はじまりは面接から
青春なんて、振り返ればいつだってバカみたいで、でもどうしようもなく輝いている。
これは、そんな日々の記録。
俺たちの青春コメディはここにある!
四月。桜がまだ少し残る季節。
新入生たちは大きめの制服に身を包んで校門をくぐっていく。
ここは県内でもちょっと名の知れた進学校。
共学のはずなのに、俺たちのクラスは男子率がやたら高くて、雰囲気はほぼ男子高だった。
⸻
◆グループ面接・三人組
数週間前の話。入学前の面接会場。
俺は緊張しながらも、隣に座った二人の顔を横目でちらちら見ていた。
ひとりは人懐っこそうな笑顔を浮かべるカズ。
もうひとりは背の高い、どこか落ち着いた雰囲気のタクミ。
試験官の先生が淡々と質問を投げかける。
「では次に、誕生日を教えてください」
カズ「◯月△日です!」
ユウ「俺はその次の日です」
……一瞬、沈黙。
次の瞬間、カズがにやっと笑って俺のほうを見る。
ユウも思わず、真顔でこう返した。
「いや、誕生日つながりで面接合格ってありですか?」
タクミ「……(吹き出しそうになって必死で口を押さえる)」
試験官(眼鏡を外して咳払い)「……えー、とにかく。次の質問に移りましょう」
──面接会場なのに。
緊張感が一瞬で崩壊した瞬間だった。
⸻
◆入学式後の顔合わせ
その後。入学式を終えて教室で新入生同士の顔合わせ。
教室の前列で、やたら声の大きい男子が誰かに肩を叩かれていた。
ダイキ「おおっ!?ユウじゃねぇか!お前、推薦か?マジかよ!」
彼は同じ中学出身のカズと一緒に入学してきたらしい。
ダイキは色黒ぽっちゃりで、やたらテンションが高い。
ダイキ「なぁなぁ、バスケ部入るか?いや野球か?てか飯食い行こうぜ!」
カズ「おいダイキ、落ち着けって。まだ教科書も配られてないからな」
そんな二人に合流するように、タクミもやってくる。
タクミ「……なんか、お前ら見てると、入学早々うるさいな」
ユウ「いや、まだ俺は何もしてないだろ」
カズ「いや面接でやらかしてたじゃん」
ダイキ「は!?なんだよそれ!」
ユウ&カズ(同時に)「誕生日一日違い!」
タクミ(吹き出す)「……やっぱ変な奴らだな」
──こうして、妙に騒がしい四人組が生まれた。