表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/73

エリサと魔法

【第二部】エンペス村編

後書きもお楽しみ下さい

次の日

「カイル、父さんはエンペス村に行って、これが事実かどうかを確認してくる

この店とあの人達を任せたぞ

何かあれば母さんに相談するんだ」

「任せてよ父さん

父さんこそ気を付けて行って来てね」


父さんは荷馬車を用意する

空積みで行くと怪しまれるから、一応大麦を持って交易の程で行くようだ


「では早ければ明日には帰る」


荷馬車が離れて行く


「さて、おれたちはあの人達の様子を見に行くか」

「お店は私一人で大丈夫だから行ってあげて」


一団の家に着くと、ちゃんと決まりを守ってみんな家の中に居る

ノックをすると赤髪の少女が出てくる


「昨日はぐっすり眠れました

ありがとうございます」

「それなら良かったです

早速で悪いのですが、今日は野菜の収穫がありますので、もし宜しければ手伝って頂けますか?」

「はい、エンペス村でも作物を育ててましたので、お役に立てるかと」


畑に向かう大人の男達に付いて、赤髪の少女も付いてくる


「ぼ、僕ボーズっていうんだ!

こっちはカイル

君の名前は!?」

「エリサ、ボーズさんカイルさん宜しくお願いします」

「良いよ、そんな敬語で話さなくて!

きっと同い年くらいだし」

「分かったわ、ならボーズ宜しくね♪」


デレデレしてるボーズを横目に、一団は畑に着く


「えっと、今日はこの区画に植えてあるトウモコロシの収穫をお願いします」

「トウモコロシはエンペス村でも育ててましたので大丈夫です」

「それは頼もしいですね!ではお願いします」

「カイル、僕も手伝って行くよ」

「・・・まぁ好きにしてくれたまえボーズ君」


今日は朝早くから父さんを見送ったため、朝の鍛錬を行っていなかったことを思い出し、村の周りを走ることにした


今日は前回より速く走れることが出来た

なんだか身体が軽い気がしたが、腕や脚を見てもいつも通りだ


「まぁ気のせいか」


ビュッ フォンッ

ビュッ フォンッ

ビュッ フォンッ

振った木刀の切先から放たれる風圧が、いつも以上な気がする


「やっぱりなんか調子が良いな

ちょっと腕試しついでに、村の外でラビットを狩ってくるか」


カイルは村のすぐそばの森まで来た


カサッ

カサッ

………


(今だ!)


カイルは草の影から飛び出し、ラビットの背中に木刀を振るう

しかしすんでの所でラビットはこちらに気付く


「ちっ

気付かれて少し外してしまっ……」


木刀の切先から逃れるように動くラビット

僅かに届かずに外したかと思われたが…


(バシュッ)


ラビットの背中がへこむ

どうやら木刀の切先の風圧のみが、ラビットに当たった

だがカイルは気付かない


「あれ?当たってなかった気がしたけど、なんかラビットを狩ることが出来たな

やっぱり今日は調子が良いのか…」


その後夕暮れまでラビットを狩ったが、最初のラビットを倒した感触は得られなかった


「よし、ラビットを何匹かあの人達にあげるかな」


解体がめんどくさいという事実は隠しておくことにする


畑に着くとボーズ達が何やら食べている


「おーい、カイル

エリサの火魔法で焼きトウモコロシを作ってるんだ!

カイルも食べるか?」


カイルは火魔法を見たことはあるけど、こんなにも長く強く火魔法を使い続けているのを見た事はなかった


「エリサ、君は凄いね!

こんな強い火魔法見た事ないよ

大人になったら伯爵様のところや王都で魔導士として働けるんじゃないか?」

「私にそんな…夢はないわ

家族仲良く食べていければ良いの…」

「そうだよカイル!

エリサはずっとこの村に居るんだ!」

「まぁおれも魔法のことはよく分からないが、今度魔法を使うコツを教えてくれないか」

「あなた魔法が使えるの?」

「いや、てんでダメだけど…

諦めたくはないんだ

なんたって魔導士って名前がカッコいいからな!」

「よっ!さすがカイル!」

「まぁ良いわ、あなた達にはホントにお世話になってるし、そんなことで良ければ」

「よし、じゃあ早速明日教えてくれよなっ!」


カイルはラビットを数匹渡し、家に帰った


翌朝エリサが目覚めると

「おーいエリサ、魔法を教えてくれ!」

「ちょっ、朝早過ぎじゃない!?」

「もしかしたら魔法が使えると思ったら、早くに目が覚めてしまってな」

「ほらボーズもここに

まぁボーズは違う理由かもしれないけど…」


一団には昨日収穫したトウモコロシを乾燥出来るよう、芯から身を削ぐ作業をお願いした

これなら女性や子供達も手伝えるとのことで、エリサはおれたちに付き合ってくれることになった


「タァッ!

ヤァァァ!

オリャァァァ!

・・・ハァハァハァ…」

「あなた達センスがないわね…

良い?コツは血の流れを感じるのよ

血は心臓を通って全身に循環するわ

それが分かると魔力を感じるから、その魔力を手に集めて念じるのよ

火よッ」


(ボッ)


「やっぱりエリサは凄い

僕たちには出来ないや」

「いや諦めたらそこで試合終了だ!」

「カイル、それどっかで聞いたことあるセリフだね…」


それから数時間カイルは諦めずにもがいた

瞑想してみたり、全身力んで顔を真っ赤にしたり、エリサの手を握ってみたりしたがダメだった

その後ボーズがおれのことを睨み付けてきたのは気にしないでおこう


「とりあえず火魔法は諦めなさい

他の魔法も同じようなコツだと思うけど、私は使えないから教えられないわ」


帰り道でガックリと肩を落とすカイル

かたやスキップを繰り出すボーズ

三人はお店が見えるところまで帰ってくると、見慣れない男がお店に入っていく…

【魔物紹介】

ラビット 兎の魔物、食用

特徴:臆病、逃げ足が速いため獲るのが難しい

ブルーフロッグ 蛙の魔物

特徴: ある時期大量に現れる

皮は防水用素材として、この国で一番使われている

皮は青色で乾燥させると茶色に変わる

ワイルドボア 猪の魔物、食用

特徴:体長一メートルほど、突進攻撃をしてくるが、避ければなんて事ない魔物

毛皮は革鎧の素材として使われる

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ