ニャッ!の呼吸 ― ハロウィン残響戦線
──ハロウィン翌日。
昼下がりの教室には、まだ昨日の熱が残っていた。
机の上にはカボチャの欠片と、笑いの残骸。
ダイキ「なぁ……昨日のレイナ先輩、腰、やばくなかった?」
タクミ「わかる。あの“しなり”は……人類の技術を超えてた。」
カズ「重力に逆らって、空気だけ味方につけてた。」
ユウ「しかも“ニャッ!”のタイミングが完璧。呼吸だったよな。」
全員「ニャッ!!!」
沈黙。
そして、爆笑。
ダイキ「お前ら息ピッタリすぎんだろ!」
カズ「俺らもう“ニャッ”で会話できるぞ。」
ユウ「次のライブ曲“ニャッの呼吸”でいける。」
タクミ「ボーカル誰がやるんだよ!」
──平和でバカな、昼下がり。
⸻
ガラッ。
教室のドアが開いた。
ミナミ「……何の儀式?」
全員「ひっ!?!?!」
ユウ「違います!昨日のランウェイの再現を少々……!」
ミナミ「……羞恥を再演する勇気、嫌いじゃない。」
その後ろから、アイカの冷ややかな声。
「観測結果:学習ゼロ。」
さらに、ドアの隙間から。
レイナ「ニャッ♥」
一瞬で空気が爆発した。
全員「ニャーーッ!!!(再現度120%)」
レイナは腰をひねって、軽くターン。
その一瞬、空気がざらつくほどの衝撃。
光の角度と、腰の軌跡が奇跡的に一致する。
タクミ「……これが“再臨”か……」
ユウ「重力、滅んだな。」
カズ「腰って、概念じゃなかったんだな。」
ダイキ「もはや宗教。」
ミナミ「……祭壇は校則違反よ。」
レイナ「いいじゃん、青春ってノリでしょ?」
ミナミ「……ノリが、深すぎるのよ。」
⸻
マナ「……ほんと、懲りないね。」
ユウ「褒めてんの?」
マナ「バカって、風通しがいいから嫌いじゃないよ。」
カズ「お前も言葉の腰がうまいな。」
マナ「言葉の……?」
タクミ「比喩比喩!」
マナ「……ニャッ(棒)」
全員「棒読みやめろぉぉぉ!!!」
⸻
そこへ、廊下から安藤先生の声。
「またバカやってるの? ……ま、青春ってのは、恥の上塗りよ。」
口に昆布をくわえながら、肩をすくめる。
ユウ「……でも先生、俺たちのは“光る上塗り”っす。」
安藤「ふふ……なら、塗り重ねなさい。まだ、余白あるでしょ。」
──チャイムが鳴る。
でも誰も立ち上がらない。
机の上に、笑いと羞恥が混ざった空気だけが残った。
レイナが軽く尻尾を振って、
「ニャッ♥」
全員「ニャッーーーッ!!!」
——光る腰線、再臨。
それが、バカどもの秋の祈りだった。




