クラスの出し物
ホームルーム
担任がプリントを配りながら言う。
「文化祭の出し物、まだ決まってないクラスは急げよー」
「おい、俺ら出し物どうする?」
「え、バンドやるから十分じゃね?」
「クラスとしてもなんか出さなきゃダメなんだって」
議論の結果、クラスは――まさかの「お化け屋敷」に決定。
男子率高めのクラスで、全員ノリノリ。
「俺、ゾンビ役やるわ!」
「お前ただでさえ顔色悪いからそのままでいい」
お化け屋敷準備会議
放課後の教室。
黒板に「お化け屋敷」とデカデカ書かれて、いよいよ準備会議が始まった。
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タクミ(イケメン)
「俺はやっぱ、吸血鬼だろ」
自信満々に言うタクミ。
「黒マント着て、美女を襲う感じ」
「お前だけ少女漫画やん!」
「イケメン特権の無駄遣いすんな!」
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ダイキ(色黒ぽっちゃり・腐)
「俺は……チェーンソー持った殺人鬼で!」
「お前それお化けじゃなくて通報案件!」
「しかも演技中に絶対笑い崩れるだろ!」
「笑いながらチェーンソー振るな!」
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カズ(ニコニコツッコミ)
「俺は……逆にただのサラリーマンとかでいいんじゃね?」
「なんで!?」
「スーツ着て無表情で机に座ってんの。怖くない?」
「いやリアルすぎて生々しいわ!」
「働く未来を見せられる恐怖……」
「それは確かに一番怖い」
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ユウ(俺)
みんなの視線が俺に集まる。
「……じゃあ俺は、壁に同化する『灰色の影』やる」
「出たよネガティブ!」
「お前だけシリアスホラー路線いくな!」
「でも、地味に本格派で怖そう」
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カオスな結論
最終的に――
「吸血鬼」
「チェーンソー殺人鬼」
「無表情サラリーマン(カズ)」
「灰色の影」
「ジャンルめちゃくちゃやん!!!」
「でも逆に怖いだろ、方向性がバラバラすぎて!」
「ホラーのカオス鍋や!」
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こうして俺たちのクラスのお化け屋敷は、
「学園ホラークロスオーバー劇場」みたいな意味不明な方向に進んでいったのだった。