ガンダーラ王国王太子視点 黒髪の女の子に手を出そうとして恐竜皇子の逆鱗に触れました
俺は、ガンダーラ王国の王太子アルバン・ガンダーラだ。
我がガンダーラはチエナ王国と帝国の間に挟まれた国で、苦労が絶えない国だ。
昔はチエナ王国に対して、よいしょだけしていれば良かったのに、最近は帝国が力を持ってきて、回りの国々を併合、いつの間にか、我が国と国境を接するようになったのだ。
チエナと帝国という2大国家に挟まれて我が国は苦渋の決断を下すことも多くなってきた。
俺は敵情視察も兼ねて、二年間をチエナ王国で過ごし、今年からは帝国に留学することになった。
帝国の学園よりはチエナの方が歴史があり由緒正しいので、チエナの学園でそこそこの成績だった俺は、帝国など楽勝だとたかをくくっていたのだ。
でも、クラス分けを聞いた俺は目が飛び出た。
なんとガンダーラ王国の王太子である俺様がA組ではなくB組だったのだ。
どういうことなのか?
俺は外務に問い合わせした。
「うーん、殿下、殿下の編入試験の成績が最下位だったのです。本来ならばE組なのですが、特別に貴族枠のB組に編入して頂いたとのことで、帝国の外務としては感謝してほしいみたいな事を言われました」
俺の侍従が外務から聞いてきた答えに俺は唖然とした。
確かに理系の科目は全然解けなかったが、あんな問題が解ける人間がいるのか?
なんか理由のわからない記号が一杯あったし、俺には全くの理解不能だった。
これは他国に対する嫌がらせなのか? それならそれで俺にも考えがある。
俺は一応小さいとはいえ、一国の王太子なのだ。
俺はその怒りのまま新入生歓迎のパーテイーに出席したのだ。
「では帝国を代表して、本日はレオンハルト第一皇子殿下が駆けつけていただける予定でしたが、少し遅れるとのことで、前剣聖の娘であらせられるエリーゼ・アルナス様からお言葉を賜りたいと思います」
司会の声に
「エリーゼ・アルナスって誰だ?」
「亡くなった剣聖の娘だそうよ」
「前皇后陛下の連れ子じゃない」
ざわざわ学園がざわめいた。
「えっ、私がやるんですか?」
可愛らしい黒髪の少女が戸惑った表情を見せた。
「えっ、なんだ」
「かわい子ちゃんじゃないか」
一年生を中心にざわめきが起こった。
その見た目は俺も及第点を与えるに十分だった。
「ええ、皆さん、帝国の学園にご入学おめでとう。
私のような者が、お義兄様、いや、レオンハルト殿下の代わりをしても良いのかと思いますが、代わりにお話をさせて頂きます。
皆さんも聞かれたと思いますが、学園は基本は身分差関係なしです。皇族だろうが、公爵令嬢であろうが、平民であろうが、皆同じです
皆さんの身分は学園内では忘れて下さい。
そして、勉学に励み、貴族平民関係なく交友関係を築いて、将来の帝国の礎となって頂けたらと思います」
その後、盛大な拍手が沸いた。
俺はその話した女の子を見ていた。親父からは、帝国の貴族の娘をひっかけて来いと言われていた。
剣聖は確か、伯爵だったはずだ。まあ、帝国の伯爵なら、ガンダーラの王族とも釣り合うはずだろう。俺はそう思って、侍従を使って、そのエリーゼを呼びにやらせたのだ。
「何! ガンダーラの王太子風情がエリーゼ様を呼んでいるだと!」
エリーゼの横の態度のでかい護衛騎士が、文句を言っているのが見えた。
なんだと! 帝国の護衛騎士風情が俺の事を王太子風情だと! 帝国ではどのような教育がなされているのだ!
「セドリック、大丈夫です。アルバン様も初めての、帝国に戸惑っていらっしゃるのでしょう」
そう言うと少女はこちらに歩いてきてくれた。
見た目もとても可愛かった。
俺はとても気に入ったのだ。
しかし、その後ろから護衛が10名もついてきた。俺の護衛騎士達は遠くに追いやられてしまった。どれだけ、厳重に警備されているんだ!
少しムッとしたが、それだけ、親が過保護なのだろう。その子の移動にともなって、侍女も二名ついてきた。ただこちらも只者でない気配だ。
「アルバン様、初めまして、エリーゼと申します」
黒髪の少女は頭を軽く下げてくれた。
「ああ」
俺は鷹揚に頷いた。
次の瞬間、護衛や侍女達がムッとして睨み付けて来た。
なんなのだ。鬱陶しい。
俺はガンダーラ王国の王太子なのだぞ。静かにしていろ!
と言いたかったが、ここは大人らしく、静かにしておいてやろう。
「この国はいかがですか?」
エリーゼが、聞いてきた。
「いや、思ったよりも快適だな。その方みたいなきれいな娘もおるし」
その言葉にいちいち、回りの騎士達がいきり立つように睨んでくるんだけど……
何か鬱陶しい!
俺は場を変えたかった。
「エリーゼ嬢、庭など案内してくれないか?」
俺は少女を、庭に連れ出そうとした。
護衛騎士達がぶしつけに俺を睨んでくるんだけれど、こいつらはうるさい!
庭なら、少しは護衛騎士も離れるだろう。
「この庭の事は私も良く判ってませんけれど、学園長ならお詳しいかも」
そう少女が言うや、一人の騎士が呼びに行ってくれたみたいだ。
うーん、でもそれは違う。
「いや、エリーゼ嬢、俺は君に案内してほしいのだが」
俺は自分の希望を述べた。
そう言って俺はエリーゼ嬢の手に自らの手を添えようとしたのだ。
「何をしている!」
その瞬間だ。そこに氷のような声が響いた。
俺はぎょっとした。
この声は……
俺は後ろに怒髪天で立っている鬼を見た。
帝国の恐竜皇子、第一皇子殿下だ。
や、やばい。殺される!
俺は真っ青になった。
「お義兄様、遅いじゃない!」
エリーゼは鬼を前にしても平然と怒っていっているんだけど……
鬼に対しても、平気なのか?
でも、お義兄様って?
俺は本当にやばいことをしたことに始めて気付いたのだ。
そうだ。恐竜皇子が溺愛している義妹がいると聞いたことがあった。
どうやら、その義兄というのがエリーゼ、いや、エリーゼ様らしいのだ。
俺はその義妹に手を出そうとしていたのだ。
これは殺される!
俺は蒼白になった。
この子に10人も騎士がついていた意味が始めて判った。
それも近衛騎士が……
皆が俺を睨んでくる意味が始めて判ったのだ。
ちょっと待ってくれ! そう言うことはもっと前もって言ってくれ。
でも、俺の侍従もどこにも見当たらなかった。
「エリ、父上が呼んでいたぞ」
「えっ、また? お父様最近酒癖が悪いから、お義兄様もすぐに来てよ」
エリーゼはそう言うと、俺が必死に目で待ってくれと心で願ったのに、全く無視して行ってくれたのだ。
その後ろに10人くらいの騎士がついていった。
そして、俺の護衛は帰って来なかった。
俺は怒りの塊の恐竜皇子とふたりきりになったのだ。
もう絶体絶命だった。
「さて、ガンターらだったかな。勇気ある君の名前は。君の国をこの世から消してほしいらしいな」
にこやかに笑いながら恐竜皇子は言ってくれた。その目は笑っていなかった。
詰んだ、絶対に詰んでしまった……
「い、いえ、そのようなことは」
俺はどうしようか必死に考えた。
「ほおおおおお、俺のエリに手を出そうとしていたようだが……」
恐竜皇子が手を握りしめてくれた。
やばい、殺される!
「も、申し訳ありませんでした」
俺は一瞬でその場に跪くと土下座していたのだ。
もうこうなったら土下座するしか無かった。
国のため、民のためと言うよりも、俺は恐竜皇子が怖くてただひたすら頭を下げたのだ。
遠巻きに見ている誰も助けてくれなかった。
皆怒りの恐竜皇子に関わりたくないのだ。
俺が必死に謝っても、なかなか恐竜皇子の機嫌は直ら無かった。
やばい、ここで殺されるのか?
俺は本当に命の危険を感じた。
「お義兄様。何をしているのです。また、弱いものいじめをして」
そこに助けの船が現れた。エリーゼ様がやってきてくれたのだ。
「何だ。もう終わったのか?」
平然と恐竜皇子はエリーゼ様に話しているんだけど。
「違うわよ。お義父様がお義兄様も呼んでいるのよ」
エリーゼ様が言ってくれた。
やった。これで助かる。
俺はホッとしたのだ。
俺がホッとして顔を上げようとした時だ。
「アルバン殿」
「はいっ」
俺は頭を下げた拍子に思いっきり地面に額をぶつけていた。
頭に火花が散ったが、それどころではなかった。
「今は忙しい。明日にでも、俺の執務室に来い」
「は、判りました」
俺はまた思いっきり頭を地面にぶつけていた。
翌日俺は持てる金目の物を全て持って恐竜皇子を訪問したのだ。
そして、また盛大に土下座をしたのだ。
そして、俺はただ、ひたすら頭を下げて、謝ったのだ。
本当に許してもらうまでが大変だった。
そして、このときのトラウマから俺は完全に恐竜皇子の使い走りとなったのだっ……
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
いかがでしたか?
そろそろ続き書いていきたいと思います。
乞うご期待!
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