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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
30/73

雪かき大戦争 〜青春はスコップとともに〜

放課後、校庭。

昨日の「芸術的な事件(別名・雪像事件)」の代償として、

俺たち杏仁豆腐4人は——広大な校庭の雪かきを命じられていた。


ユウ「……地獄だ」

タクミ「校庭って、こんな広かったっけ」

ダイキ「広いっていうか、もう“北極”だよな」

カズ「先生の怒りの広さそのものだな」



◆ ココアと悪魔の笑み


ナムサン「ユウちゃ〜ん♡ ココア持ってきたわよぉ〜」

ユウ「神!救いのナムサン!」

安藤先生「こらナムサン!!甘やかさないの!!」

ナムサン「だってぇ、青春の汗には糖分が必要でしょぉ♡」

安藤先生「あなたも雪かきしなさい!!」


その瞬間、ヒールがキュッと鳴った。

安藤先生、完全に戦闘モード。

全員、背筋ピン。空気、張りつめる。


ユウ(こ、これは“雪の地獄”の始まりだ……)



◆ 雪かき、からの雪投げ。


ダイキ「なぁ、これ……スコップで集めて投げた方が早くね?」

カズ「雪かきと雪合戦のハイブリッド?」

タクミ「それ絶対ロクなことにならねぇ」

ユウ「やるか」

タクミ「やめとけって!!」


——ドゴッ。

ダイキのスコップ雪弾がタクミの背中を直撃。


タクミ「冷てぇぇぇぇぇ!!!」

ユウ「開戦!!」

カズ「了解!」

ダイキ「青春は戦だぁぁぁ!!!」


気づけば校庭中が戦場。

スコップ雪弾が飛び交い、誰かが転び、叫び、笑う。

雪の白に、俺たちのバカ笑いが響く。



◆ そして悲劇は起こった。


ユウが雪玉を投げようとして――スコップを滑らせ、

ナムサンの足元にドスン。


ナムサン「あら♡ いいコントロールね〜ユウちゃん♡」

ユウ「す、すみません!!」

安藤先生「……ユウ、もう一回職員室くる?」

ユウ「うわー!!反省中に再反省!!!」



◆ 一息ついて、恋バナタイム


ダイキ「はぁ〜、疲れた……あー腹減った」

カズ「雪食うなよ?」

ダイキ「……ユウ、正直に言えよ」

ユウ「な、なんだよ」

カズ「ミナミ先輩、好きなんだろ?」

タクミ「出たな恋バナ地雷」

ユウ「ち、違う!あれはその、へそピが――」

全員「フェチじゃねぇか!!」


ナムサン(遠くから)「へそピ?何の話ぃ〜?♡」

安藤先生「ちょっと!今度こそ職員室来なさいユウ!!」

ユウ「うわぁぁぁぁ!!!」



雪まみれ、笑いまみれ、怒られまみれ。

でも、なんかそれが楽しい。

誰かがこぼした笑い声が、冷たい空気の中でやけにあたたかかった。


タクミ「結局、雪かき進んでねぇな」

カズ「ま、思い出は積もったけどな」

ユウ「上手いこと言うな!」

ダイキ「でも腹は減った」

ユウ「ラーメン行くか!」


こうして俺たちは雪まみれのまま校門を出た。

吐く息が白くて、空は群青色。

足跡の列が、どこまでも続いていた。


——青春は、反省しないまま続く。


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