表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
106/195

オレオ誤報事件 ― 甘さと誤解とカカオの午後 ―


放課後、旧音楽室。

ちゃぶ台にオレオと笑い声。

杏仁豆腐は今日も、真面目にバカをやっていた。


ユウ「……俺、好きなんだよ」

カズ「おっ、恋バナ?」

タクミ「どうせミナミ先輩の話だろ?」

ユウ「いや、たぶんミナミ先輩もオレオ好きだよな?」

(オレオ、ボリボリ)


ダイキ「お菓子の話かよ!」

カズ「いや、言い方が誤解生むタイプ!」

タクミ「毎回、発音が青春クラッシャーなんだよ!」


──その“音”は、外にも漏れた。

廊下を歩く女子たちの耳に。


「……ミナミ先輩も、俺を好きだよな?」


──空気が止まり、次の瞬間、弾けた。



◆ 校内、誤解感染中。


「ユウが“ミナミ先輩、俺を好きだよな”って言ってた!」

「杏仁豆腐とミナミってやっぱ……!」

「恋始まったじゃん!!」


噂は、音速で燃え広がった。

根拠ゼロ、温度100。

それが青春だ。



◆ ギャル神社(昼休み)


レイナ「ねぇミナミ、聞いた? “俺を好きだよな”って」

アイカ「またユウの爆音誤解シリーズ。」

ミナミ「……くだらない。あんなバカに惚れてるみたいに言われるとか、ムカつく。」

レイナ「顔ちょっと赤いけど?」

アイカ「ムカつくって言いながら、テンション上がってんじゃん。」

ミナミ「……黙れ。」


(バカの言葉なのに、刺す言い方する。ああもう、ムカつく。)



◆ 放課後・旧音楽室


ドラムの音が止む。

静けさを割って、スニーカーの音が近づく。


ミナミ「ねぇ、ユウ」

ユウ「は、はい!」

ミナミ「“好き”って、どういう意味?」


ユウ「え? オレオっすけど?」

ミナミ「……俺を?」

ユウ「はい、オレオです!ミナミ先輩も、オレオ好きですよね?」


(俺を…何?その自信……聞き方、ずるい)


ミナミ「……まぁ、嫌いじゃない」

ユウ「よかった!嬉しいです!」


──オレオを差し出す。


沈黙。

ミナミ、ふっと息をこぼす。


(お、お菓子ね……)


そのとき、廊下の向こうから声が飛ぶ。


レイナ「オレオかよ!!!」

アイカ「恋の名にしてはカロリー高ぇな!!」


ユウ「???」

ミナミ「……ほんと、バカ。」



夕陽に溶けるチョコの香りと笑い声。

“俺を”と“オレオ”。

その一文字差で、恋とバカが混ざり合う午後。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ