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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
305/319

caseレイナ(特別篇)『果汁、青春に混ざる』


──冬の夕方。

こたつの上で転がるみかんの皮。

男子たちの笑い声。

果汁の香りと、くだらない熱。


レイナはその様子を、少し離れた廊下の陰から見ていた。

笑いすぎて床を叩くユウ、呆れながらも笑ってるカズ、声がでかすぎて注意されるダイキ。

……そして、誰より真顔でみかんを見つめるタクミ。


「バカすぎて、好き。」


小さく呟いて、レイナは口元を押さえた。

自分で言って、自分で笑う。

こういうとこ、アイカにバレたら一生いじられるやつ。


ガラッとドアが開く。

中へ入るタイミングを逃したけど、

あの地獄みたいな空気の中で“神の登場”を決めるのも、

悪くないかもしれない。


「……アンタら、何してんの?」


その一言で全員の動きが止まる。

レイナはその“空気の凍り方”にちょっと笑った。

アイカが淡々とメモを取ってるし、ミナミは腕を組んで“観測モード”。

あぁ、ほんとに三柱ってバランス取れてるなって思う。


だけどその後。

ユウが「実際はもっとあるなと」って真顔で言った瞬間──

レイナの中で、何かがぷつっと弾けた。


「はぁ!?なに勝手にサイズ分析してんのよ!!」

叫びながら、果汁の飛ぶ戦場へ突撃。


みかんの皮が舞う。

笑い声が弾ける。

ミナミの「……着痩せするんすね、じゃないのよ」も聞こえてくる。

もう全部、どうでもよくなるくらいバカで、楽しくて。


──レイナはふと思う。

“風”って、こういうものかもしれない。

形も掴めないし、理屈もいらない。

ただ吹いて、混ざって、笑う。

それで充分。


こたつの熱気が、肌に残る。

果汁の香りが、少しだけ甘い。

青春って、こんなくだらない温度で回ってる。


「……やっぱ好きだな、バカって。」


レイナの声は、笑いの渦にまぎれて消えた。

けど、その笑顔はちゃんと残ってた。

ミナミがちらりと横目で見て、小さく頷く。


──“風の神”も、たまには果汁にまみれる。


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