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【3巻電子書籍発売】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
お義兄様と婚約しました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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ラペルズ国王の憂鬱

私はオンロッド・ラペルズ、ラペルズ王国の国王だ。


我がラペルズ王国は北が海に面した豊かな国だ。漁業と農業、林業がおもな産業で、海に面した利点からチエナや帝国との交易も盛んだった。ラペルズ王国は、南の帝国よりも300年も歴史は古く、昔は帝国よりも強かったのだ。帝国など南方の野蛮人の集まりだった。そんな帝国が、ここ100年ほどの間に急激に強くなり大陸の中で最強国家としてのし上がってきた。

帝国などまだまだ新米の野蛮国なのだ。


そんな野蛮な国が力をつけて来たのは本当に由々しき問題だった。

本来は蛮族の帝国の言う事など聞く必要もないのだが、最近は何かと無理難題を言ってくることも増えてきた。当然、蛮族の言う事など無視すればよいのだ。


しかし、今や帝国の国土は我が国よりも10倍以上広く、戦力も強大だ。多少は帝国のわがままにも付き合わないと我が国に攻めかかって来ないとも限らない。野蛮な帝国は戦を好むのだ。その戦好きの帝国はここ数十年は東方十か国と戦っており、わが方には見向きもしなかった。もっけの幸いだった。

しかし、つい最近、恐竜皇子なる皇子が出て来て、東方10ヶ国をあっという間に占拠してしまったのだ。


これは我が国には頭の痛い問題となった。

次に我が国に攻め込んでこないとも限らないのだ。私はマルロー外務卿に言って帝国に対して警戒するように申し出た。


外務卿は帝国を調べるために自ら外交使節を率いて帝国に赴いていた。いろんな諸侯とも交流を持つべく立ち回っていたのだ。

その外務卿が帝国から帰って来た。

マルローはなんと、私に対して婚姻の話を持ってきたのだ。不幸な事に私は前年に正妃を流行り病で亡くしていた。


「相手は皇帝陛下の寵愛が深かった、前皇后様の連れ子、エリーゼ様です」

マルローの言葉に私は驚いた。


「は、何を言うのだマルロー! 我が由緒正しきラペルズ王国の正妃様の座を、高々帝国の皇后の連れ子に渡すだと。帝国は我が国をどこまで侮辱すれば気が済むのか」

宰相のダヤンが怒って叫び出した。私も宰相の怒りはもっともだと思った。


「しかし、ダヤン宰相閣下。皇后の連れ子と申せ、帝国のロザンヌ公爵家の血は引いておりますぞ」

「公爵家の血を引いているとは申せ、傍流だろうが。帝国などという野蛮国から正妃などと片腹痛い。側妃ならばまだ判るがな。それも公爵家の傍流の娘など、言語道断。帝国もせめて皇女を嫁がせて来るべきだろう」

私は宰相の意見がもっともだと思った。


「お待ち下さい。そのエリーゼという名前聞いた事がありまする。エリーゼなるその娘は、南のサンタルなどという三流国の王子から婚約破棄されたのではないですかな」

メルレ財務卿が言い出したのだ。

「なんと、そのような婚約破棄された傷物の娘など我が国の正妃には更にふさわしくはないだろうが」

宰相は更にいきり立ってくれた。


「しかし、サンタル王国は婚約破棄に怒り狂った恐竜皇子に滅ぼされてしまったのですぞ」

外務卿が言い出したのだ。

「それは誠か?」

私は思わず聞いていた。


「はい。王子たちの大軍は恐竜皇子の魔術の一撃で消滅してしまったとか」

「…………」

外務卿のひと言に私も廷臣達は黙ってしまった。


「マルロー、貴様、何故、そのような話をおめおめと持ってきたのか?」

宰相が聞いてくれた。そうだ。マルローがうまい具合に断ってくれば良かったのだ。


「帝国の外務卿のカルディ卿から頭を下げて頼まれたのです。帝国の皇帝陛下がいたく、その連れ子様の将来を気にしていらっしゃると。

カルディ卿いわく『ここでその子を娶ればこれは皇帝陛下に対して恩を売ることになるだろう』と。『なあに、国王陛下には別に寵愛なさっている寵姫がいらっしゃっても全然問題はないですぞ。貴国は既に皇太子も決まっておいででしょう。エリーゼ様には正妃の座にさえつけてくれれば後は白い結婚でもなんでも問題はありません』と言われたのです」

「本当なのか」

外務卿の説明に宰相が納得いかなそうに聞いていた。私もその申し出には信じられなかった。


「帝国のカルディ外務卿からは取り合えず、帝国に遊びに来られて会ってみられてはいかがかと」

「そのような。陛下が会われて、断れば、サンタルの二の舞になるではないか」

「そうじゃ。そのような事は許されまい」

宰相を筆頭に廷臣たちはいきり立ってくれた。

「では、帝国の提案を断りますか?」

外務卿は微妙な笑みを浮かべて言ってくれた。


「断れるのか?」

「それは可能でございますが、それに難癖をつけて恐竜皇子が攻め込んでくる可能性が」

「何じゃと。無理を申しておるのは帝国ではないか」

「しかし、サンタルの前例がございます」

外務卿のひと言に廷臣共は黙ってしまったのだ。


やむを得ず私は帝国にお忍びで遊びに行くことにしたのだ。


「なあに、帝国から人質の娘を一人娶るとお思いになればよろしいのです」

外務卿は気楽に言ってくれたが、私は到底その様な気楽なことにはなるまいと思えてならなかったのだ。



ここまで読んで頂いてありがとうございます。

続きは今夜です。

お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/


この話の

次の作品はこちら

『婚約破棄されたので下剋上することにしました』https://ncode.syosetu.com/n0747ju/


この話が電子書籍化されました

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

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表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
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3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
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ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

この話のスピンオフはこちら


『【なろう500万字達成記念】知らない男から婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの学園を止めさせると叫びだしたんだけど』
https://ncode.syosetu.com/n3697jc/



私の最新作はこちら

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/


アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。

私の

2番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

3番人気の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

この話の

次の作品はこちら

『王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました』https://ncode.syosetu.com/n6878ix/


前の前の作品『傭兵バスターズ』元剣聖と悪役令嬢率いる傭兵団の冒険活劇https://ncode.syosetu.com/n3697jc/


この話の

前の作品はこちら

『天使な息子にこの命捧げます』https://ncode.syosetu.com/n9455ip/

― 新着の感想 ―
[一言] 外務卿が勝手に皇女の嫁ぎ先決めてんのヤバすぎるwww
[一言] 国王自ら行きますか! ちょっと遊び半分で行ってくる!そんな気分で無事に帰って来られると良いのだけど(^^;)
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