おでん検証戦線 ― 沸点を越えて、青春ブチ込み中!
──放課後の部室。
冷えきった空気の中、鍋から湯気が上がる。
ダイキが鼻を鳴らした。
ダイキ「……来たな、寒空の主役。」
ユウ「いや、鍋じゃねぇ。おでんだ。」
カズ「線引きどこだよ。」
タクミ「で、なんで急におでん?」
ユウ「テレビで見たんだよ。“おでんリアクション芸”。あれってヤラセじゃね?」
カズ「お前……ついにバラエティにケンカ売ったな。」
ダイキ「熱さ検証ぉぉ!!青春は体感実験だぁぁ!!」
──沸騰。
⸻
タクミ「誰からいく?」
ダイキ「そりゃ発案者のユウだろ。」
ユウ「いや、俺ドラムだから指大事だし!」
カズ「じゃあ俺ギターだから無理。」
タクミ「俺もボーカルだから喉……関係ねぇけど無理。」
ダイキ「ベースは根性!いくぜぇぇぇぇ!!!」
串を持ち上げる。おでん界の覇者・こんにゃく。
ジュッ!!
ダイキ「アチィィィィ!!!マジで熱いぃぃぃ!!!」
カズ「リアクション100点満点!!!」
タクミ「ってか、それ普通に危険物じゃん!!」
⸻
次はタクミ。慎重にフーフーして──。
タクミ「……これくらいなら──」
ダイキ「おでん舐めんなぁぁ!!」
(背後から肩押し)
タクミ「アチチチチィィィ!!!」
ユウ「青春、他人の手で燃える瞬間!!!」
⸻
全員が何かしらの火傷を背負い、机の上は戦場のようになった。
沈黙。湯気。勝者なし。
ユウ「……これ、ヤラセじゃないわ。」
カズ「尊敬しかねぇ……」
ダイキ「バラエティの神に土下座したい。」
⸻
その時。
背後から小さな「ハフ……ハフ……」という音。
全員「!?」
振り向くと、テーブルの端。
湯気の向こうに──おでんの鍋。
そして、そこに腰掛けて静かに食べている人影。
ミナミ「……だし、ちょっと濃いわね。」
ユウ「先輩!?いつから!?」
ミナミ「あなたたちが“リアクション芸人”を名乗ったあたりから。」
タクミ「なんで黙って食べてたんすか!」
ミナミ「静かに食べる方が、熱が伝わるの。」
ユウ「意味深っ!!」
⸻
ダイキ「……結論。おでんは──」
ユウ「食べるより、青春を煮るやつ!」
カズ「いや、もう全部煮えてるわ。」
ミナミ「……脳までね。」
──その夜、部室にはだしの香りと焦げた友情が残った。




