昼休みの洗礼
入学から数日後。
まだクラスに馴染みきれない新入生たちの中で、俺たち四人は自然と机を寄せて弁当を広げていた。
ダイキ「なあなあ、見ろよ!俺の母ちゃん、初日から唐揚げ10個も詰めてきやがった!」
ダイキが弁当箱を開いた瞬間、机の上に油の匂いが広がる。
カズ「……いや、すげぇな。でもそれ一人で食えるの?」
ダイキ「もちろん!俺は唐揚げ製造機に育てられたんだ!」
そう豪語して一口で唐揚げを頬張るダイキ。
油でテカテカになった口で俺たちに笑いかける。
ユウ「製造機なら食う側じゃなくて作る側だろ」
タクミ「しかも見た目が唐揚げに寄ってきてるぞ」
ダイキ「おい!誰が衣サクサクや!」
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食堂では別のクラスの女子たちがキャッキャしている。
タクミはちらっと視線を向けられただけで、なぜか女子の笑い声が上がった。
ユウ「お前、顔面偏差値高すぎ問題」
タクミ「俺はただ飯食ってるだけだ」
カズ「いや、それで絵になるのがズルいんだって」
ダイキ「……くそぉ、俺も唐揚げで女子にモテたい!」
ユウ「それはもう“油通し”っていう別ジャンルだから」
カズ「調理法で勝負するな」
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昼休みのざわめきの中、俺たちはしょうもないボケとツッコミを繰り返しながら、だんだん“4人セット”としてクラスで認識され始めていた。