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皇帝アレキサンドリア・テセウス

【第十部】グリッジ帝国編

後書きもお楽しみ下さい

一日一話投稿していきます

グリッジ帝国

この大陸最大にして最恐

約四百年続いている帝国は、ここ二十年の間に支配地域の急拡大を行っていた

その間に攻め落とした国は、大小合わせて十ヶ国以上

支配地域はカンタラス王国の約三倍に膨らんだ

人口はカンタラス王国の五倍に近い五百万人

そしてこの帝国のトップに立つ人物こそ

名を『皇帝アレキサンドリア・テセウス』という

齢六十になるその姿は、とても六十とは思えぬほど老いており、彼が命を削って生きてきた証である


ここは帝国の帝都イシュタンレリオ

その宮殿内の皇帝執務室


「テセウス様

今年もまた国を一つ征服致しました

戦前降伏しなかったものですから、国民の三分の一を戦闘員として徴兵しました」

「そうか

こちらの損害は?」

「かなり優秀な魔法使いがおりまして、相手国の三倍は戦死致しました」

「ふん

想定通りか

まぁ良い、死んだ者は降伏せず征服した国の人間だ

魔法使いが居れば、魔力が尽きるまでそやつらが犠牲になれば良い

圧倒的な人柱で勝利を勝ち取るのだ」


グリッジ帝国は服従した国に関しては、自治や人権を認め、優秀な人材は登用するなど寛容に対応した

しかし徹底抗戦してきて征服した国には、国民のかなりの数を次の戦に同行させ、人柱として突撃させた

戦にて逆らった場合や逃げ出した場合は、家族親族を皆殺しにするなど、徹底的な恐怖政治を行った


その戦略を編み出したのが、テセウスだった

テセウスが皇帝になってから十年ほどは順調にいっていたが、実はここ十年非常に厳しい国内状況であった

自治を認めた国からあまり搾取が出来ず、征服した国はその戦略から大幅な人口減少を招き、経済や産業が停滞するなど多くの問題を抱えていた

そうなるとまた新たな国から搾取するしかなくなり、戦をやめる訳にはいかなくなってきていた


「それで次に狙っている国は?」

「次はカンタラス王国という国になります

そこは穀物と塩が多く取れるので、食料難の解消に役立つかと

それと大森林から鉄鉱石の産出に成功しているとの情報が入っていまして、それらの資源も我々の物になります」

「それは早急に滅ぼせば良かろう」

「それが…第一のターゲットではなかったのもありますが、一筋縄ではいかぬのです」

「ほう

何故だ?」

「カンタラス王国は魔導士団とかいう厄介な者達がいるのもあるのですが、一番は北側を治めているビクゼン公爵というジジイがいましてね

それが我が帝国との国境を守っているのです

この死に損ないのジジイが単純に強いというのもあるのですが、その周りを固める公爵兵がまたとんでもなく強いのです

魔導士団の強さを確認したり、北側を何度か攻め込んでみたのですが、全く歯が立たずあのジジイが弱るのを待っていたのです

それがつい最近病で倒れたようで、それで内乱を起こして内と外から攻め込む下準備をしておりました」

「兵はいくら失っても補充すれば良い

行くのだ」

「分かりました」


数ヶ月後

王都宮殿の王執務室にて、一人伝令が駆け込んできた


「た、た、大変です!

ユリウス公が…ユリウス公が!」

「あのバカがどうした?」

「既に挙兵し、ユリウス公国と名乗りデール及び西側の地域を支配しているようです!」

「あんのバカもん!

バカだと思っていたが、正真正銘のバカだったか!」

「ジャイロ

どう対応するのだ」

「きっと帝国の入れ知恵に決まってます

ここまで準備してたとなると、北側のグリッジ帝国と東側のモンゴリアン王国へも警戒を強めなければなりません

西側のモデオ共和国は、我が国が落とされた場合、次の目標になるので協力関係にはないかと」

「それでユリウスの兵数はどれほどだ」

「我々に察知されないレベルですから、おそらく公爵兵のみかと、そうなると多くて約二千前後と予測します

ひとまず東側防衛のために、モリー公爵兵は自領の防衛をして貰います

ビクゼン公は帝国の対応をして貰います

我々の直轄兵士は王都に留まり、どこへでも援団に出せるように警戒します

マルス公爵領はほとんど他国と接してませんので、全兵士を対ユリウスへ当てます」

「分かった

マルス兵の集まりはどうなんだ」

「はい

マルス公が三千人程度の予定となっております」

「二千対三千か…

兵数だけでいえば互角に近いな」

「いえ、数だけでは戦は分かりません

魔導士団をどこまで派遣するかに寄ります

魔導士団のジル士団長は一万の兵に匹敵すると言われ、十人近く居る士長も千の兵に匹敵すると言われています

そして防衛という面においては、コビー副士団長が絶大な能力を発揮するでしょう

今回は北のグリッジ帝国と反王派への抑止の必要があるため、ジル士団長とコビー副士団長は王都にて待機

士長三人とその配下二十七名の計三班を派遣すれば充分かと」

「よし、分かった

今のところユリウスに呼応する貴族は居ないか?」

「はい

おそらく日和見をしているかと」

「冒険者を雇ったり傭兵を使う可能性は?」

「冒険者もバカじゃありません

上位ランカー達はほぼ中立の姿勢でしょう」

「そうか

しかしそう聞くと全く勝ち目がなさそうだが、ユリウスは何か我々の知らない作戦が…

いや、あのバカの事だ大したことを考えていないな

どうせ帝国から、挙兵すれば援団を出すとか言われて唆されたんだろう」

「そうだと良いのですが…」


それから数日後

マルス公爵の元に徴兵令が出され、対ユリウスの兵団が結成されようとしたのだった


エンペスにも勅使が来て、マルス公と合流し、ユリウスを討伐するように命令が下された


「それではカイル兵団の団議を始めます」

【人物紹介】

ザウザ

年齢:六十四歳

生い立ち:生まれも育ちも王都

家族構成:父親含め先祖代々海兵団長を務めてる

息子が居るが、武具職人になってしまったため、孫に跡を継がせようと画策中

特技:航海術、六カ国語、リュート

episode:独特な話し方は父親譲り、幼少期から父親と年中船に乗って異国に行っていたため、母国語に変なアクセントが付いてしまった

六カ国語を話せるバイリンガル、若かれし頃はその土地土地に愛する女性が居て、女性の口説き文句も大得意

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