両者交わる
【第四部】モデオ共和国編
後書きもお楽しみ下さい
一日一話投稿していきます
一方セラス達の騎兵五百騎は、最前線の村へ向かって馬で駆けている
「安全に行き過ぎてだいぶ遠回りしてしまった
これだと村まで一時間ってところだな」
「仕方ないですよ
早めに気付かれたら別働隊の意味がないですからね
しかも何故かこんな田舎道なのに、整地がしっかひされてて走りやすいです」
「ああ、こんなことを出来るのはあいつしか居ないだろうな…
まぁこの先にあいつが居ないことを願う」
(ダダダッダダダッダダダッ)
馬が駆けて行く
カイル達は作戦を伝え待ち構える
しばらくすると騎兵達が見えて来る
「くっ
思ったより多いな
四百、いや五百はいるかもしれない」
「カイルこれは俺達だけでは厳しいかもしれんぞ!」
「本当は逃げ出したいです
もしかしたら誰かが…
いやでもなんか逃げちゃ行けないって気がするんです
あと一応勝算というか何とかなりそうな気もするんです」
「僕もカイルの言う作戦なら勝てはしないだろうけど、相手の戦力を削ぐくらいはやってやろう」
漆黒の鎧を着た男が騎兵達の先頭を行く
その後に約十騎づつ横並びになった陣形を取っている
「セラス様
何やら馬車で道を塞いでいるようですね」
「ああ、この奇襲に気付いて邪魔しようっていうのだから、なかなか勇敢な指揮官が居るようだ
ただ多勢に無勢なのは明白だ
突っ込むぞ!」
騎兵達が長弓の射程距離に入る
「全員射て!!」
カイル達が長弓で矢を一斉に発射する
すると騎兵の中団に居る騎兵達に弓矢が当たる
(ぐはっ
ぐうぉぉ
はぅ)
そして射る、射る、射る
騎兵達は続々と倒れる
それに巻き込まれて後続の騎兵も倒れる
特に凄かったのが二人の精鋭兵士
外側の騎兵を的確に射抜いていく
すると真ん中に集まり出し、さらに狙いがつけ易くなる
「長弓か
避けようもなく、剣で弓矢を捌けない多くの騎兵に当たってしまったな
避けて通りたいところだが、時間もない
多少の犠牲はやむを得ない
突っ切るぞ!」
セラス達がスピードを上げる
「よし、かなりの人数を削ったぞ!
みんな二列目の荷馬車砦に移動するんだ!」
カイル達は走って二列目の荷馬車に移動し、身を隠しながら弓を射る
そして騎兵達が一列目の荷馬車を越えた瞬間
「ファイヤーボール!
ファイヤーボール!」
火の玉が荷馬車に当たり、荷馬車が燃える
すると後続の騎兵の馬達が尻込みし止まり、分断に成功する
「セラス様
後続と分断されてしまったようです
抜けて来られたのは約五十騎程度かと」
「まぁ良い
相手の人数も粗方把握出来た
五十騎も居れば十分だ」
約五十騎の騎兵がカイル達の目の前に迫る
二列目の荷馬車の横を通過する
そこでもカイル達は弓を射って数人の騎兵を倒す
いよいよ近接での戦闘になろうかという時
先頭の騎兵達はそのまま村の方へ駆け抜けて行ってしまう
「カイル!
予想通りだね!
あいつらここを駆け抜けて行った!」
「さすがカイルね
ここを駆け抜けて行くってよく読んだわね」
「ああ
あいつらの目的は最前線の村まで行って、食料庫を襲うことだろう
するとこんな所で時間を掛ける訳にもいかないからな
ただ心配だったのは相手の指揮官がバカで俺達とやり合う可能性はあったがな
さあ、後続の騎兵達は勢いを無くしている
討ち取るぞ!」
カイル達は燃える荷馬車の間を抜けて来る騎兵を長弓で射って順々に倒していく
すると残り約百騎程度になったところで騎兵達は森の中へ迂回を始める
「よし、森の中に入ったな
森の中じゃ騎兵の機動力を活かせない
獲物を狩るように各個撃破といこう」
「森の中じゃ俺達に部があるな」
カイル達が森の中へ入る準備をしていた時
駆け抜けていたセラスの馬が止まる
「セラス様
どうかなされましたか」
「先ほど荷馬車が燃えて、これだけ煙が立ってしまっては、おそらく村に兵士が集まって来ているかもしれない
悔しいが俺達の負けのようだ…
が、ただ無惨な負けるのは嫌いなタチでな
さっき邪魔して来た集団
今後我が国の脅威となるやもしれん
討ち取っておくことにしよう」
セラス達が引き返してくる
「おいカイル!
駆け抜けた騎兵達が戻って来るぞ!」
「なんだって!?
これはマズい…
先頭に居た集団は矢を剣で弾いていたし、おそらく精鋭騎兵だと思う
それに時間を取られていたら、森の中に入った騎兵が戻ってきて囲まれてしまう」
「どうするカイル!」
「もう逃げる事も出来ない
やるしかない!
おれがあの漆黒の鎧を着た指揮官らしき男と戦う
エリサと精鋭兵士二人は、荷馬車の上からファイヤーボールと長弓で攻撃してくれ!
他の精鋭兵士の皆さんは荷馬車の周りを守ってください!
ボーズとエルさんは…絶対死なないでください!」
それぞれが配置に付く
エリサと精鋭兵士二人が、約五十騎の騎兵を少しづつ削る
しかし、漆黒の鎧の指揮官セラスは馬の上に立ち、カイルの方へ跳躍する
カイルは長弓で素早く射るが…
「アースウォール」
セラスが土魔法で出来た足場を宙に創り出す
それを蹴り、カイルに猛スピードで近付く
「なに!?
空中でさらに加速しただと!?」
カイルは驚いたが、セラスは猛スピードのまま剣を振り下ろす
カイルは咄嗟に短剣を抜き、剣を受け流す
「ほう
これを初見で受け流すとは、やはりお前はここで殺しておくべきだな」
【人物紹介】
ゾルグ
年齢:二十四歳
生い立ち:今は滅亡してしまった国で育つ
家族構成:戦争孤児、独身
特技:身体強化魔法、暗殺、追跡
Episode:国が滅ぼされた時に、相手方にいた傭兵時代のセラスに拾われる
最初はセラスに復讐を誓い何度も暗殺を試みるが、全て失敗に終わる
現在はセラスの強さに惹かれてしまい、セラスの右腕として働いている