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死闘決す

【第七部】魔導士団とエリサ

後書きもお楽しみ下さい

一日一話投稿していきます

半日も歩くと山裾まで辿り着く


「ここから警戒して歩こう

臭い消しの魔法を使える者が居るけど、下級ドラゴンに見つかって仲間を呼ばれると厄介だからね」


それからさらに数時間歩くと…


「これは人の足跡か

おそらく四,五人」

「人の足跡って…やはり人の仕業という線が濃厚になって来ましたね」

「そうだな

とりあえずこの足跡を辿って行こうか」


さらに数時間歩くと日が暮れてくる


「この辺りで野営をしているな

やけに踏み固められている

我々もここで野営をする

もしかしたらここに戻って来るかもしれない」

「分かりました

警戒するメンバーを振り分けておきます」


一同は野営の準備をする

食料は携帯食料の固パンと干し肉を食べる

火は使えないためスープはない

それから順々に警戒を交代し、何事もなく夜が明ける

朝食も固パンと干し肉を食べ、野営を撤収し出発する


さらに一日歩く

途中ドラゴンを多数目撃しながらも、上手く身を隠してやり過ごした


三日目

とうとう山脈の山頂付近まで登って来た

見晴らしの良い場所から周りを見渡すと、窪地らしきところに人が倒れている


「あそこを見てみろ

人が数人倒れている」

「やはり人が!」

「警戒しながら進むよ」


コビー達は周囲を警戒しながら進む

そして人が倒れている窪地に着く

目撃してから全く動いていない

コビーが近付きそれらを触ってみると、既に息絶えて時間が経っているようであった


「これはドラゴンにやられたような傷がある

死んでから一週間以上経ってるね

しかも格好からするに冒険者のようだ」

「冒険者!?」


コビーが死体の持ち物を確認する

冒険者ランクの証が出て来る


「全員Cランクか

ここで何の依頼をこなしていたのか

冒険者ギルドに聞けば何か分かるかもしれない」

「冒険者がこんなところでどんな依頼が…」

「うーん

それは…」


コビーが話を続けようとした瞬間

咆哮が轟く


(グウォォォォォォオオオ)


そして近くの横穴から皮膚が黒く光るドラゴンがゆっくり出て来る


「あ、あれは!?」

「ああ…

ブラックドラゴンだ

どうやら無事帰れるかは分からなくなってしまったね…」


ブラックドラゴンの咆哮に呼び寄せられたのか

上級ドラゴンや下級ドラゴンが空でグルグルと旋回し始めた


「先生!

逃げましょう!」

「いや

無理だ

無事逃げられたとして、ドラゴンが付いて来てしまったら大変なことになる」

「でも…

この数は何が何でも…」

「死ぬ…かもね

全員腹を括ってくれ

ここでやる

僕とエリサでブラックドラゴンをやる

アズマ士長以下は上級ドラゴンと下級ドラゴンを相手してくれ

無理に倒さなくて良いからね

ブラックドラゴンを倒せたら加勢する」


士長他の団員はコビー達を囲うように配置を取る

そして上級ドラゴンのアースドラゴンが一匹空から急降下してくるが、士長と数名の魔導士団員が弱点である水属性の巨大なウォーターボールを放つ

ウォーターボールは広域に広がっており、避け切れずその一発が当たりアースドラゴンは怯んで、再び空に上昇する

それを見た他のドラゴンも様子見をする展開となる


「よし

他のドラゴンは団員が抑えてくれている

僕達はブラックドラゴンに集中するよ」

「はい先生!」

「しかしあのブラックドラゴン、片目は潰れているし、体中に無数の傷がある」

「ええ

昔の傷ではなく最近出来たような傷ですね」

「もしかしたらクルストとの戦闘で傷を負ったのかもしれない

最後まで彼に助けられてしまったな

エリサは潰れている片目の方に回って、常にファイヤーボールで攻撃し続けてくれ

倒すのではなく気を引いてくれたら良い

それまで魔力を温存しておいて」

「分かりました!」


エリサはブラックドラゴンの死角に行こうとする

しかしブラックドラゴンはそれを許さない

ブラックドラゴンはエリサに向かって闇属性のブレスを吐く


(ブォォォォ)


「そうはさせないよ!」


『アースウォール』


コビーはエリサの前に土壁を創り、ブレスを受け流す


「君の相手は僕だ」


『アースバレット』


無数の石がブラックドラゴンに飛んで行くが、ブラックドラゴンは翼でそれを薙ぎ払う


「やはりこんな攻撃では無理か」


『アースニードル』


地面から突如幾千ものトゲが現れて、ブラックドラゴンを襲う

足元からの攻撃でブラックドラゴンは空に飛ぼうとするが…


『ファイヤーボール』


エリサが放ったファイヤーボールがブラックドラゴンの側頭部に当たる


「エリサ、ナイスタイミングだ」


バランスを崩したブラックドラゴンはアースニードルを腹部に食らう

腹部に多少の傷が付くが、まだまだブラックドラゴンを倒すには至らない

今度はブラックドラゴンがコビーに向かって、ブレスを吐こうとする


『アースウォール』


コビーが土壁を創り出す

ブレスは土壁によって阻まれるが、その巨躯からは想像出来ないスピードで、ブラックドラゴンはコビーに向かって突進してくる

そして鉤爪でコビーを切り裂こうと手を振りかざす

コビーは咄嗟にアースウォールを唱え、体の前に土の盾を創るが、盾を粉々にされ鉤爪がコビーの腕を掠る


(くっ)


コビーは腕から出血をしてしまう

すかさずブラックドラゴンは尻尾を振り回して攻撃してくる

しかしまたしてもエリサのファイヤーボールが側頭部に当たる

注意がエリサに向いたことで、コビーは尻尾攻撃を回避し、距離を取る

ブラックドラゴンは今度はエリサに向かって突進して行き、鉤爪で攻撃を繰り出す


『アースクウェイク』


ブラックドラゴンの足元に響が入り、ブラックドラゴンは再びバランスを崩して、鉤爪攻撃を空かしてしまう


(グウォォォォォォオオオ)


怒ったブラックドラゴンは空に飛ぼうとする


『アースストーン』


ブラックドラゴンの頭上に巨大な石が現れて、落下してくる

ブラックドラゴンに素早く避けられるが、自由に空を飛ばせない


その後一進一退の攻防を繰り返し、ブラックドラゴンは傷が増え、苛立ちは募っていく

しかしブラックドラゴンのブレスを相殺するために、何度も魔力を高圧縮させて土壁を創ってきたコビー


「マズいね

魔力が半分を切った

決定的な一撃が与えられない」

「先生!

私のオリジナル魔法ならもしかしたら…」

「ただの火魔法じゃあのブラックドラゴンの鱗を破ることは出来ないぞ」

「ええ

私に考えがあります

ただ一発しか使えないのと、私達も確実に巻き込まれます」

「…分かった

ブラックドラゴン一匹と我々の命なら吊り合いも取れるだろう

僕も全力で行くから隙を作る

任せたよ」

「必ず倒して見せます!」


コビーはラッシュを掛ける


『アースクウェイク』

『アースバレット』


ブラックドラゴンは翼で薙ぎ払うが、何発かは傷付いた箇所に当たり、声を上げる


(グウォォォォォォオオオ)


怒ったブラックドラゴンは、体中から闇属性のミストを発生させて周囲を包み込み始める

ミスト圏内に入った周囲の草木は一気に枯れる


「この範囲攻撃はマズいね

仕方ない

エリサ!

これで僕の魔力は全て尽きる!」


『アースシェルクラッチゼロ』


ブラックドラゴンをミストごと巨大な卵状の土で包む

そして徐々に卵状の土が小さく圧縮されていく

中のブラックドラゴンは暴れるが、コビーは両手で魔力を与え続ける

土にヒビが入るが、コビーは魔力を強め修復していく


(オリャャャャ)


コビーは鼻から血が出て来るが、気にしない

最後の力を振り絞って卵状の土を圧縮させる


(ドウォォォォォォ)


ドラゴンの断末魔が聞こえて来た瞬間、コビーの魔力が尽き、卵状の土にヒビが入り魔法が解けてしまう

コビーはその場に倒れ込む

ブラックドラゴンは片腕と尻尾が圧縮によって骨が粉々になり、血が流れている


「エリサ…

ハァハァハァ

い…け…」


エリサは頷く


『魔力解放』


魔力をガス状に発生させ、ブラックドラゴンを包み込む


この半年、エリサは毎日魔力を限界まて使い、魔力量の上限を引き上げてきた

しかし自分の魔力量の限界が見えなかった

エリサは当初毎日魔力圧縮を行っていたが、なかなか使い切ることが出来なくなってきてしまった

そのためになるべく火属性を纏いながら過ごすことにした

そうしてとんでもない量の魔力を毎日消費することに成功し、寝る前に魔力を使い切ることが出来た

そしてその魔力量を生かして、ある魔法を考えた

体内の魔力を一気に放出してガス状にする

それを吸った相手を体内から爆発させて、体内や表面を爆散させるのだ

通常の魔力量では魔力を放出した段階で、どんどん霧散してしまう

それを圧倒的な魔力量を放出することで可能にしたのだ

これはあまりの威力にコビーには使えずに、ここまで秘めてきた

そしてついに全力で試す時が来た

エリサは唱える


『エクスプロージョン』


途端に魔力ガスが爆散する

その魔力ガスを吸ったブラックドラゴンは体内と外からも爆発を食らい、声を上げることもなく地面に倒れる

そして口から大量の血を流して絶命する


「やったわ…」


エリサは膝をついて倒れそうになるのを踏み留まる

エリサ達は生きている


「ありがとう

アズマ士長」


アズマ士長は何も言わず親指を立ててこちらに合図する

爆発の瞬間

アズマ士長が二人にアイスシールドを展開し、爆発から二人を守ったのだ


「先生

やりました…

ブラックドラゴンを倒しました!」

「エリサ

君はとんでもなく恐ろしい魔法を考えたね

しかし良い仕事をした

アズマ士長もありがとう」

「ぉ」


ブラックドラゴンが息絶えると、空を旋回していたドラゴン達も散り散りに山脈に消えて行った

士団員は全員無事でコビーとエリサにヒールを掛ける

何とか自力で歩けるように回復したところで、一同下山する

仮の街まで辿り着き、ブラックドラゴンを討伐したことを聞いた住民達は歓喜に包まれた

【人物紹介】

アズマ

年齢:六十二歳

生い立ち:東方の日出る国

家族構成:父親は船乗り、母親は酒場の娘

特技:氷魔法(水魔法の上位種)

Episode:父親の乗る船の積み荷にこっそり隠れていたところ、他の国に降ろされてしまう

黒髪の珍しさから行商人に拾われる

言葉が分からないため、ずっと話せずいたら口下手になってしまった

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