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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
307/315

恋愛熟練度格差戦線 ― 気弾とキスの境界線 ―


──放課後、夕陽の差し込む教室。

窓の外はオレンジ色、黒板には誰かが描いた落書きのハート。


ユウ「なぁ……俺たち、恋の発展途上国じゃね?」

ダイキ「いきなりどうした。恋のGDPでも下がったか?」

タクミ「いや、ユウが言いたいのは多分“経験値”の話だろ。」

ユウ「そう! 恋愛熟練度! 男女で初期設定が違うんだよ!」

カズ「はい出た、バカの社会問題シリーズ。」


ユウ「だってさ、俺らが手からエネルギー弾出してた頃に、

女子はもう“キスしてた”んだよ。」

ダイキ「どこの学校の話だよ。」

ユウ「いや、漫画の中で!」


一瞬、沈黙。

次の瞬間、爆笑。


タクミ「それを真顔で言うなよ!」

カズ「てか、何読んだんだよ。」

ユウ「姉貴の本棚にあった“りぼん”と“別マ”。」

ダイキ「お前、思春期の訓練所、間違ってんぞ。」


ユウ「いや、マジで衝撃だったんだって。

敵を倒さずに、目と心で戦ってるの。

“好き”って言葉が、武器より強い世界。」

カズ「……確かに、それはエネルギー弾より深いな。」

ダイキ「俺らの恋愛観、筋肉に支配されすぎなんだよ。」

ユウ「だから俺は今日から“恋の修行”を始める!」


──その翌日。

購買横のベンチ。

杏仁豆腐4人、少女漫画を広げて黙読。


その異様な光景を、三柱が通りかかる。


レイナ「なにやってんの? 読書会?」

カズ「恋の修行中っす。」

アイカ「観測記録:男子の群れが少女漫画で感情学習中。」

ミナミ「……またバカなことしてるのね。」


ユウ「違うんです、先輩。これは文化交流っす。

俺たち、愛の表現に遅れてるんで!」

ミナミ「ふぅん……で、進捗は?」

ユウ「“まつ毛の長い男子”がモテるって学びました。」

ミナミ「……発想、死んでる。」

レイナ「ねぇ、これ“観測”してる方が照れるんだけど!」


──放課後。

夕陽が完全に落ち、教室の電気が灯る。

机の上には少女漫画とノート。

そこに、ミナミが一言。


「……恋はね、習うものじゃなくて、感染るものよ。」


ユウ「感染る……?」

「そう。隣に“熱”があれば、誰だって感染る。」


──静寂。

窓の外、夕焼けが夜に飲まれていく。

ユウの手の中のページが、ひらりとめくれた。

少女漫画のヒロインが微笑む。


ユウ「……俺ら、感染源になれるかな。」

カズ「バカウイルスなら、もう蔓延してる。」

全員「それな!」


──笑い声が、教室の窓からこぼれていく。

気弾もキスも関係なく、

彼らの“熱”だけが、確かにそこにあった。


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