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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
27/50

タグに書かれたミナミの呪い

◆ 放課後・旧音楽室(改装中の新・杏仁豆腐部室)


タグには、大きくカタカナで書かれていた。


──“ミナミ”。


ユウ「…………」

ダイキ「お、お前の好きな……」

ユウ「違う!!!」

カズ「でも“ミナミ”って書いてあるしなぁ〜?」

タクミ「いやいや、偶然かもだろ」

ダイキ「いや〜、偶然にしては香りが青春」

ユウ「嗅ぐな!!!」


そこから始まった、杏仁豆腐による“パンツの真相会議”。


カズ「まず、なぜパンツがここに?」

タクミ「誰かがここで更衣した可能性」

ダイキ「もしくは、音楽の神が投げ込んだ愛の試練」

ユウ「お前の頭の中が試練だよ」


◆ そのとき——ドアが半開き。

教室の外、通りかかった女子たちの耳に入った。


「え?“ミナミのパンツ”?」

「杏仁豆腐がパンツ会議してるって!!」

「しかもユウが“これは守る!”とか言ってたらしい!」


翌朝、学校中がざわついていた。


黒板には落書き——

《パンツの守護者ユウ》


机には折り紙で作られた“パンツトロフィー”。


ダイキ「全国大会出れるな」

ユウ「出ねぇよ!!!!」

タクミ「いや、むしろここまで来たら守り通せ」

カズ「“誤解すら青春”って名言っぽくね?」

ユウ「名言にすんな!」


◆ 放課後、廊下にて。


ユウ(……でも、ミナミ先輩が困ってたら嫌だし……)

(このまま俺が“守った”ってことでいいじゃん)


——そして。

ちょうど帰り際、ミナミ先輩と鉢合わせした。


ミナミ「ユウ、なんか今日、人気者じゃん?」

ユウ「あ、いや、それは……」

ミナミ「“守った”って噂、聞いたよ」

ユウ「っ!!」


ユウ「……俺、大事なものは守りましたから!!」

ミナミ「へぇ、かっこいいじゃん。……何の話か知らないけど」

(※本気で知らない)


◆ そこへ、背後からヒールの音。

コツ、コツ、コツ。


安藤先生「ふふ……あんたたち、例の“ミナミ”の件ね」

ユウ「せ、先生も知って……!?」

安藤先生「そりゃ、職員室でも話題よ。南山先生、大慌てだったわ」

ユウ「……ナムサン?」

安藤先生「そう、“ミナミヤマ”。あの人のパンツ。」


全員「…………」

ダイキ「ええええええええええ!?!?」

カズ「ナムサンの!?!?!?」

タクミ「字面の暴力!!!」

ユウ「俺……オネエのパンツ守ってたのか……!!?」


◆ 体育館裏


南山先生(筋肉タンクトップ・声デカめ)

「ユウ〜!ありがとぉ〜♡ あたしのミナミ、守ってくれたんだってぇ〜!」

ユウ「来るなあああああ!!!」

ナムサン「ハグは礼儀よぉぉぉ〜ん♡」

カズ「青春、逃げろおおお!!」

ダイキ「今、完全にパンツより命守ってる!!」


◆ 旧音楽室・夜


ユウ「……人生、タグの書き方ひとつで終わるんだな」

カズ「名言更新おめでとう」

タクミ「次の曲“タグの呪い”で決まりだな」

ダイキ「MVの衣装は囚人服で!」

ユウ「黙れバカ!!」


ヒールの音がまた響く。

安藤先生が昆布を噛みながら笑って言った。


安藤先生「青春ってのは、誤解と笑いとバカでできてるのよ」


——タグに書かれた“ミナミ”が繋いだ、

どうしようもなく愛しい青春の日。


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