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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
21/192

バサバサパンデミック!〜恋と誤解とアイライン〜

昼休み、購買前のベンチ。

あんパンをかじる俺ら4人の間で、いつも通りどうでもいい会話が始まった。


ユウ「なあ、お前ら。どんな子がタイプなん?」


ダイキ「お、出た!青春会議〜!」


カズ「どうせまたユウが変なこと言うやつだろ」


ユウ「変じゃねぇ!純粋な研究だよ。青春の探求」


タクミ「探求先が下心なんだよ」


ユウ「うるせぇ!俺はな、腰フェチなんだよ」


カズ「ほら始まった」


ダイキ「お前のフェチっていつも物理的だよな」


ユウ「いや聞け!ビーナスのエクボ、あれ最高じゃね?あとアイライン濃い人!まつげバサバサ!」


タクミ「それゾンビじゃん」


ユウ「違うっ!!生命力の象徴だよ!」


カズ「いやもう“バサバサ”しか残ってないけどな」



そこへ、通りすがりの女子たちの声。


女子A「ねぇ、“杏仁豆腐”のユウくんって、アイライン濃い子がタイプなんだって」

女子B「腰フェチでバサバサが好きなんでしょ?」

女子C「なんか語感だけ聞くと不安になるんだけど」


ユウ「ちょっ、どっから情報漏れてんの!?」


ダイキ「お前が購買で“ビーナスのエクボ最高!”って叫んでただろ」


ユウ「……公開処刑かよ!」



翌日。


廊下を歩くと、女子たちの視線がやけに熱い。

いや、正確に言うと――目の周りが黒い。全員。


ユウ「……なんか今日、廊下まぶしくない?」

カズ「お前のせいでアイライン文化が進化してる」

ダイキ「もはやバサバサパンデミックだな」

タクミ「お前、感染源」


ユウ「ちょ、なんで俺がウイルス扱い!?」



そんな中、購買に現れた“本家”がいた。

ポニーテールを揺らし、鋭くも綺麗な目元。

ミナミ先輩だ。


ユウ「(……で、出た……アイラインの完成形……)」


ダイキ「おい、口開いてる」


タクミ「閉じろ、涎垂れてる」


ミナミ先輩がこちらに歩いてくる。

あの目で、まっすぐユウを見て。


ミナミ先輩「ねぇ、あんたが“バサバサ好きのユウ”?」


ユウ「!!?!?えっ、えっ、ち、違っ……その、これは文化的誤解でして!」


ミナミ先輩「ふーん。じゃあ、どのくらい好きなの?」


ユウ「そ、それは……あの、視界が翳るくらい……?」


ミナミ先輩「……変態だね、あんた」


ユウ「誤診だぁぁぁ!!」


カズ「おめでとう、公式に誤解確定」


ダイキ「パンデミック拡大中!」


タクミ「青春の終焉は早かったな」



放課後、帰りのチャリで。


ユウ「俺、明日からマスクしてくわ……アイラインウイルス拡散防止」


カズ「自覚ある感染源」


ダイキ「でもよ、笑ってくれたじゃん、ミナミ先輩」


ユウ「……見えた?」

タクミ「ちょっとだけ、口角上がってたな」


ユウ「…………ワクチンできたかも」



夕暮れの風がバサバサ吹く。

それはまるで、恋と誤解が空に舞い上がる音だった。

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