初スタジオ!理想と現実
スタジオに入った俺たち。
壁一面の鏡、ギターアンプ、ドラムセット。
まるでプロの部屋みたいな光景に全員テンション爆上がり。
「よっしゃ!杏仁豆腐、いざ初音合わせ!」
カウントを取るタクミ。
せーの──
ドチャクソにズレた音が鳴り響いた。
⸻
カオスの地獄絵図
タクミはイケボで歌い出すが、ギターのカズがテンポ迷子。
ベースのダイキは指が追いつかず、変な音ばっか。
俺はドラムを叩きながら、早すぎて全員をぶっ壊す。
タクミ「おいユウ!BPMどこいった!」
ダイキ「待って!指痛い!」
カズ「コード進行忘れた!」
ユウ(俺)「うるせぇ!俺の心臓のリズムに合わせろ!!」
「「「お前の心臓壊れてんだよ!!」」」
爆笑しすぎて練習にならない。
⸻
実はギター弾ける
カオスの後。
俺はふと、壁に立てかけてあったカズのサブギターを手に取った。
試しに弾いてみる。
……スラスラ。
「えっ!?ユウ、それ普通に弾けんの!?」
「ちょ、待って!俺より弾けてね!?」
「お前、なんで黙ってた!?」
俺は肩をすくめて笑った。
「……だって、ギターは弾けても、ドラム叩いてるほうがバカっぽくて楽しいんだよ」
一瞬の沈黙の後、全員が爆笑した。
⸻
理想と現実のギャップはデカすぎたけど、それも含めて最高に楽しかった。
そして俺たちは、ますます文化祭ステージに夢を膨らませていった。