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商業ギルドの思惑

【第九部】大森林の攻略

一日一話投稿していきます

アンリはエッジを乗せて採掘場まで行く


「カイル!」

「エッジ、こんなところまでどうした?」

「それが大変なことになっちまったんだ」

「エッジ落ち着け

どうしたんだ」

「それが、昨日の夜にウィンブルの商業ギルドから連絡があって、今購入している鉄鉱石とトレント材は今後十分の一の価格でしか買い取らないと言い始めたんだ」

「それは大変なことだ

それで理由は?」

「どうやら商業ギルドのやつらは、こちらが鉄を溶かす高炉を持ってないことを良いことに欲をかいてきたんだ」

「そういうことか

おれ達は高炉を持ってないから鉄鉱石から鉄を取り出す手段がない、だから強気に出たってことか

以前の蒸し風呂開業の件でもあまり良い印象はなかったからな

ウィンブルの商業ギルドにはもう頼れないな」

「それでどうする?」

「おれが行って一度話をしてこよう

何か誤解があったかもれしれないしな」


カイル達は一旦攻略を辞めて、大森林を出る


「みんな聞いてくれ

しばらく資源回収は休みだ

この機会に街に行って羽を広げてくれ」


兵士達から歓声が上がる

カイルはこの半年しっかり給金を渡していたため、みなそれなりに貯金が出来ている


「よし

ではおれ達も行こう」


カイル達は全員ウィンブルの街に戻る

そして兵士は街へ

カイル達は商業ギルドに行く

商業ギルドに着くと、すぐに別室に通された


「これはこれはカイル子爵

私はこのウィンブルの商業ギルドの支部長をやっているポメルと言います

こちらは副支部長のツイードです

この三か月、鉄鉱石にトレント材と多くの取引をして頂きありがとうございました」

「カイルです

こちらこそありがとうございました。

それでエッジから聞いたのですが、鉄鉱石とトレント材を今の十分の一の価格で買い取ると?」

「ええ、ちょうど最近鉄とトレント材が大量に手に入りましてね

今後買取りの必要がないところをお世話になっている子爵のために、十分の一で買取り出来ますという話なのですよ」


やはりカイルの想定していた通り、足元を見ている話口調であった


「どうしますか?

今回答頂かないと今後買取りは致しませんよ?」

「分かりました

お断りします」

「分かって頂けましたか

そうするしかないですもんね

え?

今なんと?」

「ですから、お断りしますと」

「よ、良いのですか!

金輪際買取り不可になりますよ!?」

「はい

ではこれ以上話がないのでしたら、おれ達はこれで」


カイル達は立ち上がり、別室から退出する

ポメルは何か言いたげだったが、カイル達は気にも留めず商業ギルドを後にした


「何なのよあいつ

ここ数か月どれだけあいつらも稼いだか知らない訳ないわよね」

「エリサの言う通りだよ

あんなやつらがカイルと取引するなんて不相応だよ」

「これではっきりしたな

この街の商業ギルドは頼りにならない

おれ達で売り先を探そう」

「おいらも買い取ってくれるところをあたってみるよ」

「ありがとうなエッジ

でも一旦全てエンペス村に持っていくことにする

そしてエンペス村に高炉を建設する」

「高炉!?

でもカイル

それだと輸送コストとかが掛かっちまわない?」

「そのあたりは心配しなくて大丈夫だ

エンペス村からマルス公爵領までの南部エリアで販売をする

この国の南部エリアは穀物の栽培は国内屈指だけど、鉱山がないから鉄などはいつも割高でも買わざるを得ないんだ

ウィンブルの商業ギルドから間の中間業者を通って買うよりかは安いはずだ」

「でも高炉はどうやって作るのよ?

今日明日で出来ないでしょうに」

「それに関しては当てがあるんだ」

「当て?」

「エリサ、コビーさんに手紙を送ってくれ」


エリサはカイルに言われた通りに手紙を書く

内容としては…

コビーは以前カイルがタルト村を与えられた時に、大森林攻略の手伝いは厭わないと言っていた

その言葉を使わせて貰うことにした

コビーにエンペス村まで行って貰い、カイルが用意する設計図通りに土魔法で組み上げて貰うという内容だ


「あなたコビー先生はあれでもこの国の魔法士団のナンバーツーよ

その人を高炉建設に使うとはね」

「おれは貰えるものは何でも貰うタチなんだ

だからあの時の恩を返して貰う」

「分かったわ

あの人なら移動も魔法で出来るから…

そうね、二週間もあれば大丈夫じゃないかしらね」

「二週間!?

移動だけでももう少し掛かるのに」

「あの人の能力を考えて導き出した私の日数よ」

「エリサ…君は鬼だな」

「「鬼だ」」

「ではおれ達はパージさんに手紙を書いて、大森林に戻ろう

エッジは引き続きこの街で商業ギルドの動きを観察してくれ」

「あいよ!」


カイル達は数日掛け、大森林に戻ると再び狩りと資源回収に励んだ

回収した資源はタルト村交易所に運ばれ、川を下ってエンペス村へ運び込んだ

幸いなことに川下りのため、鉄鉱石とトレント材の運搬にはそれほど労力は掛からなかった


ところ変わりここは王都にあるコビーの個室


「エリサからの手紙か

なになに

ふむふむ

ん?

ははは、この僕に高炉建設をしろと

いやー彼ら彼女らには驚かされるばっかりだ

大森林の攻略に成功したと思ったら、今わが国が一番欲しい鉄鉱石の産出を始めるし

それにトレント材も大量に市場に出回った

おかげて魔導士団の使う魔法の杖は安く製造出来るようになった

しかし商業ギルドもバカだなぁ

黙って恩恵を受けていれば良いのに

まさか…ユリウス公の差し金か…

あの人また暴走しなければ良いけど」


コビーはそのままジルの部屋に行って事情を説明し、一か月ここを空けることを告げた


またところ変わりデールのユリウス公爵邸にて


「マロ伯爵

一体どうなっているんだ

カイルとやらの鉄鉱石とトレント材を十分の一の価格で買い取れると言ったのは貴殿ではないか

それがことをあろうか取引がなくなっただと?

今このわが領地に鉄がどれだけ必要か分かっているのか」

「ははー

大変申し訳ございません

あの者田舎村出身のせいで、よく分かってないのでございます

高炉がないと純度の高い鉄は取り出せません

仮に小さい炉を造ったところとて、良質な鉄製品を作ることは出来ますまい

私に泣きついてくるか、悪質な鉄を二束三文で買い叩いて、わが領の高炉で再精錬します」

「そんな悠長な時間はない!

約束の日までもう時間はないのだ」

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