レイナ監視作戦 ― 風の神を尾行せよ ―
──放課後。
部室棟の窓から、柔らかい風が吹き込んでいた。
ユウ「なぁ、なんでレイナ先輩って、あんなずっとテンション高いの?」
カズ「燃費いいよな。太陽光充電?」
タクミ「風力発電系女子。」
ダイキ「じゃあ俺たちで確かめるか。神の仕組みを!」
──杏仁豆腐、結成:レイナ観測隊。
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◆ 一の観測:購買の儀式
購買前。
レイナがパンを選んでいる。
なぜか、周囲がキラキラして見える。
ユウ「うわ……空気が違う。」
カズ「購買に後光さしてる人初めて見た。」
ダイキ「……今、アンパン選んだぞ。甘味の供物だ!」
タクミ「落ち着け、ただの炭水化物だ。」
レイナ「……アンタら、後ろで実況すんなって。」
(完全にバレてる)
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◆ 二の観測:神域での浄化儀式
トイレに入っていくレイナを、遠巻きに観測。
ダイキ「……行ったぞ。」
ユウ「いや、ここまでで止めとけよ?」
カズ「“観測”と“犯罪”の境界が、今ゆらいでる。」
(全員一歩引く)
ちょうど出てきたレイナ。
手を拭きながら、笑う。
レイナ「ねぇ、風ってさ……背中で感じるもんなんだよ?」
ユウ「……はい、すみません。」
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◆ 三の観測:二柱会談
放課後、中庭。
レイナがアイカと話している。
ダイキ「二柱会談始まった……!」
タクミ「風と焔が交わる瞬間!」
ユウ「いや、ただ世間話だろ。」
カズ「しっ、観測中だ。」
風が吹き抜け、レイナの髪がふわり。
その仕草を見た瞬間、
ユウは少しだけ、心臓が動いた。
ミナミが太陽なら、
レイナはきっと“風そのもの”だ。
掴めない、でも確かにそこにいる。
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◆ 神、反撃す
数分後。
突然、背後から声がした。
「──ねぇ、ストーカーくんたち。」
全員、硬直。
振り返ると、レイナが仁王立ち。
風に髪がなびいている。
レイナ「風は見えないけど、感じるでしょ?」
ユウ「……は、はい。」
レイナ「じゃ、感じたら反省ね♡」
(その笑顔、太陽より強い)
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◆ 夕暮れ、風の余韻
教室。
夕陽と風が入り混じる。
ユウ「……風ってさ、バカを吹かせてくんのかもな。」
カズ「被害者、俺ら。」
タクミ「同意。」
ダイキ「……せーの。」
全員「ニャッ!!!!」
笑い声が、風に乗って流れていった。
——レイナは今日も笑ってた。
誰より明るく、誰より自由に。
そして、バカたちはその風を、確かに感じていた。




