アンリ達
【第六部】それぞれの道編
後書きもお楽しみ下さい
一日一話投稿していきます
それから一ヶ月
カイルはエッジに戦い方の他、薬草採取の仕方や読み書き計算などを教えた
そしてカイルはクエストをこなしながら森で修行する
エッジも鍛錬しながらカイルが狩った魔物を、荷馬車で運搬する仕事を続けた
そしてカイルは僅か一ヶ月でEランクからDランクに昇格した
「カイルさん
快挙です
こんなに昇格が早い人は、その後ほぼみんなCランク以上になってます」
「ははは、そうなれば良いですね」
カイルがこの一ヶ月魔物を狩りまくったことは、冒険者の中でも噂になっており、その噂を聞いた一組のパーティーが声を掛けてきた
「カイル殿
小生、ナイトクラウンというCランクのパーティーをやっている者です
実はカイル殿の働きを見てお願いしたいことがあるのです
小生達は大森林の調査という、Cランクのクエストを受注したのですが、一人怪我人が出てしまいまして、良かったら一時的にパーティーに入って貰えないでしょうか」
「大森林ですか!?
それは興味ありますね
でもかなり危険な所だと聞いています
背中を預ける訳ですから、もう少し詳しく話を聞いてからでも良いですか?」
「それは当然です!
では冒険者ギルドの二階の談話室で話をしましょう
Cランクから自由に使えますので」
カイル達は階段を登り、談話室に入る
そこには上質な革のソファーと木のテーブルがある
「小生達は元騎士で騎兵団の五人パーティーです
近年の騎兵は戦術的重要性が薄れ、その数を減らしています
そのため、食べて行くには冒険者をやらざるを得ずで…
ただ…本当は騎士としてこの身を主に捧げたい!と未だに想っているのです
そこで大森林の調査というクエストをやり遂げれば、どこかの領地で騎士として雇って貰えるかもと思い、このクエストを受けた訳です
小生達は集団での陣形戦闘が得意で、守りに関しては自信があります
しかしあまり攻めてこない相手だと、手をあぐねてしまいまして、カイル殿のあの討伐数を見てお誘いしたのです」
「それは頼もしいですね
おれも未知の土地なので、守りが堅いメンバーが居るなら心強いです
でもおれなんかで良いのですか?
まだDランクに昇格したばっかりですよ?」
騎士のパーティーメンバーが話す
「いえ、まずアンリ団長がピンと来た時点で、私達はその直感を信じています
私達は団長に命を捧げる覚悟は出来ております」
「まぁこの者達はそう言ってくれていますが、ほとんどの方がCランクに上がる前に、パーティーを組んでしまうというのもあるのです…」
「団長は正直ですね
信用出来ます、一緒に組みましょう
いえ、ぜひ組んで下さい
ところで皆さんのお名前を教えて下さい」
「小生はアンリと言います
他はこっちの者から、プラティニ、ヴィエラ、リベリー、そして頭を怪我して今病院にいるのがジダンです」
「アンリさん、それから皆さん宜しくお願いします」
カイル達は大森林に行く準備をする
荷馬車を用意し、食料と野営の装備を載せる
出発は一週間後に決まった
そして同時にカイルの下に、パージからの手紙が届く
内容としては…
「カイルさん
わたくし商業ギルドのウィンブル副支部長のツイードと言います
エンペス村のパージさんより、パン屋の隣に蒸し風呂を作って運営するように連絡が入りました
しかし今商業ギルドは人手不足のため、お手伝いすることが出来ません
なので許可はしますので、ご自身で用意をお願いします
では」
「ちょっ」
商業ギルドのツイードは去って行く
(なんて対応が悪いんだ
商業ギルドは支部によってえらい対応が全然違うな
これはやっぱり自前で商人を育てていく必要があるな)
仕方なくカイルは自分で建築屋に頼んで、設計と建築をお願いした
木炭とのセット販売は出来なかったが、いずれ自前で用意しようと思った
追加料金を払い、出発の前日に蒸し風呂は完成した
「これこれ!
この蒸し風呂良い出来だ
早速みんなで蒸されよう」
カイルとエッジ、それからアンリ達と一緒に蒸し風呂を堪能する
やはりみんなから大好評で、料金も大人銅貨二枚、子供一枚という金額に驚いていた
「なぁエッジ
おれはこれから大森林に行く
その間この蒸し風呂の運営を任せたいんだ
どうだ?」
「今のおいらじゃ足手まといになってしまうから、この蒸し風呂の運営やってみるよ
必ず軌道に乗せて恩返しするよ」
「エッジありがとう
武道大会までには帰って来る予定だ
それまでおれが教えた鍛錬を怠るんじゃないぞ」
「うん
必ずやり遂げて、武道大会であいつをぶっ飛ばす!」
「楽しみにしてるぞ」
翌日カイルはエッジと別れ、アンリ達と馬に乗って大森林に向かう
「ここから二日くらいですっけ?」
「カイル殿、だいたいそれくらいです」
「アンリさん達は大森林に行ったことあるんですか?」
「はい、何度かユリウス公爵の依頼で大規模レイドに参加したことはあります」
「それは心強いです」
「一応確認しときたいのですが、カイル殿の戦闘スタイルをお伺いしても?」
「おれは身体強化魔法が使えますので、それを活かした攻撃ですね
あと風魔法を少々…」
「身体強化魔法も珍しいですが、風魔法も使えるとは凄いですね!」
「いえ、おれはそんなに魔法が得意じゃないんです」
「そうですか
お互いの戦い方は確認した方が良いので、大森林に着いたら各々戦いを観戦しましょう」
【人物紹介】
アンリ
年齢:二十八歳
生い立ち:東のモリー公爵領の騎士家の次男として生まれる
家族構成:父親は騎士、母親は同じ騎士の娘
特技:密集陣形戦、騎兵戦、身体強化魔法
Episode:実家を出て、他上級騎士の下で騎士見習いをし、十八歳の時に正式に騎士となる
その後、上級騎士に解雇され宿屋暮らしの騎士となる、その時同じ宿に居た四人と出会う