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【第十部】グリッジ帝国編

【第十部】グリッジ帝国編

後書きもお楽しみ下さい

一日一話投稿していきます

カイルは十六歳になり、大森林を卒業しエンペス村へ帰って来ていた

あれからさらに半年間大森林から鉄鉱石とトレント材を産出した

高速運搬騎兵は五十人から百人に増え、二か所の採掘場から鉄鉱石の搬出を行った

さらにパージから連絡があり、トレント材の出荷をもっと増やして欲しいとのことで、トレント材の出荷も増やした

この一年で製造出来た鉄の量は約八十トンで兵士二千人分の装備、カンタラス王国の年間需要の約二割弱にあたる量を製造した

全て兵士の装備にはならず、半分は民生用として使われた

これは馬具や農具を充実されることができ、マルス公爵領から南の領地は穀物の生産量が大幅に増えた

そうなると南側は裕福な貴族や商人が増えた

そして納税も増えたため、王派の勢力を大幅に増やすことに成功した


エンペス村はというと

無税になるタイミングで村から街になり王直轄地となった

そしてカイルは子爵から伯爵を通り越して辺境伯となった

伯爵との違いは、王直轄領地では上長は王陛下となり、いちいち王陛下へお伺いを立てることも難しいため、権限が辺境伯にほぼ一任されている

納税をして国の法を著しく破らなければ、それ以外は何をしても許される


エンペスの人口は千二百人から二千五百人に倍増していた

タルト村は交易所を中心に推定五百人に増えている

エンペスはその人口増の影響で、防護柵内に家の建てる場所がなくなってしまった

そのために防護柵を全て撤去し、新たに土地を拡張して簡単な防護壁を作ることにした

エルのアドバイスで海からの敵にも備えるため、灯台を領地の両端に建設した

パン屋や蒸し風呂は適宜増やし、街民が不満なく暮らせる数を維持している


またエンペスを訪れる旅人も増え、宿の需要も爆発的に増えた

そのためおやじの宿のケイが頭となって、宿の建設にあたった

おやじの宿は低価格帯の人向けで、タルト村交易所にも出店し、エンペスなどでは新たにケイホスピスという宿を建設した

ケイホスピスは中〜上流階級向けとして棲み分けを図った

ケイホスピスの従業員のマナー指導には、ボーズの母と妹が尽力をしてくれた

ケイホスピスは他にもバルボンとマルス公爵領のベルガでも出店をし、カンタラス王国きっての巨大な組織となった


王国全体の人口増により木炭の需要も益々高まり、出荷量も大幅に増えている

木炭はエイルム商店により、バルボンからベルガそして王都にまで薪木炭屋の支店を出していた

商用に絞り販売していたところ、マルス公爵領以南のシェアは六割を越え、王都でも着々とシェアを伸ばしている

シェアを伸ばせた理由として、エンペスに建築屋を作ったのが大きい

タルト村の村民が中心に構成され、家の建築から土木工事まで行っていた

土木工事には土魔法を使える者を高給金で採用し、バルボンまでの道を整地した

それにより、運搬量と速度は上がり物流費用が大幅に下がり、市場を席捲した

またエイルムはエイルム商店の低価格攻勢により、薪木炭屋の経営が厳しくなった先に関しては、店の買収を提案し次々と傘下に収めていった


エッジはタルト村の村長に任命し、エッジ商会を立ち上げた

またその補佐にはジダンを抜擢した

ちゃんと馬を調達してきたその能力を勝った形だ

ウィンブルの蒸し風呂はそのままエッジ商会が運営し、デールにまで出店を果たしている


そして高炉はというと

コビーが造ってくれた高炉の完成度は高く、パージが試しにトレント材を入れて燃やしてみたところ、燃焼温度が木炭より高く長持ちするということに気付いた

そのため、木炭では出来なかった鉄の液状化に成功し、非常に質の良い頑丈な鉄製品を作ることが出来た

その噂を聞きつけた武具や防具職人などがエンペスに集まってきて、鉄の加工品も人気の商品となった


最後にカイル兵団は、潤沢な資金と好待遇ということで応募者が殺到した

選別はしたものの、一年前の百八十人から約五百人に増えている

ちなみにタルト村の高速運搬騎兵や資源回収班約百三十人はエンペスに集約した

常時雇用している数が五百というのは、四大都市の一つに匹敵する数となっていた

割り振りとして、そのうちの約三百人強は街の警護や森林の管理をしているが、残りの約二百人弱は海で働いている


「カイル

どうだ見てくれ!

これが俺がやりたかったことだ」

「パージさん

おれこんな大きい船見たことないです」

「そうだろうよ

この国にゃこんな大きな船はないからな、はっはっは

これはボレロ船から進化したギャラクシー船というんだ

三本マストで帆は三角帆でな、外洋に出れば逆風でも進めるんだ

しかも舵も船尾舵に変更してな、オールがなくとも操船可能なんだ

積載量はうちのボレロ船で三十トン、これは三倍の九十トンまで積めるぞ

漕ぎ手は三十人必要だが、外洋に出てしまえば必要ないから、兵士が護衛兼任でその役割を担う

これは東方の国で少しづつ増えてきていてな

やっと造れる造船技術が整ったから造れたんだ」

「まさかこれで川に入るなんて言わないですよね…」

「ああ、この船じゃ水深が浅くて入れん、幸いこの辺りは水深が深くて助かった

そしてこれで他国と貿易をする

お隣の国のモデオ共和国と、船で南に一か月ほど行くと着くと言われている灼熱の国だ

モデオ共和国とは鉄製品や食料の貿易をする

灼熱の国とはこっちで手に入らない香辛料や金などの鉱石の貿易をする」

「そこまで考えてるんですか

もうパージさんなしじゃ生きていけないですね、ははは」

「嬉しいこと行ってくれるじゃねぇか

さらに驚かせちまうとだな

この船なんとあと一隻建造中で、もうすぐ完成する」

「それで兵士の数が必要なんですね」

「この街は海辺であることを活かして、貿易の街にするぞ」

【人物紹介】

ジダン

年齢:三十二歳

生い立ち:東のモリー公爵領の騎士家の六男として生まれる

家族構成:父親はとある商会の倉庫番、母親は街娘

兄は実家の騎士家を継いでいて、他の兄弟達はモリー公爵領で働いている

特技:頭突き、計算

episode:九歳の頃から親元を離れて、他に上級騎士の下で騎士見習いを始め、二十歳の時に正式に騎士となる

その後、上級騎士と意見の食い違いで頭に血が上り頭突きをしてしまい解雇され宿屋暮らしの騎士となる。その時同じ宿に居た四人と出会った

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