだろ!」
窓の外、四柱の笑い声。
風と一緒に舞い上がって、消えていく。
──白い息の向こうに、
まだ、空がある。




