表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/73

大森林での稼ぎ

【第九部】大森林の攻略

後書きもお楽しみください

一日一話投稿していきます

アンリ達は片道二時間の道を駆け抜ける

途中でオークに遭遇したが、こちらの方が速かったため交戦せず駆け抜けた

次にグレートウルフの群れに遭遇したが、最後尾の馬が狙われて襲われてしまう

殿の兵士は命からがら他の馬に乗ったが、助けに入った馬の鉄鉱石は捨ててしまった

二時間後に大森林から出てこれたが、馬一頭に鉄鉱石半分を失った

回収出来た鉄鉱石は六百キロとなった

そうしたことから、アンリは急遽グレートウルフ対策として、魔物の死体の一部を殿に用意することにした

一頭分運搬量が減ってしまったが、安全を考えれば仕方がない選択ではあった

その日の午後便は、午前中便が押してしまったこともあり、十五時くらいに採掘場に着き、資源回収班を連れて帰った


翌日の朝

午前便が採掘場に到着する


「アンリさん話は聞きました

昨日は危うく兵士を一人失うところでした

すいません、ありがとうございました。」

「いえ、カイル殿気にしないで下され

それで提案ですが、今の運搬方法だと無駄が多いため、より効率化出来ないかと思っています」

「そうですね

おれも昨日ずっと考えていました」

「では小生の意見から言わせて頂きます

まず採掘場の資源回収班は、カイル殿と大森林の中で寝泊まりして貰います

そうすることで、午後便に資源回収班を乗せなくて済むため効率が上がります

食料などは午前便の行きでその分を積めますから、寝るところだけ確保出来れば大丈夫です

また殿にはグレートウルフが好物のトットリーを毎回持たせます

グレートウルフに遭遇次第、トットリーを餌にして我々は駆け抜けます」

「分かりました

おれも同じようなことを考えていましたので、アンリさんのアドバイス通りやってみましょう」


その日は資源回収班の半数が寝床を作るため別行動となった

場所はカイル達が住んでいる木の隣に同じドラゴンツリーがあったため、そちらに造ることとなった

カイルは寝床を造る班に合流し、瞬脚で幹上部まで登り、土の入った麻袋とロープを幹上部の枝の一本に取り付けて、昇降出来るようにした


ボーズとエリサは採掘場の護衛に回る

朝からオークの群れが大量に現れ、ボーズが群れの中で暴れて注意をひく


『ファイヤービッグバン』


その隙にエリサは直径二メートルはかろうかという火の塊を練り上げ、オークの群れの中に放った

着弾した火の塊は爆散し、周囲一帯のオークは焼け焦げるか重度の火傷を負った


「ひゅ〜

エリサは範囲魔法もいけるんだね」

「これは私が編み出した必殺技よ

着弾した後に爆散させるのはかなり難しいのよ

高圧縮した火の塊に何層にも火のバリアで覆って、着弾した時にそのバリアが砕けて、中の高圧縮された火の塊が爆発するの

その爆風で火のバリアが弾け飛んで、周囲に火を撒き散らすのよ

これは私がファイヤーウォール重ね掛けを使ってて思い付いた魔法なの」

「えーと

とにかく凄いってことは分かった!」

「・・・」


そうしてオークの群れを難なく倒し、引き続き警戒にあたった

午前便は順調に積込も終わり、二十四頭分の鉄鉱石を積載して出発した

今日はグレートウルフに襲われることなく走り切った

その後午後便も来るが、問題なく鉄鉱石を持ち帰ることが出来た


大森林の倉庫に鉄鉱石とトレント材が集められる

翌日にはエッジが派遣した荷馬車が到着する予定だ

アンリ達は出荷の用意をして、その日の活動が終了する

一方大森林の資源回収班は即席の寝床を造っていた

十五人が寝るためのベッドの制作を優先し、その後は数日掛けて建物を造る流れとなった


そして翌日

エッジの派遣した荷馬車が三台やってきた

そこに鉄鉱石を約二千五百キロ、トレント材と魔物の素材を積んだ

三台の荷馬車はいっぱいになり出発した

出発する荷馬車の商人に、次来る時に必要な物を調達してくるよう託した


それから一週間同じ一日を繰り返した

一週間の総量としては、鉄鉱石約一.七トン、トレント材三.四トン、その他魔物の素材となった

ウィンブルの商業ギルドに売った鉄鉱石の鉄含有率は六割となかなか良い結果となった

計算すると、鉄鉱石一.七トン×六割=約一トン/週の鉄生産量となる

重装甲兵士の装備が一人四十キロ分だと、二十五人分/週の装備を作ることが出来る

一人分の装備が騎士一年分の給金にあたるため、僅か一週間で二十五人を一年間食べていかせることが出来る計算だ

このまま一年間鉄が生産出来れば、カンタラス王国の年間需要の約一割弱にあたり、王国にとっても非常に大きい影響を与える


それから三か月カイル達は大森林の魔物を狩りながら、鉄鉱石とトレント材の出荷を続けた

僅か三か月で五十人の高速運搬騎兵の九年分の維持費を稼ぐことが出来た


「カイル殿

この三か月で我々の練度は益々高まりました

そして、鉄鉱石とトレント材の稼ぎはとてつもない金額になっております。」

「練度が高まっているようなら良かったです

武器も徐々に全員良い素材に変えていますし、高速運搬騎兵の価値はさらに上がっていくと思います」

「はい、我々の衣服は元々ほとんどの者が使い古された軍服でしたが、今やエンペス村から定期的に団服が支給されるので、そちらもみな喜んでおります

街に居るジダンからもカイル殿の稼ぎを嗅ぎ付けて、高速運搬騎兵に入りたいという者も増えているそうです」

「それは良かったです」


そこから数日後

大森林に来た荷馬車隊にエッジが乗っていた


「アンリさん!」

「これはエッジではないですか

そんなに血相を変えてどうしました?」

「至急カイルに伝えたいことがあるんだ

カイルに会わせてくれ」

「その様子だとかなり切羽詰まった話のようですね

分かりました、これから午前便が向かうので一緒にいきましょう」

【装備紹介】

高速運搬騎兵

帽子はブルーフロッグの素材で作られた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ