セトリとモテたい
楽器屋帰り、ファミレスに集合。
机の上には、買ったばかりの楽器カタログとドリンクバーのコップ。
「よし!まずは曲決めだ!」
俺が威勢よく言うと、全員が真剣な顔になる。
タクミ「……やっぱ最初は流行りのJ-POPじゃね?」
カズ「いや、アニメの曲とか盛り上がるって!」
ダイキ「ボカロも捨てがたい!」
ユウ(俺)「……ポケモンのバトル曲は?」
「「「それは無い」」」
議論は深夜のファミレス会議並みに白熱した。
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モテたい欲望の暴走
「ていうかさ」タクミが不意に言った。
「俺ら、モテたくね?」
「…………」
沈黙の後、全員が頷いた。
「モテたい!!」
「文化祭でキャーキャー言われたい!」
「ギター弾いて女子が名前呼んでくれるやつやりたい!」
「ベースで低音効かせて”ダイキー♡”って言われたい!」
「ドラムでスティック投げてキャッチしてモテたい!」
全員が妄想に取り憑かれ、セトリはどんどんカオスに。
カズ「ラブソングは必須!」
タクミ「あとアップテンポで盛り上がる曲!」
ユウ「ていうかオリジナル曲作っちゃう?」
ダイキ「“杏仁豆腐のテーマ”……」
ファミレスの紙ナプキンは、落書きと曲候補でぐちゃぐちゃに。
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結論(?)
結局その日は、
•有名なJ-POP
•盛り上がるアニソン
•そして謎の「杏仁豆腐のテーマ(仮)」
というよく分からんセトリで落ち着いた。
「……で、練習は?」
「……まだ楽器持って帰ってもねぇ」
モテたい欲望だけが燃え上がり、俺たちの文化祭ステージへの妄想はますます膨らんでいった。