モジモジジャージ大作戦!〜体育館に走る黒タイツの悪夢〜
朝の教室。
いつもよりちょっとザワついた空気。
原因はもちろん、俺たちだ。
ユウ「なぁ、今日体育あるよな?」
ダイキ「あるな。で、何やらかす気だ?」
ユウ「……入れ替えるんだよ」
カズ「なにを?」
ユウ「ジャージを」
タクミ「またロクでもない流れだ」
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ロッカーに仕込まれた“黒の全身タイツ(通称モジモジスーツ)”。
以前、お化け屋敷用に買っておいた残骸だ。
ユウ「今日、全クラス分のジャージとモジモジをすり替えます」
カズ「おい、規模が国家レベルだぞ」
ダイキ「いや待て、これ、下手すりゃ停学案件じゃね?」
ユウ「つまり、成功すれば伝説」
タクミ「……成功しなくても伝説にはなるな(悪い意味で)」
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◆ 朝の混乱、開幕
チャイムとともに体育館へ移動。
だがその時点で、俺たちはすでに勝利を確信していた。
なぜなら——
男子A「おい……俺のジャージ、黒すぎね?」
女子B「ちょ、私のも!? なんかスベスベしてるんだけど!?」
教師「え、なに?みんな今日、バレエ?」
ユウ「作戦成功だな」
ダイキ「やべぇ、笑いが止まらん!」
カズ「これ、あとで絶対呼び出しくるやつだよ……」
タクミ「でも今が楽しけりゃ、それでいいんだろ?」
全員「青春だァァァァ!!!」
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◆ 想定外の展開
しかし、悪ノリには“返り討ち”がつきもの。
体育の先生「おいお前ら。モジモジ班、全員前へ出ろ」
ユウ「ひぃっ」
先生「お前らが仕掛けたんだろ。どうせ杏仁豆腐だ」
カズ「な、なんでバレたんですか!?」
先生「お前らしかいねぇだろ、こういう発想すんの」
ユウ「(エスパーかよ……)」
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◆ まさかの罰ゲーム
先生「反省の意を示せ。今日の体育は、モジモジのままリレーだ」
ユウ「えっ」
ダイキ「走んの!?」
タクミ「これ、視界ゼロだぞ!?」
カズ「命懸けの50メートル走……!」
体育館に鳴り響く謎の歓声。
黒い影が4つ、転倒しながらバトンを繋ぐ。
女子たち「キャー!杏仁豆腐がモジモジしてるー!!」
男子たち「がんばれ!変態共ー!!」
ユウ(息が切れる。でも、なんか笑えてくる)
「俺ら……最高にバカだな」
カズ「でも、楽しいだろ?」
ユウ「……うん」
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◆ 放課後、職員室前にて
先生「で、反省は?」
ユウ「全力でモジモジしました!」
先生「……次やったら、タイツ没収な」
ダイキ「じゃあ次はスケスケで!」
全員「おいバカ!!!」