侍女にこってりと絞られた後、怒髪天のお義兄様に遭遇しました
私は昨日までは捕まって大聖堂の地下に後ろ手に縛られて転がされていた。
だから寝るのもとても辛かったのだ。
でも、今日はとても温かい腕に包まれていた。
こんな温かい腕に抱かれるのは久しぶりだ。
温かい腕はお母様の腕だ。
あれ、でも、なんか硬い!
これは……この硬さはお義兄様だ。
お義兄様、帰ってこれたんだ。
私は昔から、よくお義兄様と一緒に寝ていた。
寝相がエリは酷いから嫌だとか、よく文句を言われていたが、でも、そう文句を言いながら、お義兄様は
「ダメ?」
と上目遣いに聞くと仕方なさそうに、布団を開けて私を布団の中に入れてくれたのだ。
お義兄様の体は暖かかった。
無理して私のために帰ってきてくれたのだ。
私は嬉しくてお義兄様にくっついたのだ。
夢見心地の時だった。
「お嬢様、エリーゼお嬢様!」
夢見がちだった私は不機嫌そうなアリスの声に目を覚ました。
「えっ、もう朝?」
開放された翌日で、まだあまり寝たりない。
私は寝起きの回っていない頭で答えていた。
眼の前にお義兄様の分厚い胸板があった。
「お義兄様!」
そう言ってもう一度ぎゅっと抱きつく。
「エリ」
お義兄様も暖かく抱き返してくれた。
「お嬢様!」
更に不機嫌なアリスの声が響いて、
「レオンハルト様も」
仕方無しに私は起き上がった。
昨日はあのまま寝てしまったらしい。
私が目をこすっていると、
「お嬢様。嫁入り前の娘が殿方の布団に潜り込むなんてどういうことなのですか?」
アリスが怒って言う。
「えっ、だってお義兄様だし、それに私は横で看病していただけだよ」
私は布団に入った記憶はなかった。
「あ、すまん。エリが寝ていたから寝難かろうと布団に入れた」
お義兄様が謝ってくれた。
「じゃあ、悪いのはお義兄様ということで」
私が言うと
「そもそも、独身の男女が夜に同じ部屋に二人きりになるのが悪いのです」
「ええええ! だってお義兄様だよ」
私が文句を言うと
「お義兄様でもです」
「間違いがあったらどうするんですか?」
「間違いってなあに」
私は単純に聞いていた。
「男女の仲になったらです」
「そうしたら当然責任は取る」
お義兄様はそう言ってくれるんだけど、
「そう言う問題ではありません。添い寝するなんて婚約してから、いえ、結婚してからして下さい」
「はああああ! そんな事無いだろう。事実父上は」
「うほんうほん」
アリスは私を見てお義兄様に合図しているんだけど、何なんだろう?
お義兄様も慌てて話すのを止めた。
「よろしいですか! そもそも、独身の男女が同じ部屋に二人だけでいるのが間違いなのです……」
アリスのお説強モードは長いのだ。
眠くなった私はまた、お義兄様にもたれて、寝てしまって、アリスのお説教が倍になった。
怒り狂ったアリスにお義兄様の部屋の間の扉の鍵を取り上げられてしまった。
何もそこまで怒ること無いのに!
お義兄様と一緒に寝たのなんてお母様が死んだ時以来だし、そもそも私は不眠不休で私のために駆けつけてくれて倒れてしまった、いや寝てしまったお義兄様の看病したまま寝ただけなのに!
そう、私が無事だったと聞いて飛んできたセッシーに文句言ったら、
「まあ、エリーは何も考えていないと思うけれど、レオンハルト様も男だからね。我慢できずにエリーに襲いかかってくるかもしれないし」
セッシーは言ってくれるんだけど、
「それはないんじゃないかな。だってお義兄様は私を女とは見ていないと思う」
私が言うと
「それはない。絶対にレオンハルト様はあんたを女だと見ているから」
セッシーは断言してくれるんだけど……
「ええええ! そうかな。お義兄様は私が小さい時から胸ないお子チャマとか、生意気なクソガキとか散々言われているんだよ」
「でも、最近意地悪されたことないでしょ」
「それはそうだけど、単にお義兄様が大人になっただけで」
「そんなことはないと思うわよ。単なる妹のために、何千キロも不眠不休で駆けてくると思うの?」
「うん。お義兄様はずうーーーーっと私には優しいし」
セッシーの質問に私は当然のごとく頷いたのだ。
何故かセッシーが頭を抱えているんだけど、何でだろう?
とりあえず、私はセッシーを送るついでにお義兄様の執務室に呼ばれていたので、行くことにしたのだ。
「レオンハルト様もそろそろ婚約の時期じゃない」
セッシーが話しだした。
「そうなのよね。いくら女嫌いだといってもそろそろ作らないと行けないと思うの」
私がそう答えると、セッシーが白い目で私を見てくるんだけど。
「レオンハルト様のシスコン説があるけれど」
私を見ながらセッシーは言ってくれたけれど、
「えっ、それって私が、お義兄様のそばにいるから悪いってこと? でも、みんなにそう言われたからサンタルに行ったけれどお義兄様に婚約者は出来なかったじゃない」
私が文句を言うと、
「えっ、そんな事言われたの? 誰に言われたのよ」
「えっ、ベアトリス様にアガット様に、外務の方々からも色々言われたわ。私がお義兄様のそばにいるからみんな、私に遠慮してお義兄様に声がかけられないって。サンタルに行った理由の一つはそれもあるのよね」
私がそう言うと、
「それは事実なのか」
後ろからいきなり声を書けられて私達はびっくりした。
そこには何故かプッツン切れた怒髪天のお義兄様が立っていたんだけど……
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
お義兄様の怒りに直面しそうな外務部です。
続きは明朝です。








