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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
18/27

文化祭当日!

露店のドタバタ


校門をくぐると、いつもの校舎がまるで遊園地みたいになっていた。

焼きそばの香り、わたあめの甘い匂い、かき氷のカラフルな旗。

「すげぇ!腹減った!」

ダイキが最初から全開。

「お前、開会式より早く焼きそばに並ぶな!」


俺たちも気がつけば焼きそば、フランクフルト、たこ焼き……両手に屋台メシ。

「お前ら、ステージ前に食いすぎて動けなくなるぞ」

「大丈夫、腹ごなしに演奏するから!」

(完全にフラグ)



他校の来場者


昼頃になると、校舎の廊下は他校の生徒であふれていた。

「え、他校の女子めっちゃ来てんじゃん!」

「杏仁豆腐、見に来るって噂になってんだぜ」

「マジで!?俺らモテ期到来!?」


……そんなテンションの中、タクミの顔色が変わった。



因縁の女子


人混みの向こうに立っていたのは、制服の違う女子。

長い髪を揺らしながら、まっすぐこちらを見る。


「……あ」

タクミが足を止める。


あの女子――かつてタクミが告白して、手酷く振られた相手だった。

笑顔の裏で冷たく切り捨てた、あの声。


ダイキが気づき、小声で俺たちに囁く。

「やば、あいつが伝説の……」

「今ここで来るかよ!」



ステージ直前


「……歌えるか?」

俺がタクミに声をかけると、彼は無理に笑って頷いた。

「大丈夫、大丈夫だって」

――でも、その手は震えていた。



ステージ


最初の曲は盛り上がった。

観客も手拍子をして、ノリは最高。

女子の歓声も飛んでくる。


……けれど二曲目。

タクミの視線が、観客席の彼女に絡んでしまった。

マイクを握る声が震える。


歌えない。



咄嗟のフォロー


沈黙を破ったのは、カズだった。

ギターを弾きながら、自然に歌に入る。

「……っ!」

観客は気づかない。

むしろ「おお!ツインボーカル!?」と歓声が上がる。


その瞬間、俺は決断した。

空いたギターパートに手を伸ばす。

「ここは……俺がやる!」


リズム感壊滅の俺が、必死でコードを追いかける。

手汗で指板が滑る、それでも歯を食いしばってかき鳴らす。



タクミの選んだ答え


タクミは震える手でマイクを下ろした。

そして――ドラムセットの後ろに座る。


「……タクミ!?」


次の瞬間、彼は無心でドラムを叩き始めた。

感情を叩きつけるようなビート。

叫ぶような音。

観客は、その迫力に息を呑んだ。



観客の反応


「やばっ!ボーカルがドラム叩いてんぞ!」

「かっけぇぇぇ!!」

「何この展開!鳥肌立つ!」


観客の熱気は逆に最高潮へ。

カズの声、俺のギター、ダイキのベース、そしてタクミのドラム。

予定外の構成が、奇跡みたいにひとつになった。



ラスト


曲が終わった瞬間、割れんばかりの拍手。

ステージの上で息を切らす俺たち。


タクミは黙ったまま、ほんの一瞬だけ笑った。

――それはきっと、今までで一番カッコいい笑顔だった。

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