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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
311/319

理想の犬、放課後に吠える


──放課後の教室。

光がゆるく傾いて、黒板のチョーク跡が金色に浮かぶ。


ユウがパンをかじりながら言った。

「ホストって、犬じゃね?」


タクミ:「……出たよ。」

ダイキ:「恋愛哲学、今日も元気。」

カズ:「もう“吠える青春”ってタイトルでいいだろ。」


ユウ:「だってさ、呼ばれたら走って、褒められたらしっぽ振る。忠誠心すげぇ。」

タクミ:「褒められたい犬の顔して言うな。」

ダイキ:「あの文化祭から、何も学んでねぇ。」


──そのとき。

教室のドアが開いた。

光が差して、髪が揺れた。


三柱。

ミナミ、アイカ、レイナ。

そして、同じクラスのマナティ。


彼女たちが並んだ瞬間、空気が少し変わる。

ただの放課後が、ギャル神社になる。


レイナ:「なに話してんの?」

ユウ:「犬の話。」

アイカ:「……犬?」

ミナミ:「また妙な理屈で遊んでるのね。」

マナ:「ふふ、かわいいじゃん。誰が犬?」


レイナがアイカの肩を小突いて、小声で。

「ねぇ……犬ってさ、男のことだよね?」

「……多分。」

「だよね?」

ミナミは少し笑って、「まぁ、そう取るわよね。」


ユウ:「え、いや、犬は犬っす。」

四人:「……?」


レイナ:「あたしは〜、甘えん坊!呼んだらすぐ来るタイプ!」

アイカ:「私は、静かで頭いい子。目を見れば通じるやつ。」

ミナミ:「忠誠って、美徳じゃない。でも、報われなくても動けるのは、悪くない。」

マナ:「わたしは、ふわふわしてて、たまに噛む子。……可愛いでしょ?」


ユウ:「なるほど。」

タクミ:「いや、なるほどじゃねぇよ。」

カズ:「お前、全部メモってるけど何に使う気?」

ユウ:「統計。」

ダイキ:「出た、恋愛社会学部。」


ユウが黒板に書く。

『ミナミ先輩=サモエド、アイカ先輩=ボーダーコリー、レイナ先輩=チワワ、マナティ=ポメラニアン』


沈黙。

レイナ:「チワワってなにそれ!」

アイカ:「……吠えるけど愛される、まぁ間違ってない。」

マナ:「ポメ? あ、うれしい。可愛い系ってことだね?」

ミナミ:「観察眼だけは……ほんと、鋭いのね。」


笑いがこぼれる。

夕陽が机を照らし、空気がやわらかくなった。


ユウ:「でもさ、しっぽ振ってるほうが本気だと思う。」

レイナ:「青春、だいたいしっぽ振ってんもんね!」

アイカ:「……見てる人がいる限りね。」

マナ:「しっぽって、照れ隠しだと思うよ。……ね、ユウ。」

ユウ:「……まじでバカにしてる?」

マナ:「ちょっとだけ。」

ミナミ:「……ほんと、静かにしてても騒がしい子たちね。」


チャイムが鳴る。

風がノートをめくり、光が黒板をなでていく。


ミナミが一言、落とした。

「……ほんと、バカで。いい。」


その声が、夕焼けの中で少し笑っていた。


──青春の放課後、吠える音はまだ消えない。


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