三班
【第十部】グリッジ帝国編
後書きもお楽しみ下さい
一日一話投稿していきます
エンペス辺境伯邸にて、兵団幹部が集まる
「ユリウス公が挙兵して、ユリウス公国と名乗り独立したようです
そしてタルト村は残念ながら接収されてしまいました
幸いな事にも、エッジが早々に降伏して被害はほとんどなく、兵士に関してはウィンブルで拘束されているとのことです
徴税されるようになりましたが、ひとまず経済活動は通常通り動いていると連絡が入っています
それでおれ達は今回王陛下より、マルス公に合流するようにとの命令が下されました
なので、派遣する兵数及び物資の運搬など決めたいと思います」
アンリが最初に発言する
「小生はいち早くタルト村の奪還を進言致します
我らが同胞のエッジやジダンに村民が大勢居ます
騎士団を船で運搬し、早急に奪還してみせます」
「分かりました
他に意見は?」
次にパージが発言する
「馬の運搬なら任せてくれ
資材が後回しなら百騎は一気に運べる」
「パージ殿ありがとう
百騎も派遣してしまうと森林のトレント材が運べなくなり、こちらの経済が止まってしまう可能性があります
騎士団五十騎と兵士団から五十人程お借り出来れば、あそこは対魔物用の簡単な柵しかありませんから、強襲すればタルト村の奪還及び防衛は叶うかと」
「アンリ、話は分かった
それでは兵士団から五十人出そう
タイラーテイラーの士長を行かせる
長弓班は防衛においては役に立つと思うぞ」
次にアステアが発言する
「ボレロ船の手配はパージさんの言う通りです
五隻はタルト村用に、海に関しては警戒を高めておきますので、十隻は通常貿易に、残り二十五隻は戦いに備えます
帝国が我らの船にちょっかいを出して来ないとも限りませんので」
そしてカイルが発言をする
「分かりました
では三班に分かれましょう
タルト村奪還班とマルス公爵合流班
それから海上班です
メンバーは、タルト村奪還班にアンリさん達騎士団にヒールの使える救護班を十人
怪我をしても救護班が居るので、安心して戦ってください
エリサはアステアと海上の警戒にあたって欲しい
遠距離攻撃が出来るエリサとアステアが居れば、そう負けることはないと思う
おれとボーズはマルス公爵合流班でどこにでも動けるようにしておきます
エルさんはエンペスの防衛をお願いします」
数日後
カイルの指示通りに、アンリ達百人とパージと馬を乗せた五隻の船は、タルト村に向けて出発した
そしてさらに数日後
マルス公爵領に向けて出発しようというとき
アステアが駆け込んできた
「カイル大変だ!
帝国が帝国海兵団と海賊どもを使って、こちらのエンペスに攻めてくるという話が入ってきた」
「本当ですか!?
それで規模と時期は!?」
「それがモデオ共和国に行っている商船が掴んだ情報によると
帝国が海賊に声を掛けまくっていて、それに応じた海賊が続々とエンペスから近い中立国の港に集結しているらしい
帝国海兵は商船を接収して、そこに帝国兵が乗り込んで、帝国団艦として運用しているようなんだ
帝国は南の海には面していないから、川下りをして海で海賊と合流予定とのことだ」
「海賊がそんな簡単に応じるものなのですか?」
「それが…どうやら勝利の報酬として、このエンペスを分け与えると約束したようなんだ」
「それは聞き捨てならない話ですね
全力で守るしかないです」
「うん
時期は約二週間前後でここに到達する
上陸されると厄介だ
海上で迎え討つ!」
すぐにカイルはマルス公爵へ伝令を出した
タルト村奪還については既に連絡済みだが、今回は帝国が海上よりカンタラス王国を狙っていて、エンペスの兵力で迎撃するという旨を伝えた
辺境伯邸に幹部が集まる
「それでアステアさんの作戦を聞いても?」
「まず帝国側の用意出来た団艦の数が現時点で不明なんだ
おそらくだけど、帝国くらいの規模なら百隻は攻めてくると思う」
「百隻ですか…」
「数は帝国の方が圧倒的に多い
しかし編成は正式な帝国の団艦は一割
海賊船が三割、残り六割が商船ってところかな
海賊船なんて命を賭けて戦いはしないだろうから、商船がほとんどの可能性もある
ってことで俺からの作戦はこうだ」
数日後の海上にて
(ザザッ
ザブーン
ザザッ
ザブーン)
「ボーズ
落ちるんじゃないぞー」
「しかし凄いねギャラクシー船は
大きいのに速い」
「三本マストに三角帆だからな
風を切り裂いて進める」
「これならどこへでも行けそうね
私カンタラス王国を出た事ないわ」
「エリサ
この戦いが終わったら、僕と異国に…」
「あ!
見て!鯨よ!」
「エリサ…
ほ、本当だ鯨だー」
「アステアさん
航海は順調ですか?」
「順調だよ
あちらの船のほとんどは外洋には適さない
だから陸に沿って来るだろうから、数日で船団を見つけられると思う」
「しかしアステアさん
こちらは僅かギャラクシー船一隻で迎え討つとはね」
「色々考えたんだけどね
全船出すと被害が出てしまう可能性がある
だからギャラクシー船に戦力を集約して、外洋から遠距離魔法で攻撃する
もちろん向こうも魔法攻撃のことは想定してるだろうけど、こちらは外洋船だから近付いて来たら外洋に逃げるヒット&アウェイ作戦だ」
「分かりました
おれ達の力で叩き潰します」
それから一週間もすると、陸に沿って進む船団を見付けた
「おい!
みんな甲板に出て来てくれ!
やっぱり帝国のやつら、陸に沿って進んでる」
「さすがアステアさん
予想通りですね」
「良かった百隻もなさそうだ
さぁ早速だけど
みんなドンパチ行くよ!」
【人物紹介】
ルイーズ
年齢:三十七歳
生い立ち:生まれも育ちもルイーズ辺境伯領
家族構成:父親は辺境伯、母親は地方貴族の娘
一人っ子
子供は男の子二人居て、街民から嫌われている
特技:光魔法、貴族作法
episode:幼少期から母親に田舎貴族と舐められないように貴族作法を叩き込まれる
周りが全員自分の言うことを聞いてくれるため、不自由のない生活をしてきあ
当たり前ではあるが王都では自分が一番ではないことに不満を持っていて、ある会合で帝国側の人間と知り合い独立に向け画策する




