放課後のカオス
入学して最初の一週間。
校庭や廊下は「部活勧誘」の先輩たちでごった返していた。
「サッカー部!初心者大歓迎!」
「帰宅部に未来はないぞ!演劇部に入れー!」
「茶道部はお菓子食べ放題だよー!」
四方八方から勧誘の声が飛んでくる。
そんな中、俺たち四人は廊下を歩いていた。
⸻
◆タクミ、勧誘地獄
まず狙われたのはタクミ。
長身のイケメンに、女子部員が一斉に群がる。
「タクミくんだっけ?ぜひテニス部へ!」
「いやいや、バスケ部の方が似合う!」
「演劇部なら王子様役、確実にいけるよ!」
タクミ「……俺はただ帰りたいだけなんだが」
彼が廊下で立ち止まるだけで人だかりができる。
俺たちは後ろで爆笑していた。
ユウ「タクミ、もう存在がハラスメントだわ」
カズ「いや、モテすぎて人権侵害だな」
ダイキ「イケメン税を納めろ!」
⸻
◆ダイキ、なぜか大人気?
一方で、ダイキにも別の意味で勧誘が集中していた。
「柔道部!君の体格は即戦力だ!」
「相撲部!今なら部室の冷蔵庫、自由に使えるぞ!」
「放送部!その声量をマイクにぶつけてくれ!」
ダイキ「え、俺のデブ力って需要あんの!?モテ期きた!?」
ユウ「需要のジャンルが特殊すぎるだろ」
カズ「放送部のマイク壊す未来しか見えない」
⸻
◆カズ、地味に優秀
カズは笑顔であちこちに声をかけられていた。
「生徒会にどうだ?」
「サッカー部でも通用しそうだぞ」
カズ「いやいやいや、俺は友達とつるんでるのが一番楽しいんで」
と、ニコニコ笑ってさらっと断る。
ユウはその姿を見て思った。
「こいつ……実は俺らの中で一番有能なんじゃないか?」
⸻
◆ユウ、無所属の危機
そして俺。
なぜか誰からも声がかからない。
(……あれ?もしかして俺、空気?)
すると、一人の軽音部らしき先輩が通りすがりに声をかけてきた。
「そこの君!楽器できる?」
ユウ「え?…いや、カスタネットなら」
先輩「……うん、じゃあいいや」
ユウ「待って!?カスタネットを雑に扱うな!」
⸻
帰り道、四人で集まったとき。
ユウ「なぁ……部活どうするよ」
タクミ「正直、どこもピンとこない」
カズ「俺も」
ダイキ「柔道も相撲も怖いしなぁ。てか俺、放送部ってどう思う?」
ユウ「いや、お前の声でスピーカー割れるだろ」
そこで俺は、ふと思いつきで叫んでしまった。
ユウ「──バンドやろうぜ!」
三人「はぁ!?」




