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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
21/27

バサバサパンデミック!〜恋と誤解とアイライン〜

昼休み、購買前のベンチ。

あんパンをかじる俺ら4人の間で、いつも通りどうでもいい会話が始まった。


ユウ「なあ、お前ら。どんな子がタイプなん?」


ダイキ「お、出た!青春会議〜!」


カズ「どうせまたユウが変なこと言うやつだろ」


ユウ「変じゃねぇ!純粋な研究だよ。青春の探求」


タクミ「探求先が下心なんだよ」


ユウ「うるせぇ!俺はな、腰フェチなんだよ」


カズ「ほら始まった」


ダイキ「お前のフェチっていつも物理的だよな」


ユウ「いや聞け!ビーナスのエクボ、あれ最高じゃね?あとアイライン濃い人!まつげバサバサ!」


タクミ「それゾンビじゃん」


ユウ「違うっ!!生命力の象徴だよ!」


カズ「いやもう“バサバサ”しか残ってないけどな」



そこへ、通りすがりの女子たちの声。


女子A「ねぇ、“杏仁豆腐”のユウくんって、アイライン濃い子がタイプなんだって」

女子B「腰フェチでバサバサが好きなんでしょ?」

女子C「なんか語感だけ聞くと不安になるんだけど」


ユウ「ちょっ、どっから情報漏れてんの!?」


ダイキ「お前が購買で“ビーナスのエクボ最高!”って叫んでただろ」


ユウ「……公開処刑かよ!」



翌日。


廊下を歩くと、女子たちの視線がやけに熱い。

いや、正確に言うと――目の周りが黒い。全員。


ユウ「……なんか今日、廊下まぶしくない?」

カズ「お前のせいでアイライン文化が進化してる」

ダイキ「もはやバサバサパンデミックだな」

タクミ「お前、感染源」


ユウ「ちょ、なんで俺がウイルス扱い!?」



そんな中、購買に現れた“本家”がいた。

ポニーテールを揺らし、鋭くも綺麗な目元。

ミナミ先輩だ。


ユウ「(……で、出た……アイラインの完成形……)」


ダイキ「おい、口開いてる」


タクミ「閉じろ、涎垂れてる」


ミナミ先輩がこちらに歩いてくる。

あの目で、まっすぐユウを見て。


ミナミ先輩「ねぇ、あんたが“バサバサ好きのユウ”?」


ユウ「!!?!?えっ、えっ、ち、違っ……その、これは文化的誤解でして!」


ミナミ先輩「ふーん。じゃあ、どのくらい好きなの?」


ユウ「そ、それは……あの、視界が翳るくらい……?」


ミナミ先輩「……変態だね、あんた」


ユウ「誤診だぁぁぁ!!」


カズ「おめでとう、公式に誤解確定」


ダイキ「パンデミック拡大中!」


タクミ「青春の終焉は早かったな」



放課後、帰りのチャリで。


ユウ「俺、明日からマスクしてくわ……アイラインウイルス拡散防止」


カズ「自覚ある感染源」


ダイキ「でもよ、笑ってくれたじゃん、ミナミ先輩」


ユウ「……見えた?」

タクミ「ちょっとだけ、口角上がってたな」


ユウ「…………ワクチンできたかも」



夕暮れの風がバサバサ吹く。

それはまるで、恋と誤解が空に舞い上がる音だった。

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