バニートラップ戦線 ― 甘い罠と黒タイツ ―
──放課後の教室。
夕陽が差し込む窓辺、マナティが鏡越しにリップを引く。
「“映え”っていうのはね、目を奪うことじゃない。“止める”こと。」
杏仁豆腐、全員ポカン。
ダイキ「つまり、目を止めろってこと?」
マナティ「そう♡ たとえば……視線、とか。」
その言葉と同時に、彼女は軽く髪を払って微笑む。
空気が止まった。
それは、もうギャル神社の神々が降臨する前兆みたいだった。
ユウ「……やべぇ、空気変わった。」
カズ「恋愛は物理現象。」
タクミ「怖い怖い怖い。」
ダイキ「てか、なんの話してたっけ?」
マナティ「“恋のSNS企画”でしょ? “目を止める投稿”を撮るって言ってたじゃん。」
タクミ「まさか……」
マナティ「そう。バニー、いくわ♡」
──翌日。
黒タイツ。
うさ耳。
背中のラインが夜の街みたいに曲線を描く。
“ハニートラップ”ならぬ、“バニートラップ”。
教室の空気が一瞬で停止した。
心拍数だけが生きていた。
カズ「……黒タイツって、なんであんなに反射すんの?」
タクミ「それ聞くな。理性が反射する。」
ダイキ「ギャル神、光臨……!」
ユウ「……観測不能。」
マナティ「“恋の実験”は成功ね♡」
アイカ(腕組み)「この規模の心理実験は聞いたことがないわ。」
レイナ(携帯構えて)「ストーリー撮っていい?いや、撮る!」
ミナミ(通りすがり)「……ふふ。熱、伝染してるわね。」
──そして放課後。
全校のSNSに「#バニートラップ」がトレンド入り。
ユウ「……お前、何を狙ってんだよ。」
マナティ「んー、青春?」
ユウ「それ、使い方違うだろ。」
マナティ「でも、止まったでしょ。あなたの目。」
ユウ、何も言い返せなかった。
窓の外では、夕陽がピンクに染まっていた。
──“目が止まる”って、こういうことかもしれない。




