オリジナル曲を作ろう!
「文化祭でやる曲さぁ……」
放課後の教室で、俺がポツリと言った。
「せっかくだから、オリジナル曲も作んね?」
全員の手が止まる。
「マジで?」
「え、それ本気?」
「俺らが作曲?大丈夫か?」
しばし沈黙のあと──
「……カッコよくね?」
「やろうぜ!杏仁豆腐のテーマ!」
「曲名ダサすぎるだろ!」
こうして俺たちの「曲作り編」が始まった。
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作詞地獄
まずは歌詞。
タクミがノートにサラサラ書き始める。
「青春とか、夢とか、希望とか──」
「おい、それJ-POPで死ぬほど聴いたやつ!」
カズが笑いながら横取りし、
「じゃあギャグ路線でさ、“チャリで校舎を駆け抜けろ” とか?」
「……それ、俺ら実際やったな」
ダイキがさらに乗っかる。
「“購買パン争奪戦”とか歌詞に入れよ!」
「杏仁豆腐って単語も必須だな!」
結果、ノートには青春とバカのカオスな歌詞が並んでいった。
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作曲カオス
次はメロディ。
ギターを持ったカズが試しに弾く。
「ジャーン♪」
「おお、カッコいい!」
俺もギターで合わせる。
「ジャンジャカジャン!」
「お前弾けんならギターやれよ!」
「だってドラムでモテたいじゃん!」
ダイキはベースでブンブン鳴らし、タクミは横で「ラララー♪」と鼻歌。
……曲というより、ただの騒音だった。
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それでも楽しい
「全然形にならねぇ!」
「でも楽しいな!」
「なんか……これが青春ってやつ?」
気づけば日が暮れて、教室はオレンジ色。
机の上は落書きと歌詞のカケラでいっぱいだった。
結局曲はできなかったけど、笑いながら過ごしたその時間こそ、俺たちの音楽だった。