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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
19/28

後夜祭パニック!おにぎりは爆弾

 後夜祭の夜。

 体育館の裏で、俺たち杏仁豆腐は円になって座っていた。

 生徒会が用意した「ありがとうおにぎり」を、完全にロシアン仕様にしたのは──言うまでもなく俺たちだ。


ユウ「さぁーて、どれが地雷かねぇ」

ダイキ「地雷というか兵器だろ」

カズ「なんだっけ?今回のラインナップ」

タクミ「イチゴジャム、カラシ、グミ、あと……何これ?」

ユウ「キムチ+板チョコの“融合系”」

カズ「お前、悪魔か」


 じゃんけんもそこそこに、全員で一斉にかぶりつく。


 ──カラシ。

 ──グミ。

 ──イチゴジャム。

 ──キムチ+板チョコ。


タクミ「ッッッぶぁぁぁ!!!舌が燃えるっ!!」

ユウ「王子、見事な火力だな」

ダイキ「俺の歯、グミで折れるかと思った!」

カズ「ジャムは意外とアリ……いや、やっぱ無理!」


 腹を抱えて笑ってると、背後からぬるりとした気配。


「……お前ら、なにしてんだ」


 振り向くと、担任の佐久間先生。

 腕を組んで仁王立ち。目が完全に“見抜くモード”。


ユウ「せ、先生!?えっとこれは、友情の証というか!」

先生「友情(食品テロ)か。ほう、なら一個もらおう」


 先生、まさかの実食。

 一瞬で顔がゆがむ。


先生「……ワサビだな。チューブごと入ってる」

ユウ「えっ、それ仕込んだの誰!?」

カズ「知らん、俺じゃない!」

ダイキ「俺も!てか入れてねぇよ!」

先生「……ユウ、お前だな」

ユウ「なんでわかるんすか!?」

先生「お前、バカな時ほど眉が上がる」

ユウ「観察眼エグいな先生!」


 先生は苦しみながらも続ける。


先生「グミ入りは……ダイキ。カラシは……タクミ。イチゴジャムは……カズ」

全員「なんで全部当たるんだよ!!!」

先生「授業中にお前らの好物と悪巧みを観察してるからな」

ユウ「生徒観察スキル高っ!」


 先生は涙目で、それでも少し笑った。


先生「まぁ……青春ってのは、くだらないほど、ちゃんと光るもんだ」

ユウ「先生、それ泣きながら言うセリフじゃないっすよ」

先生「ワサビが……効いてるだけだ」


 俺たちは笑い転げた。

 夜の冷たい空気の中、笑い声だけがずっと残っていた。


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