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閑話 エッジの武道大会②

そして武道大会当日を迎えた


「エッジ

ついにこの日が来たな

あいつらにリベンジだ

お店はアンリさん達に任せてしまったから、おれは今日全力で応援するぞ」

「うん…

おいら頑張ってみるよ!」

「ところで組み合わせはどうだ?」

「出場者は全部で百二十人だってさ

あいつとは決勝になるまで当たらないみたいだよ」

「そうか

それなら決勝という最高の舞台でコテンパンにするのは見ものだな」

「ああ…

一回戦の相手はDランクの冒険者のようだよ」

「相手としてはちょうど良いな

頑張ってこい」


その後エッジの出番はすぐにやって来た

カイルは応援席から応援する


「エッジ!

頑張れー!」


エッジはカイルに気付いて手をあげるが、観客からヤジが飛ぶ


(死ぬなよ坊主)

(泣いてもお母さんは助けてくれないぞ)

((わははは))


審判が手を挙げる


「始め!」


エッジは審判が合図をした瞬間叫び出す


「我が名はエッジ

いざ参る」


騎士のような名乗りを上げるエッジ

冒険者は警戒して後退りをしてしまう

次の瞬間冒険者まで迫り、エッジは足払いをする

冒険者が下がるのと上手く合わさって、冒険者は豪快にお尻から転ぶ


(ドスンッ)


「こんガキ!」


エッジは起き上がらせまいと追撃する

顔に向かって蹴りを入れると見事に当たる

冒険者は顔を歪めて鼻血を出す


「やってくれたな!」


再び起き上がろうと手を付くが、今度は手を足払いする

すると綺麗に決まって、バランスを崩した冒険者は顔から地面に倒れる

今度は目の上に青あざを作ってしまう

そして口の中が切れているのか、唾を吐くと赤い唾が出てくる


「もう許さん」


「良いぞエッジ!」


(坊主やるじゃねえか!)

(やっちまえ!)


観客が煽る

冒険者はうつむきながら、再び手を付いて起き上がろうとする


「そうはさせないよ!」


エッジは再度手に足払いを入れようとしたが、冒険者はそれを誘ってたかのように反応し、足を掴んでしまう


(くっ)


足を掴まれたエッジはそのまま豪快に投げられて、地面に叩き付けられてしまう


(ぐはっ)


だが、冒険者はまだ足を離さない

そして再び地面に叩き付ける


(ドンッ)


「ガキが、お仕置きだ、ハッハッハ」


エッジは頭から血を流し仰向けに倒れたままだ

そして冒険者は倒れているエッジの首を左手で掴んで、宙吊り状態にする

冒険者は右拳を振り抜こうとするが、エッジは血が混じった唾を冒険者の目にかける


「ってめー!」


冒険者は一瞬怯んだが、そのままエッジの腹を殴る

エッジは嗚咽をし、冒険者はニヤニヤと笑う

カイルは叫ぶ


「エッジ!

負けを認めるんだ!

死んでしまうぞ!」


エッジはまだ参ったと言わない

カイルは居ても立っても居られなくなり、壇場に上がろうとした瞬間


「参った…」


審判は手を挙げる


「勝負あり!」


((わあああ))


冒険者が勝ち名乗りを上げる

エッジは担架で運ばれる

カイルはすぐ様救護室に行く


「エッジ!

大丈夫か!?」

「負けちまったよ…

おいらどうだった?」

「よく戦ったよ!

カッコよかったよエッジ!」

「カイル…

おいら負けちまったんだけどさ、あんまり悔しくないんだよね…

実はカイルが居なくなってからさ、蒸し風呂を運営しててさ、それが本当に楽しくて、あいつにバカにされたことや、やっつけてやろうって気持ちが薄れてしまったんだよね…

でもカイルと約束したし、自分で出来る限り頑張って、それで負けてもしょうがないなって思ってたんだ」

「そうだったのか…

この数ヶ月で本当に成長したな…」

「だからカイルには申し訳ないけど、おいらは戦うことに向いてないや

おいらは大商人になるんだ

そして、おいらみたいに困ってる人をたくさん助けるんだ」

「そうか

お前なら絶対大商人になれる!

そして困ってる人をたくさん救えるさ!」


それからアンリ達に負けたことを報告したが、既にエッジの気持ちを知っていたため、よく頑張ったとだけ言葉を掛けてくれた

次の日にはエッジは回復してお店に戻っていた


「エッジ

具合はどうだ?」

「ちょっとだけ顔がイケてる男になってしまったけどそれだけだ、へへへ」

「そんなこと言えてるなら大丈夫そうだな」

「うん

これからこの街でもっと蒸し風呂を広めて行くんだ

そして大商人になる」

「応援してるぞエッジ」


その日の夜

カイルはエッジとアンリ達と夕食を食べていた


「みんなに報告があります

おれは一度王都に行って、仲間を迎えに行かないといけません

なので、またしばらくここを空けます

だからお店の事やエッジの事お願いします

アンリさん達に甘えてしまうことになりますが、帰って来たら恩は返しますので」

「何のことかと思ったけど、そんなことか

もう一生会えないかと思ったよ…」

「カイル殿

私達は大丈夫なので、そのお仲間を迎えに行ってきて下さい」

「ありがとうございます」


カイル達はその後しばらく、これからの事を話し合い解散した


カイルが出発の日

ウィンブルの外壁門前にて


「また帰って来るから見送りなんて要らないのに」

「そう言うなよ!

無事戻って来てくれよな!」

「カイル殿

ご武運を!」

「じゃあ、また!」

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