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ドラゴン襲来

【第七部】魔導士団とエリサ

後書きもお楽しみ下さい

一日一話投稿していきます

そうしたある日

遠征に行っていた一人の魔導士が、慌てた様子で帰って来た


「コビー副士団長!」

「どうしたんだい、そんなに慌てて」

「ド、ドラゴンが現れました!」

「ドラゴンだと?

一匹や二匹なら君たちで対応出来ると思うけど」

「それが我々の班は、北東部にあるルイーズ辺境伯の内乱を調査しに行ったのですが、そこで空を埋め尽くす程の数のドラゴンから襲撃を受けました

ブラックドラゴンを筆頭に、アースドラゴンやクリムゾンドラゴンの上級ドラゴンが居て、それを囲うように下級ドラゴンが多数おりまして…

士長は市民を逃す時間稼ぎをした挙げ句戦死

そして辺境伯の街一つが、壊滅的ダメージを負いました」

「何!士長が!?

彼は魔導士団の中でも特に優秀な男だったんだぞ!

他の団員は?」

「士長に付いて行った五名は戦死

残りの三人は今も現地に残って、避難民の保護をしております

私はこの事を報告しにここへ、そして援軍を連れて来るよう指示された次第です」

「分かった!

それでドラゴンはどこに!?」

「ご存知の通り、あそこの街はドラゴンの住む山脈に囲まれた街です

街を襲撃した後、何かを探すように山脈へ帰って行きました」

「しかしそれは当時はということだね?」

「はい…

ここまで馬を飛ばして三週間掛かりました

今はどうなっているのか…」

「あそこはどこの公爵領からも遠いから、王直轄地なんだよね

そうなると公爵に援軍は求められないな…

よし、すぐに行くよ!

僕とエリサ、それから魔導士団で対魔物を得意とする二班連れて行く」

「コビー先生

ジル様は?」

「余程大きな戦でないと、僕とジルが両方ここを空ける訳にはいかないんだ

後で報告だけはしておくから、出発の準備をしといてくれ」

「分かりました!」

「エリサ

荷物は行団する時と同じ必要最低限だけで良い」

「はい!」


エリサはすぐさま行団時の装備を用意し、二班の士長に連絡して、緊急招集を掛けて貰った

数時間後、二班二十名とコビーとエリサが王都の門の外に集まる


「よし

みんな揃ったね」

「はい

揃いました

でも馬は連れて来てませんよ?」

「エリサは僕のオリジナル魔法を見たことがなかったか」

「ええ

ジル様の魔法みたいに風に乗って行くとかですか?」

「いや…」


『出よ、ゴーレム隊』


コビーが魔法らしきものを唱えると、周辺の地面が盛り上がる

盛り上がった土が、どんどん大きくなり、ついにはゴーレムの形を形成する

その数二十二体、大きさは約二メートルはあり、背中部分は椅子のように座れるようだ


「ゴーレム!?」

「驚かせちゃったかな

これが僕のオリジナル魔法だ

このゴーレム、簡単な行動しか出来ないが、疲れることはない

だから僕達を背負って貰って、目的地まで休む事なく走ってくれるんだ」

「凄い

土魔法でこんなことが出来るなんて…」

「召喚にかなり魔力を消費するけどね

召喚してからも少しは僕の魔力も与えないと、崩れてなくなってしまうんだ

向こうに付いてすぐ戦えないけど、今は早く着くことを優先する」

「分かりました

では乗せて貰います!」

「さぁ

みんな乗ってくれ

行くよ」


ゴーレムは馬より少し遅い速度で走り出す

乗り心地はあまり良くないものの、誰も文句は言わない

それから夜は順番に、ゴーレムの背中に乗ったまま警戒をした

道中は人が居れば道を開けるように大声を出し、魔物なども出たがお構いなしに踏み倒すか素通りして行った


道中一度だけ、食料と水の補給で一日を消費したが、それ以外は大きな休憩もなく走り続けた

そんな甲斐もあって、本来は馬で三週間掛かるところを、僅か七日で到着した


「山脈が見えて来たぞ!」

「薄っすらドラゴンが山脈を飛んでるのが見えますね」

「あれくらいはいつも通りの光景だ

街はどうだ」


街が見渡せるところまで近付くと、一同は唖然とする

千人程度の街であったが、外壁は朽ち建物は燃え尽きて、炭と化している

また上級ドラゴンと下級ドラゴンの死骸が無数確認出来た

そしてよく見ると、数人の人間が街の中に居るようだ


「おい

人が居るぞ

一応警戒態勢を取るんだ」

「はい!」


コビー達はゴーレムに乗ったまま街の中に入る

そしてそこに居た人に声を掛けた


「僕は魔導士団副士団長のコビーだ

援団に来たが、住民は?団員はどこに行った?それからドラゴンは?」

「これは魔導士団の方ですか!

我々はここの住民です

みんな川辺の方に避難しています

団員の方三名は、我々に付いて来てくれて、周辺の警戒に当たっています

ドラゴンは山脈に帰って行ったっきり、姿を現していません

その…

士長と団員の方は我々が逃げるまで、ドラゴン達と戦ってくれて…

亡くなられました…

おかげで住民はほとんど被害に遭わずに済みました

なのでせめてもと思って、街の外にお墓を作らせて貰いました」

「それはありがとう…

良ければお墓まで案内してくれるかな」

「はい!

こちらです」


一同は住民の後に付いて、歩いて街の外れに行く

そしてそこには三十程度のお墓が並んでいる

士団員のお墓には剣が刺さっており、そこには野花で結び合わせた花飾りが掛かっていた


「クルスト…

まさか君が死ぬとはね…

ただ君のおかげでほとんどの住民は死なずに済んだそうだ

君らの意思を受け継ぎ、我々魔導士団は進んで行く

みんな、安らかに眠ってくれ…」


コビーは涙を我慢しながら語る

それから他の団員も一人づつ、全員に語りかける

多くの団員のすすり泣く声が虚しく響く


それからコビー達は川辺に避難していた住民と団員と合流する


「まずみんな生きてくれていて良かった

食料は大丈夫かい?

怪我人は居ない?」


団員の一人が答える


「食料は我々が魔物を狩ったり、住民が川魚を獲ったり、森に入ってキノコや山菜を採って何とか食い繋いでいる状況です

怪我人は、ヒールを使える者が居ましたので、現時点ではおりません

ただ…

クルスト士長や他の団員が…

士長は一人でブラックドラゴンとアースドラゴンなどの上級ドラゴンと戦って…

他の団員も上級ドラゴンや下級ドラゴンを多数倒してくれたんです…」

「ああ

ブラックドラゴンなんて一匹で災害級と言われている魔物なのに、それに加えて他の上級ドラゴンも相手にしたなんて、本当に惜しい人物を失ってしまった

だけど、こうして住民が元気で居てくれたなら彼らも浮かばれる

いつまでも下を向いてる訳にはいかないからね

ところで、ルイーズ辺境伯は?」

「生きております

しかし、ちょっと様子がおかしくて…」

「様子がおかしい?」

「先生

話を聞いてみましょう」

【人物紹介】

クルスト

年齢:二十四歳

生い立ち:南西部にある貧しい村生まれ育つ

家族構成:両親は農民で歳の離れた弟が居る

弟は出来の良い兄と比較されるのが嫌で家出をしている

独身

特技:四属性魔法

Episode:幼少期から稀に見る頭脳と魔法の才を発揮する

貧しい村のため、弟が口減らしの対象になっていることを知り、家を出て王都に行き、魔法学校に合格し入学する

四属性使える者は珍しく魔法学校は首席で卒業、魔導士団からスカウトされすぐに頭角を現す

次期副士団長の呼び声も高く、ジルとコビーも期待を寄せていた

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