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青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
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真夜中のプール遁術 ― バカは月下にて解放す

──夏の夜。

校舎は寝息を立て、街灯だけが息をしていた。

だが、俺たち杏仁豆腐は寝なかった。

理由?単純だ。


「暑い。……プール、行こうぜ。」


タクミ:「は? 正気か?」

カズ:「いや、ユウが正気だったことあった?」

ダイキ:「青春の夜は、理性が溶ける!!」

ユウ:「名言出た。今、バカが覚醒した!」


──その夜、4人の脳細胞が集団退職した。



◆ 潜入成功(バカの呼吸)


体育館裏。フェンス越え。

月明かりが肌を照らす。

プールの水面が、まるで“悪い誘い”みたいに静かに揺れていた。


カズ:「やべぇ、誰もいねぇ。マジで貸切じゃん。」

タクミ:「いや、だからヤバいんだって……!」

ユウ:「静けさはロマン。夜の水面は青春の鏡。」

ダイキ:「もう詩人になってる。泳ぐ気ゼロ。」


──風が吹いた。水が呼んだ。バカが動いた。



◆ 水着問題勃発


ユウ:「よし、入るぞ!」

カズ:「……いや、水着は?」

ダイキ:「持ってきてねぇ!」

タクミ:「オレも!」

ユウ:「全員、持ってきてねぇの!?」


──沈黙。

──虫の声。

──IQ、同時に落下。


カズ:「どうすんだよ……」

ユウ(キッと顔を上げる):「決まってんだろ……」


(間)


ユウ:「水着がないなら──脱げばいいでしょ!」(キリッ)


タクミ:「いや、貴様だけ脱げ!」

カズ:「どこのフランス革命だよ!」

ダイキ:「青春、全裸開国ーーー!!」


──全員、脱いだ。

月が見ていた。多分、ドン引きしていた。



◆ 全裸入水 ― 解放の儀


ユウ:「夜の水は自由だ!!」

カズ:「お前の自由、裸縛りなのか!!」

ダイキ:「冷たッ!!縮むッ!!」

タクミ:「この水温、拷問!!」

ユウ:「それでも……!心は熱い!!」

カズ:「身体は寒いんだよ!!」


──水しぶきと笑い声。

──プールが青春の証拠保管庫になった。



◆ 教師、出陣。


「おい!! 誰かいんのかぁ!!」


全員「やべっ!!!」

ダイキ:「水遁の術ーー!!」

タクミ:「無理無理!俺、浮くタイプ!!」

カズ:「浮力が敵ぃぃぃ!!」


教師の懐中電灯が水面をなぞる。

ユウ(心の声):「……俺、今、夜に溶けてる……」


教師:「……幽霊?」

ユウ(泡の中):「違う、青春だ……!」



◆ 翌朝。


体育館裏、職員朝礼。

体育教師:「夜中のプール……誰だ?」

(ユウの髪、塩素の匂い)

教師:「お前、泳いだな?」

ユウ:「……青春の残り香です。」

教師:「バカの芳香剤!!」



◆ 放課後・ギャル神社(仮)


レイナ:「ねぇ、杏仁豆腐、全裸で泳いだってマジ?」

アイカ:「“知性の蒸発実験”ってレポート出したい」

ミナミ:「……夜のプールで笑えるやつ、嫌いじゃない。バカって、熱がある証拠だから。」


風鈴が鳴る。笑い声が溶ける。

ギャル三柱の笑みは、どこか優しかった。



◆ エンディング


ユウ:「あの夜、俺たちは“理性”という服を脱いだ。」

カズ:「お前、その言い方毎回犯罪だぞ。」

ダイキ:「でも楽しかったろ?」

タクミ:「……馬鹿は風邪ひかない。多分、恋もしない。」

ユウ:「いや、青春してるから大丈夫だ。」


──月が笑って、夜が静かに拍手してた。

「水着がないなら脱げばいい」

それが、俺たちの夏の宣言。


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