表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
290/331

ハロウィン降臨 ― 仮装と羞恥の臨界点 ―


昼下がりの校内放送。

スピーカーから響いたのは、軽いノリのアナウンスだった。


『全校生徒へ。今年のハロウィンイベントは“仮装ランウェイショー”です! ステージで輝くのは誰だ!?』


一瞬、教室に静寂。

次の瞬間、爆発。


ダイキ「……出た、羞恥イベント第二弾。」

カズ「去年の“メイド喫茶地獄”が甦る。」

ユウ「でも……やるしかない。俺たちは“光る羞恥”でここまで来た。」

タクミ「どんな成長曲線だよそれ。」


「準備してくる!!!」

叫んだ瞬間、全員が椅子を蹴って散った。

廊下を駆け抜ける笑い声。

その温度が、すでに青春だった。



夕方、体育館裏。

控室の鏡前で、杏仁豆腐は最後のチェックをしていた。


タクミ「シスターとかマジでやるの?」

ユウ「恥ずかしいけど、熱は正直だからな。」

カズ「俺、吸血鬼だけど日焼け止め塗ってる。」

ダイキ「俺の南瓜、空気抜けてる!?」


笑いが止まらない。

でも、笑ってるほど怖いのも青春だった。



ステージの幕が開く。

スポットライトが、杏仁豆腐の4人を包む。


ユウ(白のシスター)

タクミ(崩れた王子)

カズ(優しすぎる吸血鬼)

ダイキ(南瓜地獄マン)


ざわめきと笑いが同時に沸く。

女子の「なんでそうなるの!?」という悲鳴。

男子の「最高だろこれ!」という拍手。


笑いが渦になる。

でも、その熱が——

次の瞬間、凍る。



扉が開いた。


黒。

灰。

ベージュ。

桃。


四つの光が、ステージ裏から歩いてくる。

空気が、一瞬で変わった。


最初に現れたのは黒の静寂ミナミ

仮面の下の瞳が、空間を支配する。

照明が落ちて、彼女だけが光をまとっていた。


次に灰のドール(アイカ)。

一歩ごとに、観測される美が増していく。

人間の動作とは思えない均整。


三番目にベージュのキャッツ(レイナ)。

軽く腰をひねって、尻尾を揺らす。

歓声がひとつ、息を呑むように漏れた。


そして、桃の悪魔マナティ

ピンクベージュの髪が照明に反射して、空気に甘さを混ぜる。

一歩ごとに光を計算しているみたいだった。


観客が呟く。

「……四柱、再臨だ。」


空気が静まり返る。

さっきまでの笑いが、夢みたいに消えていた。



ミナミが立ち止まり、ユウを見た。

「……また、笑われる方を選んだのね。」

ユウは肩をすくめて、少しだけ笑った。

「笑われるくらいが、ちょうどいいです。」

「……ふっ。そういう熱は嫌いじゃない。」



イベントが終わると、

夜の校舎に風が通り抜けた。


四柱の残り香が、ほんのりと空気に残っている。

杏仁豆腐の4人はステージ裏で倒れ込んでいた。


ダイキ「俺、もう南瓜は卒業する。」

タクミ「王子は一生封印だ。」

カズ「吸血鬼なのに血が引いた。」

ユウ「……羞恥って、冷めるとあったかいよな。」


窓の外、四柱の笑い声。


レイナ「次はサマコレで勝負ねー!」

アイカ「観測続行。」

マナ「……白、似合ってたよ。」

ミナミ「……羞恥は、光の入口よ。」


ユウは、息を吐いた。

照明の残光が床を照らしていた。

その光はまだ、消えそうになかった。


——光と羞恥。

バカと神。

その境界線に、青春があった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ