雪像事件・緊急反省会
職員室前、放課後。
並べられたパイプ椅子4脚。
そこに正座する俺たち「杏仁豆腐」。
目の前には、腕を組んだ安藤先生と、やたらテンションの高いナムサン先生。
安藤先生「……で、説明してもらえる?」
ユウ「だから先生、あれはドラゴンなんですって!」
タクミ「どう見ても男根です」
ユウ「お前まで言うな!!」
ダイキ「俺のラーメンはセーフっすよね!? 食文化だし!」
安藤先生「雪でラーメン作る文化どこにあるのよ!」
カズ「ちなみに俺の仏像は……」
安藤先生「仏像に“ドヤ顔”つけるなって言ってんの!」
ナムサン「でもぉ〜安藤センセ♡ あれはねぇ、若さの爆発なのよ!」
安藤先生「爆発にも限度があるわ!」
ナムサン「彼らの魂が形になったのよォ〜! ねぇユウちゃん!」
ユウ「は、はい! 俺たちの中の“何か”が目覚めました!」
タクミ「間違いなく理性が眠った方な」
安藤先生「いい? 芸術っていうのは、心を表現するものであって、下半身を象るもんじゃないの!」
ダイキ「うわ、今さらっと名言出た」
カズ「Tシャツにしたい」
ユウ「“心を象れ、下半身を象るな”……座右の銘にします」
安藤先生「座右の銘にすんな!!」
ナムサン「まっ♡ でも私的には全然アリ♡」
安藤先生「ナムサァァァァン!!!」
ナムサン「だって〜、芸術は自由でしょぉ? ねぇ、ユウちゃん♡」
ユウ「は、はい!自由大好きです!」
タクミ「お前、後でまたやらかすなよ」
安藤先生(深呼吸)「はぁ……もういい。あなたたちは校庭の雪全部片づけて帰りなさい」
カズ「全部って広すぎません!?」
ダイキ「俺ら4人で北海道開拓か!」
ユウ「青春って、雪かきだな」
タクミ「違ぇよ」
——その直後。
ナムサン「手伝ってあげるぅ〜♡」
安藤先生「ややこしくなるから帰ってください!!!」
ナムサン「じゃあココア差し入れするわ〜!」
ユウ「ナムサン先生、神っ!」
安藤先生「おだてるなユウ!!」
雪かきをしながら、カズがぼそっと呟く。
カズ「でも、なんだかんだで楽しかったな」
ダイキ「俺、次は雪カツ丼作る」
タクミ「お前、反省ゼロか」
ユウ「……俺、次こそ“ちゃんとしたドラゴン”作る」
カズ「どこまでいってもバカだなお前」
吹雪の中、笑い声が響く。
白銀の校庭に刻まれた足跡は、まるで俺たちの青春の地図みたいだった。
——反省よりも、次のバカを考えてる俺たちは、たぶん今日も最高に青春だ。