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【第二部】エンペス村 

【第二部】エンペス村編

後書きもお楽しみ下さい

仕事が終わりリビングでゆっくりしていると


「今日エンペス村に行って来たんだが、何やら新しい子爵様が着任されたそうだ、前任の子爵の孫らしい」

「孫ってことはおれと同じくらいなんじゃないの?」

「そうだ、なんでも今年十五になるみたいで、今まで王都に居たらしく、温室育ちのお坊ちゃんのようだ

交易で何か影響があるか分からないが、念のために塩を大量に仕入れておいた

まぁ取り越し苦労だと良いがな」


その間にセダが料理をテーブルに並べる


「さぁみんな!堅っ苦しい話は終わり!

せっかくお魚が手に入ったんだし、今日はみんなでお魚パーティーよ!」

「「「それじゃあ、いっただきまーす」」」


それから一ヶ月、いつも通りの日々が続き…


(ドタドタドタドタッ

バタンッ)

「そ、村長!」

「どうしたんじゃそんなに慌てて」

「エンペス村から数家族越して来たらしい!」

「なにー!?」


この辺境の村々では、よっぽどではない限り引っ越しなどしない

基本は自給自足であり、越した先で食べて行ける保証など全くないからだ


「とりあえずエイルムを呼んでこい!」


村民からの話を聞いたエイルムが、村長の家にやってくる


「なにやらエンペス村から数家族越して来たとか」

「ああ、事情は分からなぬが、これからここに来るから一緒に同席してくれるな?」

「ええ

事情にもよりますが、もし受け入れるなら仕事や家、何より食料も確保しなければなりません」


しばらくすると村長の家に、荷馬車一台と数人の大人、さらに子供も多数歩いてきた


「村長のレアードじゃ

越して来たと聞いたが、エンペス村はどうしたんじゃ?」


男が一人名乗り出る


「はい、この度は突然押し掛ける形になって申し訳ございません

実はエンペス村で新しい子爵様が着任されたのですが…」

「殿方、この村で唯一の商店をやっているエイルムと申します

噂は聞いております

してその新しい子爵様がどうしたのでしょうか?」


男はここに来た理由を語る


理由をまとめるとこうだ

新しい子爵様が着任してきたが、温室育ちのお坊ちゃんは一日二食の生活が耐えられなかったらしい

そこで村民に人頭税をかけ、さらに交易の中心となっている、塩と魚介類に多重の税をかけ始めたそうだ

辺境の村の人々は裕福ではないし、物々交換をしている者も多い


「塩や魚を売っている者はまだギリギリ生活出来ますが、私どものような余裕のない村民は生活出来ないのです…」

「うーむ、話は分かった

事実が確認出来るまで一時的に保護しよう

エイルム、この者達に寝床と何か手伝って貰えるなら仕事を与えてくれ」

「分かりました、さぁ皆さんこちらに

この人数だと少し狭いですが、一時的になので我慢してください」

「いえ、寝床があるだけで助かります

ありがとうございます」


エイルムは一団を空き家に案内し、村のルールを説明する

まだ越して来るのを認めた訳ではないため、勝手に出歩かないことを追加しておいた


そのままエイルムはお店に帰り、カイル達はエイルムから事情を聞いた

「カイル

悪いがあの人達に食べ物を持って行ってくれないか?」

「何でも良いならちょうど大麦を収穫してあるから、大麦とラビットの肉を持っていくよ

ボーズも手伝ってくれるか?」

「うん、任せてよ」


カイルとボーズは食料を一団の居る空き家に持って行った


(コンコンッ)

「エイルム商店から来ましたカイルと申します

こちらは一緒に働いているボーズです

父さん、エイルムからの指示で食料を持って来ました」

「ありがとう!!

この人数を賄えるほど食料は持ってこれなかったからホントに助かる!」

「いえ、ご事情はお聞きしましたが、ほんとに災難でしたね

何かお困りのことがあれば、何でもおっしゃってくださいね」

「それじゃ早速夕飯を作りたいから外で火を焚べて良いか?」

「ええ、構いませんよ

火は大丈夫ですか?」

「ああ、一応火の魔法を出せる娘が居るから大丈夫だ」

「分かりました、ではこれで失礼します」


カイルとボーズは家に向かって歩き出す

途中、ボーズが何かを思い出したように一団の方へ走り出した


「カイル、先に帰っておいてくれ!」

「ああ、先に帰ってるよ」


ボーズが一団の家に着くと、案の定まだ火は付いていない

火は出せるが、燃やす薪がないことに気付いたボーズ


「ちょっと待ってて!

今薪持って来るから!」


待つ事数分…

(ダダダダッッ

ドスンッ)

ボーズがとんでもない量の薪を持って来た


一団の中で、すぐに美人だと分かる赤髪の少女が御礼を言う


「ありがとうございます

これで火が付けられます!!」


ボーズがその少女に釘付けになっていると…

ドンッと蹴飛ばされる


「おいボーズ!

なにぼーっとしてんだ

帰るぞ!」

「カイル、帰ったんじゃないのか?」

「ああ、帰ったら母さんにどうせボーズに雑用をやらせてんだろうって、ドヤされちまってさ

こうして迎えに来た訳だ」

「そうか、カイルありがとう

じゃあ帰ろうか」


ボーズは後ろを気にしながらカイルと帰っていく

そして家に帰るとセダが待っていた


「二人とも遅いじゃないの!!

なにしてたの!?」


「あれ?確かカイルは先に帰ったんじゃ…

そうか、うん、そうか」


「あはは、母さんごめん!」


「セダさんごめん、そんでありがとうなカイル!」


「??」


ボーズはちょっぴり嬉しくなって、ニヤニヤして家に帰りその日は寝る



エリサ

年齢:十五歳

生い立ち:生まれも育ちもエンペス村

家族構成:父母は揃って農民、叔母が王都で暮らしているらしい

歳の離れた兄と姉いるが、既に独立し大きな町に働きに出ている

特技:火魔法

Episode:先祖は代々王都で暮らしていたらしく、家には家紋の入った旗が隠してある

ある日その旗を見付け、外に出して貴族ごっこをしていたら両親にとんでもなく怒られる

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