球技大会バカロジー ― Aを狙え! ―
──秋晴れ。
朝の校庭に響く、ユウの声。
ユウ「おい、みんなー!球技大会だー!!」
(歓声と笛の音)
ユウ「今日はクラスの団結力を高めるために——これ、作ってきた!」
どん、と掲げられた手作りTシャツ。
胸にはゆるキャラ風のイラスト。
“プルンとした豆腐”と“メンタルよえ〜〜!”の文字。
カズ「いや、弱ぇ宣言すんなよ!」
ダイキ「お守りにしても崩れるわ!」
ユウ「バカか、裏見ろよ。」
裏面には、硬派な毛筆で
『絆はこうや豆腐!』
ガチガチの豆腐イラスト。
タクミ「……妙な完成度だな。」
レイナ(遠くから)「その発想、嫌いじゃない!」
ミナミ(通りすがり)「……熱量だけは本物ね。」
こうして、杏仁豆腐クラスの戦いが幕を開けた。
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◆ 試合開始
ドッジボール、バレー、バスケ。
クラスの士気はなぜか高い。
背中の“こうや豆腐”が、団結の象徴みたいになっていた。
そして午後——決勝戦、テニスダブルス。
代表はユウとマナティ。
マナティ、ピンクのヘアバンドを結びながら微笑む。
「いこう、勝って締めようね。」
ユウ「……ああ。」
風が止まる。サーブ音。白球が舞う。
相手チームは真面目女子ペア。
一人だけ、どうにもリズムが合っていない。
連続ミス。ざわつく観客。
マナティが、ふっと笑って。
「ふふ、穴みーっけ。」
ユウ「……言葉のチョイスどうかと思うけど。」
マナティ「だって勝ちたいんだもん。青春は、狙ってナンボでしょ?」
次の瞬間、彼女のスマッシュが決まる。
歓声が上がる。試合終了。勝利。
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ダイキ「やったー!こうや豆腐、最強ー!!」
カズ「いや、狙ったのマナティだろ!」
タクミ「戦略家天然、恐るべし……。」
ミナミ、遠くから試合を見つめながら。
「……勝ち方にも、美学があるのよ。」
レイナ「でも、笑ってる顔は、全部正義でしょ。」
アイカ「同意。青春は、脆くて固い。ちょうど“こうや豆腐”。」
──風が吹く。落ち葉が舞う。
Tシャツの文字が光って見えた。
“絆はこうや豆腐。”
バカと努力と少しの戦略。
それが、この秋いちばんの勝利の味だった。




