恋のレッスン・ツー 〜誘いの風は計算で吹かせ〜
──放課後の教室。
西日が差し込むなか、女子たちの小さな輪ができていた。
中心にいるのはもちろん、四柱ピンク担当・マナティ。
女子A「ねぇマナティ〜、あのさぁ……」
女子B「わたし、好きな人がいるんだけど、なかなかデート誘ってもらえなくて……」
マナティ「ふふ、それ簡単だよ♡」
女子A「え、また始まったよ、“あざと講座”!」
マナティ「じゃ、見てて。」
──その笑顔、完全に仕掛けの顔。
ターゲット:杏仁豆腐。
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◆ 実験対象:杏仁豆腐、再び。
マナティ、廊下をゆっくり歩く。
手にジュースを2本。
カメラで言えばスローモーション。
空気が、ピンク色に染まる。
ユウたちは窓際で談笑中。
ユウ「タクミ、そのコード進行、Bに変えたらもっと――」
マナティ「ねぇ、ユウくん。」
一瞬で空気、変わる。
ユウ「えっ、なに?」
マナティ「このあとヒマ?行きたいとこあるんだぁ。」
カズ「……おぉ、きたな。」
タクミ「これ、恋の現場……?」
ダイキ「実況開始ぃぃぃ!!」
ユウ「あー……どこに?」
マナティ「秘密♡」
(腕を軽く引く。微笑む。その角度、完璧。)
ユウ「……え、まじで?」
マナティ「ね?行きたくなったでしょ。」
ユウ「……う、うん。」
(完全に釣られた。)
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◆ 教室:恋愛講義の答え合わせ
女子A「うっそ……いまのだけで!?」
女子B「すご……!あれ、演技なの!?」
マナティ「演技じゃないよ♡ “感じさせる”の。」
女子A「感じさせる!?」
マナティ「“行きたい”って思わせる空気。それだけで人は動くの。」
女子B「……恋の風使いだ……」
──背後。
ドアの隙間から、杏仁豆腐が覗いていた。
ユウ「……あの人、怖ぇ……」
カズ「いや、すげぇ。」
タクミ「でも、なんか……ちょっと切ないな。」
ダイキ「お前、恋に負けた顔してるぞ。」
ユウ「違ぇよ。ただ、あの風、俺には吹けねぇなって思っただけだよ。」
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◆ 放課後、残香。
マナティ、ひとり窓の外を見ていた。
さっきの“実演”を思い出しながら。
口元に手を当てて、小さく笑う。
マナティ「……ねぇ、ユウくん。
あんたって、ほんと……恋の勉強には、ちょうどいい♡」
窓の外で、夕陽がきらめく。
風が少しだけ吹いて、彼女のピンクベージュの髪を揺らした。
その笑みの奥にある“計算”は、誰にもまだ見抜けない。
──恋は、風と同じ。
吹かせるものか、吹かれるものか。
今日もまた、教室のどこかで“恋のレッスン”が続いている。




