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サイドショット:三柱の帰路
──夕方。
マックデスマッチの戦場跡地、校門前。
紙袋と笑い声の残骸だけが、春風に転がってた。
レイナ「……結局、全部食ったね、あの人たち」
アイカ「青春の燃料が、脂ってどうなのよ」
ミナミ「……でも、笑ってた。あれでいい。」
レイナ「ミナミ、ちょっと顔ゆるんでない?」
ミナミ「……別に。胃もたれしてるだけ。」
アイカ「顔に“青春の油分”ついてるわよ」
レイナ「やめてwそれ可愛いじゃんw」
三人で歩く下校路。
グラウンドの向こうでは、杏仁豆腐がまだ騒いでる。
残照の中、白い息が笑いに混ざる。
ミナミ「……恋って、ああいうバカが始まりなんだろうね」
アイカ「始まっても、まとまらないやつ」
レイナ「でも、眩しいじゃん。腹の底から笑えるやつって、かっこいいもん。」
ミナミは一瞬だけ足を止める。
風が髪を揺らした。
「……ほんと、飽きない。いい。」
レイナ「なにが?」
ミナミ「“青春”ってやつ。」
笑って、三人並んで歩き出す。
ヒールの音とスニーカーの音が、夕方の空気に溶けていった。
──恋よりも熱。
今日も、観測中。




