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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
312/317

雪上演舞:ギャラクティカ・スカイライン


──昼休み。

雪、降ってきた。

校庭が静かに白くなる。

誰もいないグラウンドに、最初に足跡をつけたのはユウだった。


ユウ:「……飛べるな。」

タクミ:「いや飛ぶな。歩け。」

カズ:「お前の“飛べる”って単語、信用ゼロだからな。」

ダイキ:「でもなんかテンション上がるなぁ!青春って感じ!」


ユウ:「だろ? 雪ってのは、地面が空になる唯一の素材だ。」

タクミ:「お前詩人なのか事故予告なのかどっちかにしろ。」


──そして十五分後。

校庭の端に、見事なジャンプ台が完成していた。

名付けて“スノーギャラクティカ台”。


ダイキ:「安全第一、芸術第二!」

カズ:「逆!順番逆!!」

ユウ:「飛ぶ時は芸術点だ。落ちても形を残せ。」

タクミ:「名言みたいに言うな。」



◆滑走開始。


最初に飛んだのはダイキ。

「見てろよー!!」

ドンッ!

……スライド。回転。顔面雪没。


タクミ:「はい、0点。」

カズ:「でも勢いは満点だろ。」

ユウ:「爆発的青春点、98。」


次、タクミ。

助走完璧。フォーム完璧。

飛んだ瞬間──風。

足、すっぽ抜け。

空中で無言の土下座ポーズ。


カズ:「……芸術点、高ぇな。」

ダイキ:「懺悔の角度だな。」

ユウ:「タイトル『謝罪する天使』で。」



風。

ドアが開く音。

光の中に、四人の影。


三柱。

ミナミ、アイカ、レイナ。

そして、マナティ。


レイナ:「ちょ、なにこれ!?遊園地できてんじゃん!」

アイカ:「……また学問とは無縁の研究をしてるのね。」

マナ:「ふふ、飛ぶの? かわいい〜。」

ミナミ:「……まぁ、青春って、地面に跡を残す儀式だものね。」


ユウ:「先輩たちも、ぜひ。」

タクミ:「やめとけ、神域を巻き込むな。」


レイナ:「やるしかないでしょ!」

アイカ:「……止めても無駄ね。」

マナ:「芸術点、勝ったらなにかくれる?」

ユウ:「尊敬。」

マナ:「いらな〜い。」



◆神々の演舞、開幕。


レイナ:助走ゼロ、叫び100%。

「ギャル神、飛翔っっ!!」

ドンッ!

空中で両手広げて笑う。

着地、爆散。雪煙。


アイカ:構え完璧、角度精密。

飛翔線、美しすぎて沈黙。

完璧な着地にタクミがつぶやく。

「理性の化身……」


マナ:ふわっと助走、軽くジャンプ。

転ぶ。

雪に小さなハート型の跡。

全員:「……優勝。」


ミナミ:静かに一歩前に出る。

雪を払って、

ただ息を吐いた。

白い。

それだけで、空気が止まる。


レイナ:「……ずるい。」

ユウ:「……勝てねぇ。」

ミナミ:「……落ちる方が、美しい時もあるのよ。」



◆放課後。


夕陽。

ジャンプ台が溶けかけている。

足跡だけが残った。


ユウ:「……今日も飛んだな。」

カズ:「また明日も飛ぶんだろ。」

タクミ:「そのうち誰か本気で折れるぞ。」

ダイキ:「青春、折れてなんぼだろ!」


窓の外、四柱の笑い声。

風と一緒に舞い上がって、消えていく。


──白い息の向こうに、

 まだ、空がある。


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