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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
20/31

恋するおにぎり大作戦!

 後夜祭、二日目の夜。

 俺たち杏仁豆腐は、再びおにぎりを握っていた。

 前回の“地獄ロシアンおにぎり”からまったく反省していない。


ダイキ「なぁ、今回はイタズラじゃなくて“夢”を詰めようぜ」

ユウ「夢?」

カズ「どうせまたくだらないこと考えてるんだろ」

ダイキ「フッフッフ……“連絡先入りおにぎり”だ」

タクミ「バカじゃねぇの?」

ユウ「いや待て、嫌いじゃないぞ、その発想」


 つまり──

 女子に渡すおにぎりの中に、自分のLINE IDやメッセージをこっそり仕込む。

 当たった子と仲良くなれるかも!?という、男子高校生脳100%の作戦である。


ユウ「で、どうやって入れる?紙入れたらバレるよな」

カズ「米粒でQRコード作る?」

ダイキ「お前、天才か狂人かどっちかだな」

タクミ「俺、筆で“タクミ参上♡”って書いて海苔に貼る」

ユウ「ダサっ!」


 そんなくだらない話をしながら、俺たちは笑い転げつつ夜食を完成させた。


 ──そして翌日。


 配布ブースに並ぶ女子たち。

 男子たちはソワソワしながら様子を見守る。


カズ「……誰か、読んでるぞ」

ダイキ「マジか!?どの子!?」

タクミ「金髪っぽい子が海苔見てる!」

ユウ「えっ、それ俺の隣のクラスの!」


 金髪の女子が、おにぎりをまじまじと見つめて──

 眉をひそめた。


「……『タクミ参上♡』って何?」


タクミ「やべぇ、声に出された!!」

ユウ「はい死亡〜〜〜〜!!」

カズ「心の中で読まれる前提だったのに!」

ダイキ「もはや羞恥プレイ!!」


 混乱の中、さらに悲劇は続く。


「……ねぇ、このおにぎり、なんか中に紙入ってる」


 別の女子が、見事にユウ特製の「LINE ID入りおにぎり」を発掘。

 中から出てきたのは、油まみれのメモ紙。


『ゆうです!一緒に音楽の話しませんか!』


カズ「うわぁぁぁ、湿ってる!!」

ユウ「もうやめて!俺の心が折れる!!」

タクミ「ていうかそれ、衛生的にアウトだから!」


 最終的に、おにぎりブースは教師陣に回収された。

 先生(例の佐久間)が現れて一言。


先生「……“恋も飯も、腹八分目”ってな」

ユウ「うまいこと言ってるけど、全部バレてる!!」


 俺たちは机に突っ伏して笑った。

 ロマンは爆死したけど、それでもなぜか胸の奥が熱かった。

 こういうくだらない夜を、俺たちはきっと一生覚えてる。


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