12歳の騎士の誓の時にお義兄様から婚約の申し込みをされて私が知らずに受けていたことを初めて知りました
そして、私とお義兄様の婚約記念パーティーの当日が来た。
私は朝からアリスやライーサら侍女達によって準備されていた。
本当に大変だ。
風呂に入れられるわ、マッサージされるわ、やりたくないと言っても全く聞いてもらえなかった。
その後は今日の出席者の確認だ。
何しろ今日はこの大陸最大の帝国の皇太子の婚約者お披露目パーティーなのだ。
何故か招待状はエリーゼ・ロザンヌの婚約披露パーティーになっているんだけど、絶対におかしい。
本来はレオンハルト・ロアール皇太子婚約披露パーテイーのはずなのだ。中にはレオンハルトお義兄様との婚約とついでに皇太子就任のお祝いもするとなっているけれど、絶対に変だ。
今回は伯爵以上の高位貴族全員と帝都近辺の下位貴族たちが来るので、それだけで、1000人以上はいる。全員の挨拶を受けるなんて難しいだろう。
それ以外に属国や周辺諸国の王族、大使など、50カ国以上の面々がくるそうだ。
帝国の貴族の顔や名前、領地のことなどは小さいときから叩き込まれているから、まだ、判るけれど、他国の貴族や大使の顔なんてあんまり覚えていない。
それを姿絵と名前を何故かサンタル時代の友人のシャロットとミシェルに見せられて覚えさせられているんだけど……シャロットは結局、お義兄様と意気投合してこの国の私付きの女官になっているし、ミシェルは外務に勤務している。私のクラスメートの多くをお義兄様は帝国につれてきたんだけど……
「げっ!」
私はシャロットに見せられた青髪の女を見て、思わず声を出していた。
「お嬢様!げっとはなんですか。皇太子妃様が話される言葉ではありません」
早速アリスに注意される。
「本当にエリ様はどうしようもありませんね」
シャロットまで言ってくれる。
「だって、この王女、私の事を本当に目の敵にしているんだから」
私はいやそうに言った。卒業パーティーの時はお義兄様が私としか踊らなかったから、それを未だに根に持っているのだ。お義兄様と私の婚約が決まって、怒って来ないと思っていたのに、何しに来るんだろう?
私が疑問に思うと
「ここは、やっぱり、『よくも私のレオンハルト様を獲ってくれたわね、この泥棒猫め』って言って、ワインかけられるんじゃない」
「やっぱりそう思う?」
シャロットの声に私は不安を感じた。
「うーん、でも、レオンハルト様もチエナに留学していたときは、殿下もチエナの王女とよく話しておられましたからね。レオンハルト様に逆恨みしているのかも。『よくも私の操を奪ってくれましたわね』って言ってナイフで刺されるとか」
最近お義兄様の騎士から私の騎士に変わったゴーチェが横から喜んで話し出した。
でも、その後ろからお義兄様が歩いてきた。
シャロットとミシェルがそれを見て慌ててゴーチェを止めようとしたんだけど……
「二人共どうしたん……」
戸惑ったゴーチェにお義兄様が近付いて
バシン!
「痛い!」
「誰が誰の操を奪ったって」
頭を抱えたジェミリーの後ろには激怒したお義兄様が仁王立ちしていた。
「いえ、なんでもないです!」
ゴーチェは青くなって慌てて直立不動になった。
「貴様、エリの前で余計なことを言うな」
お義兄様が鬼の形相で言うんだけど、
「申し訳ありません」
もうゴーチェは蒼白だ。
「お義兄様。昔は胸がないとか、お子ちゃまとか、私にろくなこと言わなかったのに、最近私にも愛想が良くなったのはやはり、チエナに留学されて色々と経験されたからですか?」
私が少しモヤッとして聞くと、
「はああああ? 何を言っている。チエナで女に愛想が良かったのは、東方10カ国のいろんな情報を得るためだ」
お義兄様が言うんだけど、
「ふーん、でも、そこで色んな経験をされたから私にも甘いことが言える様になったんでしょ」
私が更に言うと、
「いや、そんな事無いぞ」
お義兄様は必死に言い訳しようとするんだけど、
「あらあら、エリ、早速夫婦喧嘩しているの」
後ろから現れたセッシーが余計なことを言ってくれるんだけど、
「私達はまだ夫婦じゃないわよ」
私がムッとして振り返ると、マルクスお義兄様がいた。
「マルクスお義兄様!」
「エリ久しぶりだな」
私が驚いて声を出すとマルクスお義兄様が応えてくれた。
「マルクスお義兄様、お久しぶりです」
私はマルクスお義兄様に挨拶したのだ。
「本当に兄上とエリがくっついてくれて良かったよ。エリがサンタルに行ってから本当に兄上はむちゃくちゃで俺達では全然止められなくて本当にまいったよ」
「マルクスなにか言ったか」
お義兄様が横で文句を言うと
「事実じゃないですか! 俺がこういう作戦でいきましょうってわざわざ作戦立てたのに、東方10カ国の大軍に一人で突っ込んで行かれて、本当に信じられないよな」
「本当だよな。ありえないよ」
「ローレンツお義兄様! お久しぶり」
私はその後ろからやってきたローレンツお義兄様にも挨拶した。
「だからちゃんとエリには兄上がむちゃしないように手綱を引いておいてもらわないと」
「私が引いたくらいじゃ聞かないでしょ」
私が言うと、
「それでも、お前が言うとまだ聞くから」
「そうだよ。東方10カ国との間を5日間で移動するなんて普通はありえないからな」
「本当ですよ。それに付き合わされる俺達の身になってほしいですよね」
ローレンツお義兄様にマルクスお義兄様、更に横からゴーチェさんが言うんだけど、
「お前は訓練が足りん」
お義兄様にゴーチェさんがまた、頭を叩かれていた。
「痛いです。殿下、私の頭が割れてしまいます」
「お前の石頭なら剣で叩いても大丈夫だろ」
「お義兄様! ゴーチェは私の騎士なんですから。あんまり叩かないで下さい」
私は義兄様に注意した。
「流石、エリーゼ様。俺は一生ついていきます」
ゴーチェは喜んで言うけれど、
「わ、私の騎士だと」
お義兄様は私の言葉に反応したんだけど、手を震わせている。
えっ? 私は何も変なこと言っていないよね?
私は慌てて周りを見回すとシャロットとセッシーが頭を抱えていた。なんで?
「ゴーチェ、今度、北極に飛ばしてやろうか」
お義兄様が無茶振りをするんだけど、
「ちょっと、殿下、やめてくださいよ」
「そうよ、お義兄様、ゴーチェは私の騎士なんですからね」
私がお義兄様に文句を言うと
「お前の唯一の騎士は俺だろうが」
お義兄様が私を見て言い切ってくれた。
「えっ?」
私はお義兄様が何を言っているのか判らなかったんだけど……
「きゃあ、流石レオンハルト様」
「さすが、騎士の誓でプロポーズされただけありますね」
セッシーとシャロットがなにか言っているんだけど、私はなんの事か全く判らなかった。
「どういうことなの?」
「騎士の誓の時にレオンハルト様はエリに結婚の申込みをされたのよ」
「えっ、なにそれ?」
私には全く判らなかった。
「まあ、良い。エリ、父上が呼んでいるからいくぞ」
お義兄様が言ってくれるんだけど、私はその前の話が判っていなかったのだ。
「お義兄様今のはどういうことなの?」
私がお義兄様を見上げて聞くと
「いや……」
お義兄様が目をそらしてくれるんだけど、
「お義兄様!」
私がきっとして詰問すると、
「いや、騎士の誓いの時にだな、その時、騎士の誓いの代わりに騎士の間でする結婚の申込みの言葉を誓ったのだ」
「えっ?」
私はお義兄様の言葉に固まった。
「ちょっと待って! ということは騎士の誓の時に私に結婚を申し込んで私が許すって言ったことは私はその時にお義兄様とのプロポーズを受け入れたってこと?」
「そう言うことだ」
お義兄様がさも当然だという顔で見るんだけど、
「嘘!」
私は真っ赤になった。
ええええ!
そんな、あんな大衆の前でお義兄様が私にプロポーズして私が了解していたなんて知らないよ!
それだったらもっと皆教えてよ。
私は完全に真っ赤になって固まってしまったのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
次はチエナの王女の登場です








