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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
31/111

冬休み前ライブ計画!〜防寒と情熱の狭間で〜

放課後の音楽室(もと倉庫)に、吐く息が白く漂う。

窓の外では雪がちらつき始めていた。


ユウ「さみぃ……。もうバンド活動ってより冷凍訓練じゃん」

カズ「いや、息白いのは雰囲気出るよ。青春っぽくて」

タクミ「この温度で青春とか言えるお前の心が一番あったけぇよ」

ダイキ「てかさ、年内にもう一発ライブしね? 締めに!」


ユウ「お、いいじゃん。題して——“寒空ロックフェス”!」

カズ「ダサい」

タクミ「タイトルで観客帰るぞ」

ダイキ「じゃあ“こたつでロック”とか?」

ユウ「もはや動かねぇじゃん!!」



◆ 冬、ユウの謎理論。


ユウ「でもさ……冬はいい季節だよな」

カズ「唐突だな」

ユウ「へそピが出ないから安心して生活できる」

タクミ「どんな基準だよ」

ユウ「夏は地雷多いのよ。油断してたら“キラッ”って光るじゃん。反射的にフェチスイッチ入っちゃうんだよ」

ダイキ「もはや職業病だろそれ」

カズ「……でもユウが冬好きなの、ちょっと分かる気がする。落ち着くよな」

ユウ「だろ? 平和な季節、最高だよ」


その瞬間、ガラッとドアが開く。

「おーい杏仁豆腐ー!防音マット、貸し出しにきたぞー!」


入ってきたのは安藤先生。

厚手のコートに、ニット帽、そして——膝上ミニスカ。


ユウ(……平和、崩壊。)

ダイキ「ユウ、鼻血!」

ユウ「だ、出てねぇ!」(出てた)



◆ ライブ計画会議。


机にホワイトボードを立て、ダイキが勢いよく書く。


《年内ラストライブ in 体育館裏!!》

・12月22日(放課後)

・観客:呼べるだけ呼ぶ

・テーマ:「防寒より情熱」


タクミ「体育館裏って……絶対寒いだろ」

カズ「いや、あの夕焼け背景は絵になる」

ユウ「あとで凍死したら幽霊バンドだな」

ダイキ「“死んでもロック”ってことで!」

全員「いや笑えねぇ!!」



◆ 顧問登場、安藤先生の“現実的アドバイス”。


安藤先生「アンタら、また外でやろうとしてんの? マイク凍るわよ」

ユウ「先生、魂で歌うから大丈夫っす!」

安藤先生「じゃあ魂も凍らせなさい」

タクミ「容赦ねぇ……」


先生はため息をつきながらも、ホット缶コーヒーを差し出した。

ユウはそれを受け取り、ほっと息をつく。


ユウ「……先生、やっぱ冬も悪くないっすね」

安藤先生「へそピ出てないから?」

ユウ「!!!」

カズ&ダイキ「聞かれてたぁぁぁ!!」

タクミ「どの口が平和とか言ってたんだよ!」



夜、帰り道。

街灯が雪を照らしてオレンジに光る中、ユウはふと思う。


ユウ「寒くても、楽器鳴らして、みんなで笑って。なんかさ……生きてるって感じするよな」

カズ「うん。たぶん、こういうのを青春って言うんだよ」

ダイキ「でもさ、指先もう感覚ねぇぞ」

タクミ「次は“温かい系青春”にしようぜ」


ユウ「……そうだな。じゃあ次は“恋とコタツとへそピなし”の冬フェスで!」

全員「それは地味すぎるわ!!」


雪がふわりと舞う。

笑い声が夜の街に溶けていく。


——青春は、冬でも熱い。


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