灰色の影、大量発生
教室にドサッと置かれた大きな袋。
俺がニヤリと笑う。
「じゃーん!全員分の衣装、買ってきました!」
中から出てきたのは――
大量の灰色全身タイツ。
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阿鼻叫喚
「ちょっ、お前正気か!?」
「これ……完全にモジモジくんやん!」
「ホラーじゃなくてコントだろ!」
タクミが渋い顔でタイツを手に取る。
「俺がこれ着たら……せっかくのイケメンが台無しだぞ」
「大丈夫、台無しになる顔もまた芸術だから」
カズはすでに笑い転げている。
「おい、これ絶対お客より俺らが恥ずかしいやつだろ!」
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強制試着タイム
「ほら、文句言わず着ろ!」
俺が主導で、みんなを半ば強引にタイツにねじ込む。
タクミ:185cmの長身がモジモジくん化、迫力ゼロ。
ダイキ:タイツがピチピチすぎて「お餅みたい」と笑われる。
カズ:普通に似合ってしまい逆に腹立つ。
俺?もちろん率先して灰色モジモジ。
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大爆笑のリハーサル
全員で並んで歩いてみる。
「……なんかホラーっていうより、新しい戦隊ヒーローみたいだな」
「灰色戦隊モジレンジャー!」
「お前ら……文化祭で伝説作るな、これは」
笑いすぎて床を転げ回る。
準備のはずが、教室は大爆笑の渦。
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先生登場
そこに担任が入ってきた。
「おい、お前ら何してん……」
タイツ軍団を見て、言葉を失う。
「……文化祭、頑張れよ」
無表情で立ち去る先生。
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こうしてクラスのお化け屋敷は、
恐怖よりも「笑い死に注意」の路線で固まっていったのだった。