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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
23/28

落ち葉と焼き芋と青春の煙。

校庭の隅。

放課後、俺たちはほうきと熊手を手にして立っていた。


ユウ「……で、これは何の儀式?」

先生「お前らが撒いた笑いの種を、自分で掃除しろ」

ダイキ「それ、いい話っぽく言ってますけど罰なんすよね?」

先生「気づくの遅ぇよ」



◆ 落ち葉との戦い


ユウ「おい、カズ、そっちまとめすぎ!山が富士山だぞ!」

カズ「整理整頓は心の鏡だよ」

ダイキ「うるせぇ、男子校の鏡になれ!」

タクミ「いや共学だろ、うちら」

ユウ「(あ、そうだった)」


落ち葉が風で舞い上がり、

まるで秋そのものが俺たちをからかってるようだった。



◆ 悪ノリ、発動。


ダイキ「なぁ……この量、もったいなくね?」

ユウ「……確かに」

カズ「ちょっと待て、その目はやめろ」

タクミ「火をつける気だな?」

ユウ「いや違う、“愛”を灯すんだよ」

ダイキ「お前、詩人か放火魔かどっちかにしろ!」



◆ 焼き芋、はじまる。


気づけばダイキが家から持ってきたホイルを取り出していた。

「サツマイモ、常備してるから」

「どんな生活スタイルだよ!」


落ち葉を集め、火をつけ、香ばしい煙が立ちのぼる。

その瞬間——


先生「おい!!校内で何燃やしてんだ!!」

ユウ「焼き芋です!!」

先生「どの口が言ってんだ!!」



◆ 逃げる杏仁豆腐


煙が校舎にまで流れこみ、

女子の悲鳴と購買のおばちゃんの怒号が響く。


タクミ「これ完全に火災騒ぎだろ!!」

カズ「ユウ!水!水!!」

ユウ「そんな都合よく水なんて──あった!!自販機の隣!!」

ダイキ「ペットボトル水!?買うの!?!?」

ユウ「青春は課金制だ!!!」


全員「ばっかじゃねぇの!!!」



◆ そして伝説へ


結局、火はすぐに消し止められた。

焼き芋は半分炭。

先生は完全にブチギレ。


先生「お前ら、学習能力ゼロか!」

ユウ「でも、焼き芋うまいっす」

先生「……ちょっとよこせ」


もぐ。


先生「……悪くねぇな」

全員「食ったァァァァァ!!!」



◆ 夕暮れの校庭で。


ユウ「なぁ、バカやって怒られて、それでも笑ってさ」

カズ「きっと、こういうのが青春なんだよ」

ダイキ「……焼き芋の味、忘れねぇわ」

タクミ「いや、炭の味だろ」

ユウ「青春はちょっと焦げてるくらいがいいんだよ」


燃えカスの煙が、秋空にゆらめいて消えていった。


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